第51話 封印
ダンジョン100階層中央部
「ケルベロスー」
ケルベロスが中央部の転移門の様なものの中に入っていった。向こうから声が聞こえたことを考えるとどこかと繋がっているのは間違いない。
・・・
・・・・・・いくか
おれは意を決して転移門へ飛び込んだ。
【ジャッジメントLv7、ケルベロスとの関係が切れたことにより貸出を終了します】
飛び込んだ際におれの脳内にアナウンスが響いた。
・・・・・・急がねば。事態は一刻を争うかもしれない。
◇
sideブルテリア王国召喚の間
遡ること少し前
『いない・・・・・・。そんなバカな・・・』
シュナウザーはこの展開までは予想していなかった。
・・・まだ時間はある。シュナウザーは焦らず頭をフルに回転させる。
・・・
・・・
時間が過ぎていく。・・・・・・まずい・・・
転移門が開いている時間はまだ充分あるものの、ケルベロスがダンジョン内にいないのはシュナウザーにとっても予想外だったのだ。
それから更に時間が過ぎ、シュナウザーの頭にも″失敗″の二文字がよぎる。
もうダメか・・・・・・諦めかけたその時
シュナウザーの視界に2匹のモンスターをとらえた。
『いたぞ・・・ ケルベロス! 今度こそ逃がさん』
シュナウザーは手に持った封印石を掲げた。
封印石が黒く発光する。発光した光は転移門の先のケルベロスにまとわりつき、ケルベロスに転移門をくぐらせた。
『やっと会えたなケルベロス。さぁその力を我が手に・・・・・・』
・・・・・・
封印石の発光がおさまった。
『・・・・・・ふはははは!遂に・・・遂に手に入れたぞ! 私が最強だ』
シュナウザーの笑い声が召喚の間に響き渡った。
◇
sideワンコ
「ケルベロス、無事でいろよ」
おれがケルベロスの無事を祈りながら転移門をくぐるとその先は何処かの王宮のような場所だった。
ここがどこであるかは正直どうでもよい。おれの正面には2人の人間がいた。恐らくコイツらが今回何かしら悪巧みをした首謀者だろう。
1人は魔術師、もう1人は・・・見るからに王である。ブルドッグの領主もクソだったが、この世界の貴族どもはロクなのがいないようだ。
ケルベロスは・・・・・・いた
ケルベロスは魔術師のすぐ脇にいた。みるからに正気ではない・・・黒い光がまとわりついている。鑑定してみると固有スキル以外のロックは外れていた。
やはり、ケルベロスがスキル・魔法を使えなかったのはコイツらが原因のようだ。
『お前は・・・・・・そうか。ブルドッグの報告にあったうちの1匹か。こちらに来た勇気は褒めてやろう。だがもう手遅れだ・・・。ケルベロスは私が掌握した!』
魔術師がそう言いながらおれに近づいて来ようとすると、国王がそれを遮った。国王は魔術師と何やら話をしている。
おれのことを舐めきっているらしい。まぁおれは見た目的にも強くなさそうだしケルベロスのヒモとでも思われているのだろう。
『シュナウザーよ、よくやった。さぁ封印石をこちらに』
国王は魔術師に何かを渡すように要求した。封印石?
『・・・ふふふ。馬鹿ですねぇ。もう貴方は用済みなんですよ・・・』
魔術師は国王が差し出した手を払うと魔術と思われる攻撃を放った。
『な・・・シュナウザー・・・』
王が後ずさる。シュナウザーの裏切りにその表情は固まってしまっている。
『さぁ、ケルベロスよ。このおれをこき使ってくれたクソジジイに攻撃だ。ヘルファイア・・・』
【ヘルファイアLv5】SR
魔術師が何かを掲げたと思うとケルベロスが命令に従いヘルファイアを放った。あれが封印石か・・・
・・・
・・・・・・これは
・・・・・・うぉぉぉお。・・・まじでヤバい。
ケルベロスが放ったヘルファイアは国王を呑み込み、そのまま壁の向こうまで圧倒的な熱量で破壊していった。
・・・・・・
・・・うーむ。ケルベロスよりおれのが強いと思っていたが、わりと良い勝負かもしれない。めんどくさいことになってきたな・・・
次回へ続く。
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