第132話 コボルトの一日
私はコボルト。ここシバ王国にいる10匹のコボルトを取りまとめている。
元々、私達は色々あって10匹で暮らしていた。日々の生活にすら苦労していたが、犬様を王様に迎えてから、集落がどんどん発展していった。今や建国するまでになってしまって、犬様には本当に感謝しかない。
しかも最近、私達は精霊種だということがわかった。コボルト達は属性様々の力を持っていて、ちなみに私は光属性である。
今日はコボルト会議。いつも特に何もないのだが定期的に開催している。
『えー。今から会議を始めます。報告事項はなにかありますか?』
『『なにもないです!』』
みんななにもないらしい。いつも通りだ。
『では他にはなにかありますか?』
『はい!』
1人のコボルトが手を挙げた。珍しい。いつもはなにもないのに。
『はいどうぞ。』
『リンさんと一緒に戦う時に備えて、必殺技を考えたいのですがだめですか?』
『必殺技!いいね!』
必殺技・・・。かっこいい響きだ。ほかのコボルトからも賛成の意見が出る。
『採用します!みんなで考えましょう。』
こうして皆で必殺技を考える事となったのであった。
◇
「おーい、コボルトー」
『あら、お犬様。どうしましたか。』
会議を終えて、町でブラブラしていると犬様がやってきた。
「通訳を頼みたい」
『承知しました。行きましょう』
犬様の通訳はいつも私の役目だ。城で誰かと話をしたいらしい。私はすぐに犬様を抱えて城まで戻ることにした。
ちなみに私が犬様を持って飛んでいる姿はもうシバ領民の間ではお馴染みの光景となっている。
『おまたせしました。』
『おお、コボルトちゃん、すまないな。』
来客はS級冒険者のコリーであった。コリーはボーダー王国出身の冒険者と言うことで、犬様としても情報収集したいらしかった。
「コボルト、ありがとなー」
『いえいえ。』
通訳が終わった。どうやら犬様はボーダー王国と友好を結べないかと考えているようだ。私としてはうまくいくように立ち回るのみである。
◇
これで今日やる事は全部終わった。王城の自室にてゆっくりする。
『・・・』
・・・・・・む。
『・・・・・・これは。』
自室でまったりしていると私の"お犬様レーダー"に反応があった。すぐさま犬様の元に駆けつける。
『犬様。こんにちはだワン』
「おお、コーギー。どうした。」
『ちょっとまた触らせてほしいワン。』
「ああ、いいぞ。」
いた!コーギーちゃんが犬様の元を訪れていた。あの狼っ子、また犬様をたらし込もうとしている。危険だ。
『ちょっとまっとぅぁぁぁぁぁあ』ヒョイ
『あら、コボルトちゃん。犬様の許可はおりたワン。』シュッ
コーギーちゃんがお犬様に手を伸ばすところを、辛うじて抱えて避ける。
『犬様の良心につけこんだのでしょう。狼っ子はたらしこむのが上手いですねぇ。』ヒョイ
『コボルトちゃんも似たようなものだワン。』シュッ
だんだん白熱してきた。
『コボルトちゃんはまだお子ちゃまだワン。犬様の毛並みを堪能するのはまだ早いだワン。』シュシュッ
『な、なにおー。こう見えてもお子ちゃまじゃないんだぞー』ヒョヒョイ
にしてもコーギーちゃん、腕は確かなようで、その手の速度に対応するだけでも大変だ。
・・・
『ゼーゼー』
『ハーハーだワン』
疲労困憊になってきた。もう腕が上がらない。
「おーい、もう2人とも気にせず触っても良いぞ」
犬様が見かねたのか、ため息交じりでそう言ってくれた。そう言われてしまったので、一旦休戦である。
『この手触り。フカフカでとても良いです。癒される。』
『おー、気持ちいい手触りだワン。病みつきになりそうだワン。疲れ吹っ飛んだワン。』
『・・・コーギーちゃんごめんなさい。』ペコ
『こちらもだワン。悪かったワン。』ペコ
最後はしっかり仲直りして、お犬様の毛感触を堪能するのであった。
次回へ続く
読んで頂きありがとうごさいます。次回はオーク回、その次はワンコ回と続きます。
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