第148話 城下町にて
sideワンコ
ボーダー王国近郊
「もうすぐボーダーだな」
『そうね。ドラゴンの話が本当であればヨークシャーが攻めてきていてもおかしくないわね。』
ニャンコ丸が少し不安そうに応える。ニャンコ丸がボーダーの心配をするあたり、ボーダーという国は異世界召喚者にとって良い国なのかもしれない。
「おい、ニャンコ丸。ボーダーはどんな国だ?強い奴らはいるのか?」
『うーん。少なくとも国自体は異世界召喚者の私に協力的だわ。王様はとても良い人よ。それに聖騎士達が協力すれば勇者1人くらいは抑え込めるかもしれないわ。ボーダーが勇者を召喚出来ていたら今頃この大陸で一番の大国になっていたと思う。』
なるほど。おれが今までに絡んだ国々と違って、ボーダーは堅実な国家運営をしているようだ。勇者頼りになっていない。これはシバに関しても同じことが言える。おれやケルベロス頼りにならないようにしていかなければならない。
『そろそろね、コリーさん! とりあえず私は城に戻るわ。ただ、状況によっては引き返すわ。』
『承知した。私は冒険者ギルドにいく。夕方になったらギルドに来てくれ。来なければ何かあったと判断する。』
『わかったわ。とりあえずいぬさん達は少しここでまってて。』
「わかった。」
そろそろボーダー王国が見えてきた。ニャンコ丸とコリーはおれたちにそう言うとボーダーへと駆けていった。ちなみにおれたちは急に行くと100パー敵だと勘違いされるのでその辺の茂みに待機する。ジュニアとドラゴンがいなければそんなことは気にせずに向かうことができるのだが、こればかりは仕方がない。
『おいドラゴン!おれのがいっぱい乗せれる!凄いだろ!』
『む、そんなことない! おれのが凄い。荷物が多い!』
ジュニアとドラゴンはくだらないことで盛り上がっている。どちらとも自分への愛が凄い。
◇
「うーむ、まだかな。」
『犬様! 私が様子を見てきましょうか?』
待つこと1時間。少し遅い気がする。オークが城への偵察を志願する。
「うーん、何があるかわからんぞ。」
『はっ、ですが少し遅いので、ニャンコ丸に何かあってからでは遅いかなぁと。』
オークのいうことも一理ある。1時間が経つ。このまま待って、後ほど取り返しのつかない展開となることだけは避けたい。どうする・・・
「うむ・・・。じゃぁオーク・・・ん?」
『いぬさーん。お待たせしました!』
オークに偵察を頼もうとしたその時、ニャンコ丸が城から出てきた。少し心配だったが、どうやら無事らしい。
『すいません。少し荷物の整理といぬさん達の説明で手間取りまして。』
「いや、心配だったから無事で良かった。」
『それじゃぁ先ずは国王に会って貰っても良いですか?』
「おお、いいぞ。」
『じゃぁ皆も城へ、あ、ジュニアとドラゴンも大丈夫だよ。』
流石ニャンコ丸。ジュニアとドラゴンまで城に来ても良いらしい。おれたちはニャンコ丸に連れられて城へと向かうのであった。
◇
『おー、父上!あれ食いたい!』
『あ、おれもそれ食いたい!』
「ったく。(おれよ食いたいから)買ってやるよ」
ボーダー王国に入った。城へと向かっていたのだが、その道中で色々な障害にぶち当たる。ちょうど今も障害(ただの屋台)にぶち当たったところだ。
「オーク頼む。」
『はっ。お任せを』
オークに買いに行ってもらう。おれが人間と喋れたら自分で行くんだが。幸いミーアのお陰で貯蓄はたんまりある。
『おい、店長。』
『へ、へい!らっしゃ、ふえ!?』
屋台の店主はおれたちを一目見て目を見開いてた。ニャンコ丸が一緒にいるとはいえ、店主以外の王国民達もおれたちのことをガン見している。
『い・・・いらっしゃいませ。今日はなにを・・・?』
『全部だ・・・』
『ふえ?』
『店の食べ物全部だくれ。』
『は・・・はひ!』
オークが屋台の品物を全部買い占めて来た。
『オーク! その横も頼む!』
『ぬ! オークさん!その横も頼む!』
ジュニアがオークにその横も買い占めるように頼む。ドラゴンが追随してその横も買い占めるように頼む。
店主は突然のバブルに大喜びだ。それを聞きつけて
『あ・・・あんちゃん。これ食べるか?』
『まぁ、可愛いモンスター。これ食べる?』
『おっきいモンスターね、これ好き?』
ほかの店の店主達がおれたちに試食を振る舞いだした。
『おお、うまい!コレ全部くれ!』
『うおお、これもうまい!』
・・・・・・。城で王を待たせているのに、宴会のようになってしまった。やばい。
「ニャンコ丸、コーギーすまん」もぐもぐ
『ま、まぁ良いですよ。まだボーダーが平和な証拠ですし。』
『ボーダーの食べ物は美味しいワン。』もぐもぐ
ニャンコ丸も呆れた顔をしていた。コーギーも試食をつまみまくっていた。
「おい、オーク。とりあえず腹満たしたら行くぞー」
『いぬさま りょーかいです! カー、うまい!染み渡る!お姉さん、もういっぱい!』
オークがお姉さんに酒を振舞われていた。まったく、こいつら。ほんとに食に対しての欲が凄い。仕方ない。おれは諦めて、お腹を満たしてから城へ向かう事にした。
◇
sideボーダー王国 国王
ワンコ達が城下町で宴会している頃
ボーダー王国 玉座の間
『おそい・・・。』
国王は今か今かとワンコの到着を待っていたのであった。
次回へ続く。
読んで頂きありがとうごさいます。寄り道してしまいましたね。
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