第165話 生まれて初めての死合
シバ王国 ダンジョン99階層
『ズズー、ふー。ケルベロス様は元気でしょうかねぇ。』
『元気でしょうねぇ。まぁどう転んでも死にはしないでしょうし、ふー。お茶が美味しい。』
『私は骨だから飲めませーん。』
鎧ちゃん、スノードラゴン、スケルトンナイトの3匹は冒険者達との戦闘の合間を縫ってお茶をしていた。
『スケルトンナイトさん、スノードラゴンさん最近どうですか?私のところにはまだこの前の冒険者達以降誰もきませんが。』
『私のところはたまに来ますよー、数人だけ通したので、もしからしたら鎧さんにもたどり着くかもですー』
『私のところは連日超満員です。骨が折れますな、骨だけに!』
一通りダンジョン冒険者の情報共有が終わった。3匹はその場から動こうとはせず休憩は続く。
『忙しくなったもんですねぇ。犬様が来るまでは1人しか来たことが無かったのに。』ズズー
『ええ、嬉しいもんです。でもたまには最初のお客さんにも来て欲しいもんですね。ここで実力をつけたあの勇者さん。』ズズー
『ルイさんは死んだと冒険者が言ってましたが、ほんとなんですかねぇ。とても死ぬとは思えないですよねぇ。私は骨だから死んでますが。』
その後、しばらく雑談して解散したのであった。
◇
ヨークシャー王国 城下町
『おい!お前! 操られてないでなんとかいえ!』
『ウイングバレット』
『うおっ! そーゆうことじゃない!こいつめ!』
『・・・』
勇者タツヤと戦闘中のジュニアだが、タツヤを正気に戻そうと必死で声かけを試みていた。だが、効果は全然なかった。
『グラビティ』
『うおー、重い!うおおおお!動けない!』
タツヤの重量魔法がジュニアをとらえる。そして無慈悲にも・・・
『ビックバングラビティション』
タツヤが固有スキルを発動させた。太陽が上空に出現し灼熱がジュニアを焦がす。
『ぬぁぁぁぁあ、熱いぞ! 熱い!』
ジュニアはその熱さに堪らず呻き声をあげる。いかに鳳凰の息子と言えどもその熱はジュニアが今まで触れたことがないくらい高温であった。
『うー、死ぬ、死ぬー。』
『・・・』
タツヤはジュニアだけに灼熱を浴びせ続ける。一点集中、そのコントロールされた太陽の熱量は凄まじかった。ジュニアはどんどん疲弊していく。
『熱い! 熱すぎる!・・・ふーふー。このー。』
『・・・・・・』
汗ダクになったジュニア。圧倒的にタツヤが有利な状況だった。
『・・・いくぞー、フェニックスブレス!』
ジュニアが炎の鳥の様なブレスを放つ。ブレスはタツヤに襲いかかる。
『そしてー・・・不死鳥の息吹!』
光り輝く息吹がジュニアを包み込む。
『フーフー、これで少し楽になったぞ。』
不死鳥の息吹によって、ジュニアは傷の回復と少しばかりの耐性を得る。
『こっから反撃だー、おれのブレス!頑張れ!』
『・・・ビックバンファイア』
『あー!・・・・・・やばい!』
フェニックスブレスはタツヤの太陽の炎を凝縮した炎によって鎮圧された。ジュニアは口をあんぐりさせている。せっかく少しばかり回復したジュニアだが劣勢には変わりない。
『うー、強い、勇者強すぎる!』
タツヤの容赦ない固有スキルの連発にジュニアも必死に粘るが防戦一方であった。
『ぐー、しぬ!、父上、勝てない!』
『・・・』
遂にジュニアの体力が尽きかける
『ぐぅぅぅぅ、こうなれば秘密兵器・・・鳳凰眼!』
『・・・』
追い詰められたジュニアが鳳凰の眼を発動させた。上空の太陽が消失する。鳳凰眼による強制スキルキャンセルが発動した。
『熱くなくなった! いくぞー、フェニックスブレス!』
自由に動ける様になった一瞬の隙に、ジュニアが最後に残った力で、ブレスを連発する。
『・・・。グラビティ。ウイングバレット。』
『うおおおお。おれの炎、負けるなー!』
タツヤが魔法でブレスに対抗する。ジュニアはもう打つ手がなく、ブレスに賭ける。
『ぐぅぅ。負ける、おれのブレスが!』
数分の後、タツヤの魔法がジュニアのブレスをかき消した。そして鳳凰眼によるスキルキャンセルの効果も終わり・・・
『ビックバンファイア』
『ち・・・父上!すまん、おれ負ける!』
『・・・』
『ぐぅぅぅぅ、うぅぅぅぅ。かて・・・なかっ・・・た・・・。く・・・や・・・しい』
タツヤがジュニアにトドメの一撃をくらわした。ジュニアは対抗するすべもなく、絶命したのであった。
次回へ続く。
読んで頂きありがとうごさいます。ジュニアちゃん死んじゃいました。シクシク。
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