第54話 封印石
ダンジョン100階層
『ぬぁぁぁぁあ』
「・・・・・・」
『おぁぁぁぁあ』
「・・・・・・」
『のぁぁぁぁあ』
「・・・・・・早くよこせ・・・」
鎧ちゃんに封印石を渡すように言ったんだがどうやらシュナウザーを逃してしまった事を自分の失態だと嘆いているらしい。さっきからこの調子である。
おれはサイコキネシスを解いてケルベロスを解放した。まだ封印石を壊してないが、命令する奴が居なければ大丈夫だろう。
『ぐるるるぅ』
隣にいるケルベロスが唸っていて怖いが、気にせず鎧ちゃんから封印石を受け取った。鎧ちゃんはまだガチ凹みモードなので暫く放っておくことにした。
◇
「・・・・これが封印石か」
受け取った封印石をまじまじと観察する。
特になんてことはなさそうに見えるが鑑定してみる。
名前 封印石:ケルベロス (SR)
ケルベロスを支配下に置くことが出来る。
※人の手によって作られた人工石。自ら命を絶つと言った命令や固有スキルまでを支配下に置くことは不可。
・・・・・・なるほど。これはケルベロスのみ支配下に置くものだったのか。シュナウザーがケルベロスに拘ったのもそういう事情があったみたいだ。まぁダンジョンからケルベロスを転移させるとは驚きだが・・・。
「他には・・・・・・これは・・・・」
興味深い記述があった。この封印石は人の手によってつくられた人工石だった。
シュナウザーが作ったのか、他の奴が作ったのかはわからないがもしかしたら他にも存在しているかもしれない。
さて・・・このままゆっくりもしていられないので・・・・おれは封印石を手にする。
「・・・・・・」
「・・・・お手・・」
『バフ・・・・』
・・・・・・ケルベロスがおれの指示に従った。
・・・・・・おもろい
「前転!・・・・」
『ゴロゴロ・・・・』
おお・・・・。すごい!すごい!
なんか段々楽しくなってきた。
『・・・・なにしてるですか・・』
・・・・・・おれがケルベロスで遊んでいたら、鎧ちゃんがいつのまにか立ち直っていたようで、プンプンしてた。脱線しすぎたようだ。
◇
「ではいくぞ・・・・剛腕極・・・」
おれはスキルを使い封印石を破壊した。
破壊できない可能性もあったが無事に破壊できた。
破壊されると同時にケルベロスから黒い光が抜けていき、おれが知っているケルベロスの雰囲気に戻っていった。
『ぬ・・・・おお。おおおおお。戻ったぞー』
ケルベロスが正気を取り戻したようだ。
『ゲルベロズざまー!!よがっだでずー』
鎧ちゃんも感極まって鎧を脱いでケルベロスに抱きついている。
『ぬ・・・・おお。地獄の鎧も心配かけたな・・・・』
ケルベロスが鎧ちゃんをヨシヨシしている。・・・・・・ということは記憶も戻ったようだ。
ケルベロスを鑑定すると全ての状態異常が解除されていた。固有スキルも使えるようだ。
『ぬぉぉぉぉお、いぬちゃーん!色々とありがとなー。記憶も戻ったぞー』
ケルベロスがおれの元にやってきた。暴走時の記憶はないようなので、さっき封印石を使って遊んでいたのは黙って置くことにした。
「あぁ、正気に戻ってよかった。強くて大変だったんだぞ・・・・」
おれがそう気遣うとケルベロスは誇らしげなドヤ顔をしていた。
『そうだろう、そうだろう。ワシは強いからな。』
褒めてないんだが・・・
よっぽど上機嫌なのか、ケルベロスの話は止まらない。
『どれ、ワシがなぜあの森にいたのか教えてやろうか。いぬちゃんも気になるだろう』
・・・・今じゃなくてよいんだが。
『ダンジョンのモンスターなのになぜ外に出れるかも気になるだろう。普通は転移門であろうと抜けれんのだぞ』
・・・・とりあえず休みたいんだが
『にしても、いぬちゃん。この世界で柴犬とはおもしろいな、がはは! 』
いい加減休ませてくれ・・・・・・。
・・・・・・
・・・・・・?
んん!? 今おれのことを柴犬と言ったぞ。
おれは驚いてケルベロスの方を見る。
ケルベロスがニヤニヤしながらおれの方を見ていた。コイツめ。なにか隠してやがる
次回へ続く
次回はケルベロスに洗いざらいはいてもらいます(´ω`
ヒントは序盤でケルベロスの元にも神さまが現れてるということですかね(´ω`
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