第142話 襲来2
ブックマーク400超えました。いつもありがとうございます。今回はだいぶ長くなっております。ステイホームでゆっくり読んでもらえたらと思います。
シバ王国 シバ城
「ふぁぁぁあ。ひますぎる。やっぱりおれが行きたかった。」
おれは留守番している。やっぱりおれがボーダーに行けば良かった。相方は宴会したり楽しくやっているようだったので羨ましい。
ちなみに現在の相方の様子だが、例のコーギー村でドラゴンと話をしているようだ。話し合いでは終わりそうになさそうだ。
『いぬさん、良かったらコボルト達と特訓しませんか。』
『私は反対だけどリンちゃんが言うならしょうがないわね。』
「・・・・・・。いやだ。」
久しぶりにリンが外に出てきた。なんかコボルトの特訓にリンも混ざって何かを完成させるらしい。リンと大精霊、この感じをみるのも久しぶりである。
『ったく。リンちゃんが久々にやる気出してるのに付き合い悪いわねー、あんた。』
「おれはのんびり生きる種族なんだよ。むしろ犬小屋にいるのが仕事で、今仕事中だ。てか大精霊、お前もう元の姿に戻れるだろ。」
『私はこの姿のままでいいの。寧ろ戻ると疲れるのよ』
相変わらず大精霊はリンのことになると熱心である。
「まぁ頑張れよ。おれはもう一眠りするからな。」
『ったくー。すぐにリンちゃんの方が強くなってやるんだから見てなさいよね。』
『大精霊、おれはのんびりやれればいいんだよ。いぬさん、それじゃぼくらは行きますね』
リンと大精霊が城から出て行こうとする。その時、
「うわっ、なんだ・・・。これはヤバイ。」
『リ・・・リンちゃん!ヤバイのがくるわ。戦いに備えて!』
『わ・・・わかった。なんだこの気配は・・・。』
突如として、物凄いプレッシャーが襲いかかってきた。これは勇者ジンやケルベロスから感じた威圧感の比ではない。
『お・・・お犬様!これは何事ですかー!』
コボルト9匹も何事かと駆けつけた。気配と実際の強さがリンクするとは限らないが、この気配は前におれがURスキル縦横無尽LV1を使った時に似たものがある。その気配はどんどんシバ城まで近づいてくる。
『あんた、来るわよ!ヤバイのが。』
「わかってる! お前もリンを守れよ。大精霊!コボルトもおれがやばかったら逃げろ!」
『お犬様についてきます!』
その気配が城の真上に到達した。おれたちが急いで城からでると・・・
「ほう・・・。匂う、匂うぞー。」
真紅に燃え盛る炎を纏った巨大な鳥が羽ばたいていた。ジュニアも美しかったが、この鳥は大きさも美しさもそれ以上だ。なにより気配がヤバイ。
「鑑定眼・・・」
・・・・・・。なにも見えない。ジュニアもなにも見えなかった。と言うことはもしかして。
『ほう、鑑定眼も使えるのか。まぁ我のは見えんだろう。』
「お前、何者だ?」
『ほう、我にお前とは。威勢がよいな。とりあえず、お前と・・・お?そこのお前。我が相手をしてやろう。かかってこい。』
巨大な鳥はおれとリンを指差した。敵の思惑に乗ってはいけないのはわかっているが、今はそれどころではない。こいつには素直に言うことを聞いておいた方が良い感じさえした。
「リン・・・。いけるか。」
『はい・・・犬さん。とりあえず全力でやれるだけやりましょう。』
『ふ、その粋だ。本気でかかってこい。』
先程までの平和な日常がこの短時間で終わりを告げた。この鳥相手にどこまでやれるか・・・。シバ王国が建国して初めての窮地。なんとしてでも切り抜けねばならない。
◇
真っ白な空間
『ほっほっほ。なかなかいい感じじゃわい。にしても鳳凰め。素直にことを運ぶ気がないのか、あやつは。』
1人の老人がニヤニヤしながら床に映し出された異世界の光景をながめている。老人・・・いやただの老人ではない。神さまであった。
神さまの後方には似たような格好をした者が、もう1人。比較的年齢も若い好青年といった感じである。
『それは・・・なにしてるんだ?じいさん。』
『ほほ、ちょっとまっておれ。地球の神よ。』
その好青年は地球の神であった。
地球の神はじいさんを見て不思議そうに首を傾げる。
『おまたせしたわい。いや、これで世界の様子を確認しておったんじゃ。』
『へぇ。わざわざそんな風に見るなんて面白いね』
地球の神は興味津々で応える。地球の神にとっては、わざわざそんなもので世界の様子を見ると言うのが変わっていると見えたようだ。その後雑談が始まる。
『最近楽しそうだよな。じいさん』
『ほほ、まあの。頭を悩ませていた問題の解決法が見つかりそうでの』
じいさんは少し嬉しそうである。
『ふーん。あれか、前に言ってた異世界召喚者が悪さするやつか』
『そうじゃそうじゃ。彼奴らの中にはとんでもない悪巧みをするものがいるからな。其奴らを間引きする方法を考えたのじゃ。』
それを聞いて、地球の神も考える。
『へー。でも直接は干渉できないだろ。』
『まあの。そこで転生者に頼むことにした。』
『転生者か。なるほど。転生者ならじいさんの裁量で転生させられるわけか。』
『そうじゃ。異世界召喚には手出しできんが、転生であれば、転生する前にわしのところを通る。そこで見込みがありそうなものを選別するんじゃ。』
地球の神もそれを聞いて少し納得したようである。
『なるほど。だが、地球から異世界の転生だと人の姿じゃないだろ。大丈夫なのか?』
『ん?ああ。最近それでも問題なさそうな者を見つけてな。』
『それで嬉しそうだったのか。異世界転生は滅多におきないからな。良いのを見つけたな』
『ほほ、そもそも地球のようにスキルとか魔法とかがない世界なら良かったんじゃがな。まぁそれを言っても、そうなっている以上仕方ないんじゃがな。』
地球の神もそれを聞いて少し嬉しそうである。地球の神にとっても、自分の管理する地球の人間が異世界に迷惑をかけている現状には頭を悩ませていたようだ。
地球から地球、異世界から異世界であれば、人のまま転生できる。だが、ごく稀に異世界から地球、地球から異世界への転生が発生する。そうなると同じ姿のまま転生できるなんて甘いものではなく、大体が異なる姿となる。必然的に苦労した人生になってしまうため、神が手厚くフォローするのだ。
『ほほ、本当に良かったわい。あと念のため聞くが、異世界召喚を辞めさせたり、間引くことはできんのか?』
『それはなかなか難しい。そもそも異世界召喚は転移に近いから私たちのところを通らないし。人間たちの悪知恵というか、理の穴をついたようなものだ。』
『ふーむ、本当に困った奴らじゃ。最近だと同じ異世界召喚者を操ろうとする者まで現れおったからな。』
『それは困ったね。ほんとに当たり外れの差が激しい。申し訳ないが、そのじいさんが見つけた転生者に期待するしかないな。』
『ほほほ、まぁあのワンコなら大丈夫じゃろう。』
『へぇ。僕もそのうちあってみたいね。・・・ワンコ?』
その後も2人は雑談を続けるのであった。
次回へ続く。
読んで頂きありがとうごさいます。ワンコ、常に何かに巻き込まれております。
もし気が向きましたらブックマーク・評価いただけるとやる気が上がります。よろしくお願いします。
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