第147話 計画
sideヨークシャー王
ヨークシャー王国 玉座の間
『ふふふ。計画通り。こうなってしまえばシバの武闘大会さまさまだな』
ヨークシャー王が玉座に座ってほくそ笑んでいる。その目の前には2人の勇者。
『シバのお陰で勇者不在の王城を楽に制圧できたな。あのじじい達の平和ボケのお陰だな。しかもじじい達をダシにして本命の勇者まで掌握できるとは。』
勇者は沈黙してなにも喋らない。勇者からは黒い光が漂っている。
『ふむ、シュナウザーの研究も無駄ではなかったな。この剣も本来の力を取り戻した。・・・素晴らしい。』
ヨークシャー王が自身の腰におさめた剣を抜き、その禍々しい黒い輝きに見惚れている。
『さて、お前たち。ボーダーを落としてこい。』
ヨークシャー王が剣を勇者に向けそう命令する。2人の勇者はそれに従い、無言でボーダーへ向かっていった。
『ふ・・・。まさか勇者を操れるまでに至るとは。ボーダーの次は、シバ側についているバンドッグ、ブルテリアだ。もう少し・・・もう少しで大陸統一だ。ふははは、ふははは!』
ヨークシャー王の高笑いが城中に響いた。
◇
シバ王国 side相方ワンコ
「くぁぁぁぁあ。暇だ・・・。」
鳳凰の一件があってから数日。その後は特に何事もなく平和に過ぎ去っていた。暇に越したことはないのだが。にしても平和だ。
そういえば・・・なんで暇かわかった。騒がしいやつらがいないのだ。オークもジュニアもコボルトもコーギーとかもいない。リンは引きこもりなので騒がしくないし。しかも、鳳凰に精霊界の話をされてから熱心に調べ物をしており尚更静かだ。そんでもって一番の暴君が最近姿を見せない。ケルベロスだ。これまでは頻繁に城で暴れまわっていたのに何故だろうか。とりあえずは・・・
「おーい、ミーア。」
『あら、いぬさん。どうしましたー?』
ミーアに聞いてみることにした。
「んー、いや。最近ケルベロスみたか?」
『そういえば、最近は全然ですねぇ。あ、そういえば良いミルク仕入れましたよ。』
「なんだって?くれ!」
『はいはい。』
とりあえずミルクが最優先だ。おれはミーアに最高級ミルクをご馳走になることにした。(いつも請求書は来る)
「ぷはー。うまい。うまいな」
『よかったです。他にも色々仕入れましたよ。見てきますか?』
「おー、みるみる。お、これも食いたいな」
『はいはい。今出しますね』
他にも美味そうなものがいっぱいあった。ミーアのやつ、なかなかやりおる。今日はミーアの店で食欲の赴くままに過ごすことにした。ケルベロス?
どうでも良くなってしまった。
◇
シバ王国 ダンジョン99階層にて
side鎧ちゃん
『ふー、良いお茶ですねぇ』
『はい、やっぱり鎧さんが淹れたお茶は最高ですねぇ』
『あのー、私、骨だからお茶は飲めません。』
3匹がテーブルを囲んで会議をしていた。鎧ちゃん、スノードラゴン、スケルトンナイトである。
『いやー、最近忙しくなってきました。結構通しましたが、スノードラゴンさんどうですか?』
『何人かきたぞー。楽しかった。鎧さんは?』
『私のところにも数人来ました。強い方々でしたねぇ。』
3匹は雑談に花を咲かせる。一通り近況報告が終わったところで鎧ちゃんが切り出す。
『そういえば・・・。実はですね・・・。ケルベロス様が、』
『ええ。知ってますよ。ダンジョン内のことなのでわかります。』
『わたしも同じくです。外に出れるのが本当に羨ましい。』
鎧ちゃんが全てを言い切る前に、他の2匹は既に知っているようであった。鎧ちゃんがそんな2匹を見て、安心したように口を開いた。
『知ってましたか。それならケルベロス様から伝言です。いぬ様がダンジョンに来たら、"ワシが居ない事は内緒にしといてほしい"・・・だそうです。』
『むりでしょ』
『いやー、むりです。』
『ですよね』
鎧ちゃんがケルベロスからの伝言を2匹に伝える。2人は考える間も無く、即答したのであった。ケルベロスの計画は脆くも・・・いや、脆すぎて崩れたのであった。
次回へ続く。
読んで頂きありがとうごさいます。ケルベロスは何処に?いやー、なぞは深まりますねぇ
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