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固有スキル【スキルガチャ】で無双するけどのんびり国つくります。  作者: もふもふ祭り
第6章 闇に堕ちた勇者編
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第161話 ドラゴンの葛藤


side ドラゴン ドラゴン視点



15年前 ヨークシャー王国



『おい、我が息子よ。お前はまだまだ弱い。それに気が弱すぎる。15年だ。15年この国を守ってみせろ。』


『お・・・おやじぃ。そんなこと言わずに・・・。』


『じゃぁな、我が息子よ。15年後、どんな形でもよい。この国が滅ぼされることが無ければ合格だ。さらばだ・・・。』


『お・・・、おやじぃぃぃぃい。』




おれはドラゴン。誇り高き龍の一族だ。15年前おれはオヤジからこの国"ヨークシャー王国"を守り抜くようにとの課題を与えられた。おれが一人前と認められる為の使命である。




『ふふん。今日も倒したな。』


『おお!ドラゴンよ。いつもすまないな。』


『おお、ヨークシャー王よ。なんて事はない。おれの同化とお前たちの力があればな。ワッハッハ。』




5年後、今からちょうど10年前。おれはヨークシャーの守護龍となっていた。ヨークシャーの騎士達と協力して襲い来るモンスター達を倒していた。毎日の様に襲い来るモンスターもおれと騎士達の力があれば乗り越えていけた。最初は敵だと誤解されてしまったがいつしか信頼関係が生まれていった。




そして




《魔王がボーダー王国、勇者ルイによって討伐されました。これにより出現モンスターが激減します。》




『おお、ドラゴン。来てもらってすまないな。どうやら魔王が遂に倒されたようじゃ。』


『ああ!聞いたぞ。ボーダーのやつだな。よかったなヨークシャー王。』


『うむ、これで平和が訪れる。モンスターを狩る日々からも解放されるだろう。今までありがとう。ドラゴンよ。』


『礼はいらん。おれも楽しかった。まだ数年は近くの谷にいる。何かあれば呼んでくれよ。にしてもお前たちは異世界召喚しなかったんだな。すればこの国から魔王を倒すやつが出たかもしれないのに。』


『うむ。我が国は騎士達とそなたがいる。今もこれからも異世界召喚になど頼らんよ。』


『そうか。では、さらばだ』


『ドラゴンよ。たまには顔を出してくれよ。』




魔王が勇者ルイによって討伐された。それによりこの世界に出現するモンスターが激減した。おれはヨークシャーでの役割を終え、ヨークシャー近くの谷で過ごすことにした。定期的に訪れるヨークシャー王や騎士達とは多くの事を語り合い、思い出の品々も新しい住処を彩った。騎士達からの情報で、魔王を倒した勇者ルイは、その後ボーダーに戻り、研究に没頭していると聞いた。噂では魔王を倒す際に失った聖剣を取り戻す研究とのことだ。




5年前。




その日もおれはヨークシャー近くの谷にていつもと変わらずのんびりと過ごしていた。すると・・・




『ド・・・ドラゴーン!大変だ、す・・ぐに・・ヨークシャーに迎って・・・く・・・れ。がは・・。』


『どうした!何があった!?おい、大丈夫か、おい!』




突然ヨークシャーの騎士がボロボロの姿でやってきた。騎士はおれを見ると安堵して力尽きた。そして・・・




『・・・。お前、何者だ。』




おれの視線の先にはフードを被った得体の知れない男が立っていた。直ぐに臨戦態勢をとるが。




『お前が話に聞いたドラゴンか。おれはヨークシャーの勇者。お前は邪魔だ。死んでもらう。』


『なんだと・・・。勇者?そんなばかな。ヨークシャー王達はどうなった!』


『新しい王が誕生した。そしておれが召喚された。古き王達は皆死んだ。』


『ば・・・そんなばかな。』


『では・・・死ね』




勇者は物凄い強さだった。召喚されたばかりとは思えないくらいの力。スキル、魔法どれをとっても凄まじかった。




『う・・・ぐぅ。お・・・おやじ。すまん。ヨークシャーを守りぬくどころか、死にそうだ。』


『ふん、ずいぶん粘ったな。流石はドラゴンといったところか。では死ね。』




勇者がおれに剣を振り下ろす。十中八九死んだと思ったが・・・



『ぐ・・・。うぅ、ぐぅぅぅぅう。』


『なんだ?急に苦しみ出したぞ。』




勇者が急に苦しみ出した。満身創痍だったおれは、その隙に命からがら逃げ出した。




逃げ出してからのおれは色んな村で、自分よりは弱いやつと喧嘩して、食料をもらってと散々な事をした。強い奴を見ると、あの時の勇者のことを思い出してしまうのだ。このままではいけない。変わらなければいけないのにその一歩が踏み出せずにいた。




そして数日前、おれは得体の知れない小さい生き物と出会った。ソレは"お犬様"と呼ばれていた。新しく出来たシバ王国の王様らしい。戦ってみたが物凄い強さだった。よくわからないまま、逃げる間も無くやられてしまった。




そしてそいつが連れていたおれと同じくらいの大きさの火の鳥のジュニア。ジュニアは生まれたばかりにもかかわらず、おれとは違い、強い者にも物怖じせずに立ち向かって行こうとしていた。初めて勇者を見た時には少し怖じけずいていたが、今回の戦いでは率先して勇者と戦おうとしている。おれとは違ってすごい奴だと思った。というよりもシバ王の仲間たちは勇者たちの力を知りながら立ち向かおうとしている。




そして現在・・・




『ぐぅ・・・。』




おれの視界にはコリーが必死になって戦ってくらている。コリーは徐々に劣勢になっていく。このまま見ていては確実に負けてしまうだろう。




『おれ・・・ううう。まずい、まずいぞぉ』




ここで勇気を出さなければ、おれはずっとダメなドラゴンのままだ。




『15年だ。15年この国を守ってみせろ。』


『今までありがとう。ドラゴンよ。』




おやじの声、前ヨークシャー王の声、そしてヨークシャーでの思い出がおれの脳裏に駆け巡る。




今しかない。今は亡き前ヨークシャー王の為にも、おれの使命のためにも、そして目の前でおれを庇いながら戦ってくれているコリーのためにもやらなければいけない。今やれないでいつやれる。自宅の谷にはヨークシャーでの思い出を全て置いてきた。この戦いに勝って取りに戻るんだ。




『お・・・おれは家に帰るんだぁぁぁぁあ。こりぃぃぃぃ、今行くぞー』




おれは震える手を握りしめ、一歩を踏み出した。



次回へ続く。

読んで頂きありがとうごさいます。次回は勇者と戦います。


もし気が向きましたらブックマーク・評価いただけるとやる気が上がります。よろしくお願いします。



  ⋀_⋀

 (・ω・)

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