第157話 違和感
ヨークシャー王国 ヨークシャー城
『ち・・・。またシバのやつらめ・・・。』
『・・・』
『・・・』
ヨークシャー王が戻ってきた勇者2人を前に悪態をついている。ボーダーでの出来事は勇者を通して把握しているようだ。
『もう少し勇者の掌握を強化しなければ・・・』
ヨークシャー王は手にした魔剣を勇者にかざす。魔剣は異様な光を発して、勇者を包み込むのであった。
◇
sideワンコ
ボーダー王国
「まてやー、ケルベロス!このやろー。」
『ま・・・、落ち着け、いぬちゃーん!』
おれたちは勇者との戦闘を終え、ボーダー城まで戻ってきていた。ジュニアとドラゴンも聖騎士の生き残りを救助し戻ってきていた。そして、現在はというと
ケルベロスを追い回していた。なぜ、ボーダーにいるのかを追求するためだ。ケルベロスはケルちゃんに変化して逃げ回っている。そこへ
『シバ王よ! 落ち着いてくれ。あの度は礼を言う。そしてそこのケルベロスだが、申し訳ない! サチが連れてきたのだ。』
ケルベロスを追いかけ回しているとボーダー王が割って入ってきた。サチ?・・・。あぁニャンコ丸か。前に鑑定で見たとき、そんな名前だったな。
「ふむ、まぁついてきた以上は仕方ない。本来コイツはダンジョンにいなければいけないのだ。気にするな。」
おれはボーダー王に気にしないように言うが・・・
そうだった。通訳がいないから会話が出来ないんだった。いつも通訳してくれるコボルトはニャンコ丸の介抱でいない。仕方ない。
「おい、ケルベロス! もう追わないから通訳頼む!」
『おお、いぬちゃんの寛大な心に感動したぞ。通訳任せろ!』
ケルベロスはすぐにこっちにきた。さっきまで怒られていたのに、全く申し訳なさを感じない。ある意味すごいやつだ。
『んで、なにを伝えれば良い?ワシ天才だから通訳なんてお手の物よ。ガハハ。』
気持ちの切り替えも神がかっている。
「よし・・・。"今からケルベロスが1人でヨークシャーの王様を倒してくる"と伝えてくれ!」
『おうよ、任せとけ! 』
「任せたぞ。通訳もヨークシャーも。」
『お安い御用・・・。え?』
ケルベロスがこっちを二度見してきた。
「男に二言はないよな」ポンポン
『うぉぉぉぉ。勘弁してくれー。』
一通りケルベロスをいじり終えたので本題に入ることにした。
「ボーダー王、今回攻めてきた勇者が"剣"がどうとかいってたぞ。心当たりは?」
『・・・。ふーむ。ない・・・な。』
ボーダー王は少し考え込んだ様子を見せた。記憶を巡らせたのか、それともやましい事があるのか。少し引っかかるな。
『とりあえずこれからどうされる?我が国の聖騎士達では勇者の固有スキルに歯が立たなかった。申し訳ないが力不足だ。今体勢を立て直してもまた同じことになるだろう。正直慢心していた。』
「うーん、そうだよな。」
このままここで待っていても、向こうのペースだ。ここは思い切って・・・
「おれたちはヨークシャーにいく。今の王を倒せば解決するんだろ。」
『うむ・・・。気をつけるんだぞ。・・・くれぐれも勇者には・・・。』
その後、おれたちはボーダー王と今後についての話をして、宿屋に戻ることにした。ボーダー王から感じた違和感・・・悪いことが起こらないように気を引き締めてヨークシャーへいこうと思う。
次回へ続く。
読んで頂きありがとうごさいます。いよいよ敵さんの本丸です。少し遅くなり申しました。
ブックマーク・評価いただけると大変やる気が上がりますので、よろしくお願いします
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