第143話 タイミング
本日もかなり長くなっております。
コーギー村 side ワンコ
コーギー村にてコーギーのせいで早々に計画が崩れドラゴンと戦うことになってしまったわけだが・・・。
『さぁ、ちっこいの。かかってこい』
「行くぞ・・・。ん?ま・・・まずは様子見肉球パンチ!」
おれはドラゴンの周りを駆け回り、体勢を崩したところに様子見の肉球パンチをお見舞いした。様子見パンチとなったのには少し事情がある。
『ぐお!やるな、少しきいたぞ。ではおれのばん、ドラゴンブレス』
おれのパンチは若干きいたようだが、すかさずドラゴンの口から勢いよく炎が吐き出された。痛いのも熱いのも嫌なので、俊敏を使いながら上手いこと避ける。
正直このドラゴンには勝てる気しかしない。
『ほう、お前少しはやるようだな。ならば少し真面目にやってやろう。』
「こっちは忙しいんだ。早くこい」
早々にドラゴンとの話をつけたい。正直、目の前のドラゴンより、先程、シバで留守番中の相方の方がヤバイ状況と言うことが判明し全然勝負に集中できない。
『そんなに勝負を焦ることはない。おれが強くなるための練習台になってくれ。少し本気でいくぞ・・・ドラゴンパーンチ!』
ドラゴンは今度は只のパンチを繰り出してきた。ドラゴンパンチとかドラゴンブレスとか、技名じゃないだろ。要は只のパンチとファイアブレスである。
ただ、腐ってもドラゴンには変わりないので、早いしパンチの威力もなかなか凄そうだ。当然避けるわけだが・・・
『ふん、ふん、ふん!おお。全然当たらん。やるなぁお前。こうなれば・・・百烈ドラゴンパンチ!』
ドラゴンの拳速が格段に上がった。当然これも只のパンチなのだが、これはすこし早い・・・。
『ふん、ふん、ふん。おお、当たったぞ。ほら、もっとくらえ!』
「いて、うえ、あて、ぐふ」
勝負に集中できないのも相まって、数発もらってしまった。そのパンチによっておれは数10メートル吹っ飛ぶ。
『ぐはははは。おれのパンチをくらって立ち上がったやつなどそうそうおらん。勝負あったな。ちっこいの。』
ドラゴンは勝ち誇っている。なんかちょっとイラっとする。
『さぁ、次だ。次のやつ、かかってこい。それか飯をよこせ。』
少し調子に乗らせてしまったようだ。もう勝負がついた気でいやがる。
「よっこいしょ。おい、何言ってんだ。これからだぞ。」
『うぉ! なにぃぃぃい! た・・・立ち上がるだとぉ?』
ドラゴンはおれが立ち上がってピンピンしてるのを見て顎が外れそうなほどビックリしていた。まぁ正直URスキル、トロピカルボディによって、どんな攻撃もそんなにダメージを受けないんだが。
URスキルや固有スキル並みの威力の攻撃をくらえばどうなるかわからないが、それ以外の攻撃については、被弾してもほぼ無傷なのだ。さて、少し遊びすぎた。相方の心配より、まずはこちらを終わらせることにする。
◇
シバ王国 side相方ワンコ
『おい、一応言っておくが、2人同時にかかってくることをお勧めしておくぞ。』
シバ城で留守番中のおれだったのだが、今のこの状況は非常にまずい。おれの目の前には巨大な真紅の怪鳥。見た目は正直見惚れてしまうほど美しい。
なんの恨みがあるかわからないが、コイツのプレッシャーは相当なものを感じさせる。
『いぬさん、僕も本気を出します。いぬさんもよろしくお願いします!この一撃に全力を尽くします!』
リンがおれにそう叫んだ。リンからは滝のように汗が滴り落ちている。アイツ、恐らくおれとリンだけにプレッシャーを与え続けている。
「わかった!だが、アイツはヤバイ。自分の命を優先しろ!」
『はい! いくよ大精霊、そしてコボルトも力を貸してくれ!』
『はい! 9匹で不完全ですが、全力で行きます!リンさんとはぶっつけ本番ですがやります!』
コボルト達もリンのフォローに回る。
『みんないくよ! 大精霊・・・顕現だ!』
『はいさ、いくわよリンちゃん。』
『ふぉぉぉぉお、準備万端です!』
リンの掛け声とともに、コボルト達は七色にそれぞれの属性を纏いはじめた。大精霊は・・・小さな妖精サイズの大精霊が光り輝く。
「おお。」
『ほお、これはたしか・・・。我も聞いたことがあるな』
おれがその光景に魅入っていると、怪鳥もそれを興味深そうに見ていた。
『・・・ふう。二度目の顕現ね。リンちゃんいくわよ。相手は鳳凰よ!』
・・・。大精霊が顕現した。大精霊は元々妖精サイズだったのだが、今おれの目の前にはいるのは、リンと同じ身長くらいで黒髪ロングの清楚系のお姉さんといった感じだ。前に聞いたリンの大精霊のイメージそのまんまといった感じだ。しゃべりさえしなければだが。
そして・・・鳳凰。元の世界イメージだが、鳳凰はヤバイモンスターな気がする。おれの鑑定眼でもわからなかったし、大精霊はコイツのことを知っているらしい。とりあえず、おれたちの力がどこまで通用するかわからないが、おれもリンにつづく。
『威勢は良いが、その男にお前をを使いこなせるだけの力があるのか?精霊界であればお前は我と対等くらいの力があるだろう。・・・どれ、試しに受けてやろう。』
『うるさいわね、リンちゃん舐めるんじゃないわよ』
大精霊が清楚なナリで鳳凰にメンチを切っている。すごい光景だ。
『さぁ、こい!我を楽しませろ。』
『大精霊、コボルトいくぞ・・・エレメンタルバースト』
リンが大精霊に触れると大精霊は光の玉となってコボルト達と合わさった。合わさった瞬間、コボルトの纏っていたそれぞれの属性が爆発的に大きくなる。
『さぁ、コボルト行くんだ!』
『ふぉぉぉぉ!これはすごいです!みんないくよー、レインボーロード!』
リンの掛け声とともに、コボルト達9匹による360度一斉攻撃が始まった。それぞれの属性を纏った玉(コボルト達)が通った場所は道の様な跡をつくる。
・・・。
・・・どうだ。おっ・・・
攻撃があたる・・・。いや・・・
『はっはっは。面白い。こういう戦い方もあるわけだな。知らなかったぞ!それ、はっ、おお、痛いぞ!』
鳳凰がその羽根でコボルト達の直撃を塞いだ。少しダメージが通った様だが、戦況はなかなか苦しい。
『おい、お前。惜しかったな。だが面白かったぞ。もう少し大精霊を上手く使うんだな。勿体無いぞ。』
鳳凰がリンにアドバイス的なことを言うと
『まだ、終わってない。・・・ファンブル!』
リンの身体から再び光の玉がコボルト目掛けて飛んで行く。
『ほ・・・ほぉぉぉお。リンさん。これも凄いです。行きますよー!』
コボルト達に光の玉が当たった、その瞬間、コボルト達が引かれ合う磁石の様に、1つに合わさり魔力同士が暴走し始める。そしてその動きも・・・
『ほぅ。予想を超えてくるか。それ、ふん!』
先ほどと同じようにコボルトが直撃する瞬間を狙って鳳凰は羽根でガードするが・・・
『ここです! このやろぉぉぉぉお!』
『う、うぉぉぉぉぉお!いたたたたた!』
コボルトのその動きは先ほどの直線的な動きから一転する。鳳凰に直撃する瞬間、ガードをかいくぐり鳳凰の羽根の内側に侵入したのだ。コボルトの直撃を受けた鳳凰は結構痛がっている。
『ふー。我に攻撃を直撃させるとは。いたたたたた。』
『イェーイ!見たか、私達の力を!』
『ふん、リンちゃん舐めるんじゃないわよー!』
コボルトも大精霊も喜びを爆発させている。だがリンだけは少し浮かない表情だ。まぁダメージがそんなに通ってないのは明白だからな。
『いやー、期待以上だった。次はもう少し頑張れ。』
「・・・」
鳳凰の口ぶりからしてリンとコボルトは大丈夫そうだ。おれはというと・・・
「・・・」
『む・・・。おい。一緒にかかってこいと言っただろう。なにしてる。』
「・・・・・・」
完全に一緒に攻撃するタイミングを見失ったのであった。どうやら単独で鳳凰に挑むことになりそうだ。ゲームで言えばハードモード・・・いや、エクストラハードモードと言ってもよいかもしれない。こいつを認めさせれば助かる可能性が高い。出し惜しみせず、やれるだけやろうと思う。
次回へ続く。
読んで頂きありがとうごさいます。次回は鳳凰vsワンコです。
もし気が向きましたらブックマーク・評価いただけるとやる気が上がります。よろしくお願いします。
⋀_⋀
(・ω・)
/ U ∽U\
│* ブ *│
│* ッ *│
│* ク *│
│* マ *│
│* │ *│
│* ク *│
│* 評 *│
│* 価 *│
│* し *│
│* て *│
│* ね *│