第168話 観察するもの
異世界のとある空間
『行きおったか・・・。世代交代も大変じゃの』
『やあ、じいさん。相変わらず変わったことしてるな。変なもので世界を見て。』
『おお、地球の。』
異世界の神がいつも通り世界の様子を眺めていると、地球の神である青年がやってきた。
『今のは鳳凰だよね。少し小さかったけども』
『ほほ、正解じゃ。遂に生まれてのぉ』
『へー、てことは近いうちに魔王が?楽しくなりそうだねぇ』
『全然楽しくないわい、それに魔王の復活にも異世界召喚者が悪さしそうなんじゃ』
異世界の神は少し困った表情で応える。
『またですか、本当に申し訳ない。』
『ええんじゃ、そやつらの欲によって発展してきた部分も否めない。それに今は期待のワンコがいるからの、ほっほっほ。』
『ワンコ?、あ・・・ほんとに犬、しかも柴犬じゃないか。あれ・・・?このワンコ・・・。』
『ほほほ、気づいたか。ワシにも何がどうなっとるかわからんが、こやつだけ異世界のシステムに拘束されていないんじゃ。突然変異的な感じかの。』
『ははは、これは面白いね。』
2人の神は画面に映し出された、ブチ切れて暴れまわるワンコをみて笑っている。
『・・・。もしかして異世界の仕組みを終わらせる気かい?』
『ほほほ、偶然の産物じゃ。魔王と勇者達、この終わりのない泥沼の戦いにも飽きてきての。違ったことが起きれば御の字じゃ』
『ふふふ、じいさんらしい。じゃぁ僕は地球に戻るよ。地球も少し面白いことが起きててね。』
地球の神は異世界の神との談笑を終え、その場を立った。
『ほう、今度はワシがそちらをみにいこうかのぉ。』
『ああ、いつでも見に来ていいよ。』
『ちなみになにがあったのかのぉ?』
『それは見に来てのお楽しみ。』
『なんじゃ、ケチじゃのお』
『ふふ、まぁいつでも来てくれ。じゃぁまたね、じいさん。・・・さてと、ジンはどうしてるかな。』
地球の神は地球に帰っていった。
『なんじゃ、ケチじゃのお。・・・ジンがどうとかいっておったな・・・。ワンコの戦いを見てからいってみるかの。』
1人になった異世界の神は引き続き、画面越しのワンコの戦いを鑑賞するのであった。
◇
sideケルベロス
『ふはは、ケルベロス!さっきの威勢はどうした!』
『うるさい、いぬちゃんを怒らせたからどうやって機嫌とるか考えてるんだよ。』
ケルベロスの精彩を欠いた攻撃はヨークシャー王には当たらない。だがヨークシャー王の攻撃もUR物理耐性持ちのケルベロスには傷一つつかない。しばらくの攻防が続き、
『ち・・・、我が魔剣グラムで切りつけても傷一つつかんとは・・・。』
『がはははは。ワシ、無敵じゃからな!』
ヨークシャー王が切りつけても傷一つつかないケルベロスにイライラを募らせる。グラムは相手に傷を負わせなければ相手を掌握する能力を発揮しない。ケルベロスはダメージこそ負うものの、切り傷はつかない。魔剣グラムにとっては一番相性が悪い相手だった。
そもそも、"封印石"はこの魔剣グラムの能力を研究して作られた産物。研究の本来の目的はグラムの能力の底上げにあり、グラムの相手を掌握する能力は、この研究によって勇者さえも操ることが出来るものに進化していた。
ヨークシャー王にとってはそこが最終目標。ここでヨークシャー王が封印石を持っていれば、ケルベロスを操ることも出来る可能性があった。だが、勇者2人を操ることに成功した事によって、封印石は用済みと判断し持っていなかった。ケルベロスにとってはいくつもの幸運が重なったといえる。
『こら、ケルベロス。まじめにやりなさい』
『ぬ、ニャンコ丸。わはは、すまんすまん』
『べつにいいけど、とりあえずアイツを頑張って追い詰めるわよ。そしたら勇者を呼ぶはずだわ』
『わかった! ワシも勇者に用があるからな。』
『戦いたいだけでしょ』
『がはははは、バレたか。』
ニャンコ丸はケルベロスに跨りながら喝をいれる。
『私はあの魔剣を防げない、援護に回るわ。"ゴニョゴニョゴニョゴニョ・・・。』
『わかった。まかせろ!』
ニャンコ丸は詠唱を始める。
『いくわよ、ケルベロス。・・・付与!』
ニャンコ丸の長ったらしい詠唱が終わり、ケルベロスに何かの光が降り注ぐ。
『うお、なんだこれ』
『私の付与魔法よ、一時的にパワーとスピードを底上げしておいたわ。これで頑張りなさい。私は勇者が来た時の為に大規模魔法の準備をするわ。』
『おお、流石はニャンコ丸!まかせろ。うぉぉぉぉぉお♩』
パワーアップしたケルベロス。パワーアップしたと聞いて直ぐに調子に乗ってヨークシャー王へと特攻していった。
次回へ続く。
読んで頂きありがとうごさいます。少し仕事が立て込んでいまして、遅くなりました。次回勇者出て来ます(´ω`!
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(・ω・)
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