第140話 情報収集
次の日の朝
『全くー、トラブルはダメですよー』
「すまんすまん。おい、オーク、ジュニア、気をつけろよ」
おれたちは滞在していた村を無事出発した。オークとジュニアが酒に酔って大騒動になってしまったがなんとか一夜をやり過ごすことができた。
『犬様、申し訳ありませぬ。以後気をつけます。』
『すまん父上!』
オークもジュニアも一応反省しているようであった。
『にしても、村の食べ物を食い散らかすのは良くありませんよ。』
「まてまて、何度もいってるがそれはおれたちじゃない。」
『でも、私たちが泊まるまではそんな事無かったっていってたワン。』
どうやら夜中に村で食い逃げ被害が多発したらしい。真っ先におれたちが疑われた。というより、おれたちしか怪しいのがいなくて完全に濡れ衣なのだが、否定できるだけの材料がなかった。
結局、S級冒険者コリーの御一行ということで、評判を落とすわけにもいかないので、何故かおれたちが色をつけて弁償する事になってしまった。
「にしてもそんな食い意地の悪い奴がいるんだな。ケルベロスくらいかと思ったぞ。」
『そ・・・そうですね。まぁ世の中には悪い奴らがいっぱいいますからね。』
ニャンコ丸が大荷物を抱えながら応えた。なんか大荷物が動いた気がしたが気のせいだろうか。
こうして、おれたちはボーダー領の国境を超えたのであった。
◇
『もうすぐだワン。この先に私の村があるワン。』
おれたちは順調に旅を続けていた。早いもんで、もうコーギーの村の近くだ。これも偏にジュニアの頑張りのおかげである。ちなみにジュニアはまた、おれの背中で死にそうになっていた。
『前に言った通り私の村は突然住み着いたドラゴンに困っているワン。追い払って貰いたいワン。あいつ村の食べ物全部食う気だワン。』
・・・
・・・。てっきり村を襲っているのかと思ってた。あんまり詳しく聞いてなかったので寝耳に水だった。どうりでシバでゆっくりしてると思った。
「おお、任せろ。そういう事なら一回話してみる。」
とりあえず一度ドラゴンと話をしてみようと思っている。村へと到着した。村には獣人しかいなさそうだ。見た目は人間の村とそんなに変わらなかった。
ちなみにジュニアが村に入らないほうが良いか確認すると、別に大丈夫との事だった。一応だが・・・
「おーい、ジュニア。」
『んー?』ゼーハー
「お前小さくなれないんか?」
『むり!』
無理だったようだ。満身創痍のジュニアを担ぎながら、おれたちは村へと一歩踏み入れた。
◇
コーギー村に到着したおれたちだが、村に入ると村人達が驚いてすっ飛んできた。獣人達の村というだけ見た目は様々だ。その中の1人が出てきた。見た目的にはコーギーっぽさが感じられる。
『こ・・・これは。どうした事か。ドラゴンに続いて・・・。ん?』
『おーい、とうちゃん。私だワン。』
『お、おお! コーギー。』
コーギーの親父はコーギーに気づいてホッとしたようであった。
『よく帰ったな。しかもこんな強そうな鳥や・・・。やや、これは! S級冒険者のコリー様まで!』
親父はジュニアを見て、さらにコリーまでいると気づいて、感嘆の声をあげた。
『いや、とうちゃん。ジュニアもコリーさんも強いけど、本命はこっちだワン。』
コーギーはおれの方を指差す。
『え・・・。どう見ても・・・。』
完全に舐められる。おれは欠伸しながら、腕の毛づくろいをする。ペロペロ。
『見た目に騙されちゃダメだワン。あとこの大陸に新しく出来たシバ王国の王様だワン。』
『シ・・・シバ! これは・・・、大変失礼しました。』
この親父、おれを探るように見てきたが、おれがシバの王様と知って、態度を改めたようだ。
その後親父は集まってきた村人達におれたちを紹介してくれた。ちなみにこの親父が村長だったようだ。
その後、おれたちは親父の家に招待された。ドラゴンについて詳しく教えてくれるらしい。
『えー、ドラゴンなのですがいつも朝方現れて村の食料を大量に奪っていきます。食料をあげているうちは村を襲う気はないようですが、断ればどうなるか想像がつきません。』
なるほど。親父曰く、そのドラゴンは毎朝やってくるらしい。ということは次にやってくるのは明日の朝だ。
「とりあえず話をつけてみて、なんともならなさそうであればやっつける、それでよいか?」
『ええ、それで結構でございます。ですが村の猛者も全く歯が立たずで、そこのコーギーも敵いませんでした』
どうやらコーギーは村で一番強いとの事であった。とりあえずはとにかく警戒して、村の安全を第一に行動することになった。
ちなみに今日2つのことが判明した。1つ目は獣人であればおれはコーギー以外でも普通に会話が出来たと言うこと。2つ目はコーギーの語尾がコーギーだけのものだったこと。
村の人達はいたって普通の標準語だったのだ。それがなによりも今日一番の衝撃だった。どこで覚えたんだ、その言葉。
次回へ続く。
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