第48話 門番との賭け
ブルテリア王国召喚の間
『王様、準備が整いました』
シュナウザーは封印石を片手に王とともに召喚陣の前に並ぶ。
『シュナウザーよ、やれ・・・』
王の合図でシュナウザーは詠唱を開始した。
◇
「遂に・・・・・・」
おれとケルベロスは遂に最上階の手前まできた。
ここをクリアできれば最上階だ。
これまで長い道のりだった。これまでの光景を思い浮かべる。
・・・
・・・・・・
隙をみては帰ろうとするケルベロスばかりが記憶に蘇ってきた・・・
・・・ケルベロスにパンチを入れておいた。
◇
99階層に足を踏み入れるとそこは闘技場のような造りになっていた。前世のどっかの文献に出てきそうなカンジである。
中央を見ると漆黒の鎧を身につけた剣士がいた。
鑑定する。
・・・
・・・
地獄の門番というらしい。
所有スキルは・・・すごい。
【剛腕(超)Lv7】RR【絶剣Lv1】SR
【俊敏(極)Lv1】SR
他にも色々持っているが、この3つは特に厄介かもしれない
・・・・・・正直かなり強い。流石にここまできていきなり攻撃を仕掛けるなんてことはしないが、この鎧(名前が長いので鎧って呼ぶことにした)であれば、強襲したところで瞬殺は難しいだろう。というかこちらの攻撃が当たるのかもわからない。
警戒していると鎧が動き出しこちらにきた。
『・・・・・・ケルベロス様。おかえりなさいませ。心配しておりました』
鎧はこちらに来るとこうべを垂れた。
『ぬっ・・・すまん。覚えとらんのだ』
ケルベロスはこのダンジョンに来て何回目かの質問に答える。そして記憶を取り戻すために100階層に用があるので通すように言った。
『そうでございましたか。・・・お通ししたいところですが、100階層は危険でございます。見たところスキルや魔法が使えないようですし、通すわけには参りません。』
・・・
・・・・・・んー。物分かりが悪い騎士だ。素直には通してくれないらしい。ケルベロスが攻撃スキルを使えないことも何故か見抜かれた。ケルベロスの心配をして、通せんぼしているというわけだ。
コイツを倒すのは・・・・・・
・・・【ブリザードスタンプLv3】
おれは試しに1発スキルを放って見た。
・・・・・・
『危ないですねぇ・・・』
・・・
・・・鎧がおれの背後に立っていた、全然見えなかった。流石俊敏極持ち。
・・・・・・
・・・・・・うん。無理だ。
コイツを倒すのは無理だ。恐らくだがコイツの攻撃にはおれもケルベロスもそこまでダメージを受けない。
仮に絶険でダメージをおったとしてもおれは超回復持ちだ。余裕で回復するだろう。
だがこちらの攻撃もコイツには当たらない。
・・・・・・困った・・・
・・・・・・困ったなー・・・
◇
『・・・・・・このままやっててもラチがあかないですねぇ』
コイツを倒そうと10分くらい頑張って見たところで鎧が話しかけて来た。
『うーん・・・私と賭けをしませんか?私が勝ったらひとまず引いていただきたい・・・』
・・・・・・なるほど。鎧もこの先いくらやっても終わらないと見抜いたのだろう。
ここで負けて引くことになるのは痛いがケルベロスに確認すると今回はそれで良いとの事だった。
問題は賭けの内容だが・・・・・・
『私の攻撃を5分間凌いだら貴方の勝ち。一度でもダメージを負ったら貴方の負けでいかがでしょうか』
・・・
・・・せこい
・・・・・・コイツせこい。
・・・・・・コイツの方が圧倒的に速いのに。5分とか避けられるわけないだろ。
自分がほぼ勝てる賭けを提案して来やがった。
「・・・うーむ」
おれは渋ったふりをする。
・・・チラッ
(鎧をチラ見してみる)
・・・チラチラッ
(鎧を更にチラ見)
『そうですねぇ・・・それなら3分でどうでしょうか』
・・・
・・・・・・かかった。
これでおれの勝ちが確定した。
次回へ続く
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