第136話 離陸
シバ城 会議室
「えー、ではでは今からボーダー王国に誰が行くのかを決めます。ちなみにあくまでもボーダーはついでで、メインはコーギーの村な。おれ・コボルト・ジュニアは決定。それ以外に行きたい人ー。」
『はい! はーい! ワシがいく!』
真っ先にケルベロスが手を挙げた。
「却下。お前はダンジョンがあるだろ。」
『の・・・、のぉぉぉぉぉお。』
ケルベロスが嘆いていた。その後うだうだ言っていたがガン無視した。まぁこの会議もケルベロスを納得させるためのものだ。これをやっとけば後でうだうだ言わないだろう。
『私もいくワン!』
コーギーが手を挙げた。・・・なんでお前がいるんだよ。
「お前の案内で行くんだろ。てかなんでいるんだよ。」
『そうだったワン。面白そうだったからきてみたワン。』
コーギーはなんの違和感もなく椅子に座っていた。
『ということは、私しかいないのではありませぬか?ラグもリンも不在ですので。』
「うむ。そうだよな。まぁ、リンが帰ってきてから行く可能性が高いが、おれも今回はオークかと思っていた。」
『おお! では!』
オークが嬉しそうな顔をする。確かに前回のシュナウザーの時もオークは出番がなかった。割と歯痒かったのだろう。
こうして、今回はおれ・コボルト・ジュニア・オークで行くことに決まった。
『の・・・のぉぉぉぉぉお!』
ケルベロスは最後まで粘っていたので、早々に解散した。
◇
シバ城 犬小屋の間
それからしばらく経ったある日。暇すぎてあくびをしていると・・・。
『い・・・いぬさーん!大変です!』
「んぐっ・・・おお、リンじゃないか。」
結構な剣幕でリンが帰ってきた。危なかった。びっくりして舌を噛むところだった。
「久しぶりだな、リン。んでどうだったんだ。」
『はい、それが・・・。衝撃的なんですが、王都がどちらも陥落してました。』
うむうむ。なるほどなるほど。・・・え・・・
「なんだって?」
『ですからピットブル王国・シェパード王国どちらも王都陥落。実質ヨークシャー王国の統治下になりました。公にはなっておらず、王族の制圧のみ行われたようです。』
事が急すぎる。なんでそんなことになってるんだ。なんでそれがわかったのかと聞いたが、潜入したらしい。なかなかスパイしている。
「まてまて、だってあそこには勇者がいただろう。多少駆けつけるのが遅くなったくらいで国が傾くとは思えない。」
『ええ、どうやったかはわかりませんが、勇者の姿は見当たりませんでしたのでなにかあったか、或いはヨークシャーに味方したかどちらかですね。』
うーむ、ほんとに衝撃的だ。あの2人からしてヨークシャーに味方することなどあり得るのだろうか。短い時間しか見ていないのでなんとも言えないが・・・。
「制圧というと王族はどうなったんだ?」
『王以外は捕らえられていました。そのせいで王はヨークシャーの言いなりです。』
どこまでもやる事が汚い。ヨークシャーはシュナウザーだけでなく、国自体が腐ってしまっているようだ。あとは・・・
「リンはヨークシャーの勇者を知ってるか?」
『いえ、召喚されているとの情報は得ていますが、僕も見たことはありません。現地にもそれっぽいのはいませんでした。』
なるほど。ヨークシャーの勇者については丸っきり情報が出てこない。ナツとタツヤをどうにかできるくらいの勇者が絡んでいるか、勇者を無力化できるくらいの何かがあるかだ。謎は深まるばかりだ。
確か、勇者を召喚できている国じゃないと、プードルが言ってた国同士の会議には出席できなかったな。大国として認められない。・・・なるほど。少し掴めて来た気がする。
一通りリンから報告を受け、リンはすぐさま自宅へ帰っていった。どんだけゲームやりたいんだ。
◇
それからさらに数日経過して・・・
「遂に出発だな」
『ほんとに感謝するワン』
遂にジュニアがそれなりの大きさになり、出発の準備が整った。
『私たちも帰りますか。賢王の書のお陰で凄い強くなれました。』
『シバは強いやつばっかで楽しかった。』
ニャンコ丸とS級冒険者のコリーも一緒に帰る気のようだ。ニャンコ丸はおそらくボーダーにてなにかしら企んでる気がする。
「にしてもなんだそれ。」
『お土産ですよ。シバの掘り出し物が沢山です』
ニャンコ丸は結構な大荷物だった。アイテムボックススキルを持ってた気がするが。んでもこの2人が追加となると・・・
「ジュニア全員のれる?」
『任せろ! 楽勝だ!』
大丈夫なようだ。全員がジュニアに乗る。・・・狭い。おれの快適な空の旅が・・・。
『ぐぉぉぉぉお!ふんぬ!』バザバサ
ジュニアが気合いで飛び立った。凄い。この人数を物ともしていない。
『では! いくぞー!』バザバサ
こうしておれたちはボーダーに飛び立った。ちなみに留守番でもう1匹のおれはちゃんと置いていった。どっちがボーダーに行くかケンカになったのは言うまでもない。
次回へ続く。
遂に離陸しました!はてさてどうなることやら。
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