第146話 違和感
コーギー村 sideワンコ
やっと終わった。とりあえず依頼通りドラゴンを撃退できた。おれは急いで相方との並列思考を元に戻す。
大丈夫だろうか。
「・・・・・・おお。よかった。」
なんとか無事みたいだった。相方は既に犬小屋で就寝中だった。とりあえずジュニアが鳳凰の息子ということが判明した。押し付けられた形だが、ジュニアになんかあったら鳳凰にぶっ殺される気がするので、頑張らなければ。めんどくさいことになってしまった。
その後、おれがドラゴンを倒したことで、村人たちが出てきてちやほやされまくった。ドラゴンは話を聞きたいので、捕らえておいてもらうことにした。
◇
しばらく経過した頃
『うぐ・・・。はっ! ここは?』
ドラゴンが目を覚ました。
「お、起きたか?」
『あー、お前は・・・。おれは負けたのか』
「ああ、だいぶ寝てたぞ」
『おれが負けると不覚!』
ドラゴンは負けたにもかかわらず少し嬉しそうだった。とりあえずドラゴンから話を聞く。
「お前、どっから来たんだ?なんでこの村に居座ったんだよ。」
『ふむ、仕方がない。おれの究極必殺技も防がれたから特別に教えてやろう。おれはヨークシャー王国近くの山に住んでいた。だが殺されそうになったので命からがら逃げて来たのだ!』
なるほど。ヨークシャー領から逃げて来たのか。自信満々に逃げて来たとか言われるとカッコ悪い。だが、そうなると・・・
「ヨークシャー領でなにが起こってる?」
『しらん!おれは自由気ままに暮らしたかっただけだ。』
「お前を襲ったやつはどんなやつだった?」
『顔は見えんかったが、聖剣をもっていたぞ。だからおれは住処に戻るために強くなって勇者を倒さねばならん!』
なるほど。こいつもこいつで事情があったようだ。にしても勇者ときたか。ヨークシャーには勇者はいないと睨んでいたが間違いだったのだろうか。
「おいドラゴン。お前、なんでこの村に居座ったんだよ。」
『この村の奴らはそこそこ強かったからな。修行だ。あと飯も食える!』
「それならボーダーとかでもよかっただろ」
『いや、ボーダーはヨークシャーから攻められそうだからな。わざわざ戦場にいく必要はない!』
なるほど。ヨークシャーは、次にボーダーを攻めるつもりなのか。これはニャンコ丸とコリーを早く連れていった方が良いかもしれない。
「ちなみにお前のせいで村の食料が殆ど無いんだぞ。」
『え・・・。そうなのか。知らんかったぞ。』
村がピンチだという事も知らなかったらしい。このドラゴン、だいぶ自己中である。
とりあえず一通り話が終わったところで、村長や皆を呼ぶことにした。
◇
「とりあえずこのドラゴンどうする?話によると村が食糧難だって知らなかったらしいぞ」
『そうなのかワン。それなら罰として一緒に連れていこうだワン。』
コーギーがドラゴンもボーダーに一緒に連れていくことを提案する。
『お犬様、悪いやつではなさそうですし、連れてった方が、便利ではありませんかね。』
『私も賛成です!』
『そうそう。ジュニアとドラゴンがいれば快適だワン。』
コボルトとオークも賛成みたいだ。まぁ3人ともそういうなら問題ないかもしれない。
『私も賛成だ。ヨークシャーに敵対してる仲間は多い方が良い』
『私も賛成よ。荷物運んでほしいし』
コリーとニャンコ丸も賛成してくれた。ニャンコ丸の荷物がゴソゴソ動いている。絶対なんかよからぬものが入ってる気がする。
とりあえず全員が賛成とのことで、ドラゴンは少しの間おれたちと同行させることに決まった。
「というわけだ。ドラゴン。負けたからにはしばらくはおれたちについて働いてもらうぞ。」
『むむ、し・・・仕方ない。ボーダーには行きたくないが・・・。』
「ご飯と修行はつけてやるから安心しろ。」
『おお!よし、行ってやるぞ!』
こうしてドラゴンが一時的にだが仲間になった。
◇
「さて、そんなにゆっくりもしていられないので早速向かうとするか。」
『はい。お犬様、ジュニアとドラゴンの準備は万端です。』
『犬様、あのドラゴンは騎士団の一員にしてもよろしいでしょうか!』
おれたちはすぐにボーダーへと向かうべく、飛び立つことにした。コボルトは相変わらず段取りが素晴らしい。オークはドラゴンを手懐けようと画策しているようだ。好きにしろといっておいた。
「さて・・・ジュニアいくぞー」
『はい、父上!』
『出発だワン!』
・・・
『早く乗れワン』
ジュニアの上には既にコーギーが乗っていた。
・・・・・・。さっきからなんか違和感があると思っていた。
『どうしたワン?』
「どうしたもなにもコーギー、お前目的は達成されただろ。」
なぜかコーギーも準備万端で、一緒に行くていになっている。そこへ・・・
『あのー、うちのコーギーを宜しくお願いします。』ペコリ
『お世話になるワン。』
村長がおれの元にやってきて頭を下げた。なんてこった。
『うちのを宜しく頼みます。なんなら嫁入りも大丈夫ですので!』
『宜しくだワン。嫁でも良いワン。』
・・・。しかも嫁かよ。その時、瞬時におれの前にコボルトが立ちはだかった。素晴らしい反応。
『あら、コーギーちゃん。一緒に行くのは良いけど、抜け駆けはだめよ』
『うお、コボルトちゃん! わ、悪かったワン。宜しくだワン。』
コボルトがコーギー親子に抜け駆けしないように釘を刺し、一緒に行く許可を出していた。
こうして、おれたちはコーギーを仲間に引き入れて、ボーダー王国へと向かうのであった。
次回へ続く。
次回、ボーダーに突入します。
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