第156話 撤退
sideワンコ
ボーダー王国近郊
《エクスプロージョンLv5がケルベロスに承認されました》
ガチャスキルのギフトによって、おれからケルベロスへの魔法の貸出が完了する。
「いけ、ケルベロス!」
『いぬちゃん、サンキュ! いっくぞー、エクス・・・プロージョン!!』
ケルベロスが魔法を使用した。
「なんだぁ・・・?」
『・・・いぬちゃん! これ大丈夫なんか!?』
ケルベロスの焦った表情を始めてみた気がする。ケルベロスがスキルを唱えると勇者たちの周りの空気が歪み始める。
鑑定眼で見たスキルの効果は、たしか任意の対象に爆発によるダメージみたいな感じだった。当然勇者はその歪みから離れようとする。
「ケルベロス! 勇者が離れてくぞ。とりあえずタツヤをなんとかしてくれ!」
『わかった、なんとかしてみる!』
タツヤの固有スキルが発動したままなので、猛烈に暑い。このままじゃここにいるのもしんどい。おれたちじゃなければとっくに消し炭だ。
ケルベロスが再びタツヤの方を向き、試行錯誤し始めた。空間の歪みが勇者に追随していく。
『いぬちゃん、 なんとなくわかったぞ!2人ともやっつけてやるわ、いくぞー!』
ケルベロス、何かをつかんだらしい。おれは念のため勇者たちからだいぶ距離をとる。
『ガッハッハッハッハ。さて、勇者よ。今まで散々攻撃してくれおったな。くらえー!』
ケルベロスのバカ笑いとともに、タツヤに追随していた空間の歪みが一気に凝縮される。そして・・・
「う・・・うぉぉぉぉぉお!なんじゃそりゃー!」
『わーはっはっはっはっは!いぬちゃん、すごいなコレ』
圧縮された空間が一拍おいて大爆発を起こす。タツヤは辛うじて躱すが爆発の衝撃で吹っ飛ばされる。
「でかした、ケルベロス。タツヤのスキルが解除されたぞ。」
『ガッハッハ。まだまだいくぞー!』
ケルベロスがタツヤを吹っ飛ばしたおかげで、タツヤの固有スキルが解除された。空間の歪みが再び吹っ飛ばされたタツヤに迫る。タツヤは必死に逃げるが、ケルベロスがその行く手を阻むように大爆発を起こす。勇者が少しずつ逃げ場を失っていく。そしてついに
『とらえたぞー! くらえー!ワッハッハッハッハー!』
ケルベロスの高笑いとともに勇者が大爆発に飲み込まれた。それにしてもこの大爆発、凄い性能だ。本当に認識した敵にしかダメージを与えていない。平原にもおれたちにも傷一つ付いていない。
流石URスキルだ。これなら例え街中でぶっ放したとしても、敵にしか当たらないだろう。(たしかスキルの使用時間には制限があったが・・・。)
「直撃したな・・・。」
『ワハハ。流石ワシ! 』
あの爆発だ。確実に無事ではないだろうが・・・
『・・・。ぐ・・・、ここ・・・は・・・。』
おお、タツヤの意識が。
傷だらけになったタツヤが瀕死の状態で意識を取り戻していた。タツヤには黒い光が漂っていない。
「でかした、ケルベロス!」
『おうよ、流石ワシ!』
ケルベロスは上機嫌でくつろいでいる。まだ終わってないのに。とりあえずタツヤだ。
「おい、タツヤ、 何があった!」
おれがナツに警戒しながらタツヤに話しかけると・・・
『お・・・おまえは。シバの・・・。ヨークシャーの・・・勇者・・・剣・・・。気を・・・つけろ。・・・。』
「おい、タツヤ。どーゆう意味だ!?」
『・・・・・・』
「おい!」
ダメだ。勇者に纏わりついていた黒い光がエクスプロージョンによって晴れたかに思えたが、一時的だった。ナツがタツヤを担ぐ。
『・・・・・・』サッ
ナツはタツヤを担いで撤退していった。
「去ったか・・・」
『ワシの勝ち!ガハハ』
とりあえず勇者の脅威は去った。なんか始めてケルベロスが誰にも迷惑かけずに仕事した気がした。とりあえずおれたちはボーダー城へと帰還することに決めた。
◇
sideジュニア
『おい、ドラゴン!どっちがいっぱい助けるか勝負だ!まぁおれのがすごいけど。』
『ぬぅ! おれが勝つに決まっている!負けんぞ』
ジュニアとドラゴンは勇者ナツにやられたボーダー王国聖騎士達を救助しにきた。2匹は次々と聖騎士達を背中に乗せていく。
『おいドラゴン、 いくぞー!』
『おうよー、戻るぞー!』
2匹が全ての怪我人を背中に乗せ終わったとき
『う・・・おぉぉぉぉお。なんだこれ』
『うぉぉお。ジュ・・・ジュニア。何事だ。』
ワンコとケルベロスが戦っている場所に太陽が出現したかと思うと、今度は爆発。もの凄い威力の攻撃の応酬が繰り広げられている。ジュニアは戦いを凝視し、ドラゴンはガクブルしている。
『・・・。おれもあれくらい強くなる!』
『お・・・おれもだ!当然だろう・・・!』
ジュニアが強い目で、その戦闘を見ながら強くなる決意を固めるのであった。ドラゴンは弱い目でジュニアに張り合うのであった。
次回へ続く。
読んで頂きありがとうごさいます。ケルベロスもようやく仕事しました。
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