第131話 ミーアの一日
私の名前はミーア。シバ王国にて商店を営んでいる。正確には商会と言っても良いだろうか。ここシバのダンジョンで冒険者が持ち帰って来た鉱物は、私の店で買取することになっている。(それ以外のアイテムは自由)
私の夢は自分の商会を持つことだった。いぬさんと知り合い、最初は一時的に協力するだけのつもりだったのだが、一緒にいるのが楽しくてシバで店をかまえることに決めた。
いぬさんにもシバ王国国営の商会として認めて貰い、私の夢はいぬさんと出会ってから、自分でも驚くスピードで叶った。今日もコボルトちゃんに手伝って貰いながら店を開店した。
◇
『ミーアちゃん、これ買い取って欲しいワン』
『コーギーちゃん。今日は良いもの持って帰って来たかなー?』
『なかなかそんな掘り出し物は出ないワン』
開店してすぐにコーギーちゃんがやってきた。コーギーちゃんは暫くシバにいるらしい。いぬさんの準備が出来たら出発するらしい。今日はダンジョンで回収した鉱石をいっぱい持ってきた。
ダンジョン100階層まで到達しているコーギーちゃんでも、そう簡単に珍しいアイテムは手に入らないようだ。こうして考えてみるといぬさんがダンジョンに行くたびにとってくる希少なアイテムは奇跡だったとしか言いようがない。
買取の査定に入る。コーギーちゃんが持ってきた鉱物は殆どがいつも取れるようなやつだった。変わりばえはしない・・・ん・・・?なんだろう。
『コーギーちゃんこれは?』
『うーん。なんかダンジョンに行く途中に拾ったワン。』
いつもの鉱石の中に見慣れないものがひとつ混ざっていた。褐色のまん丸な石である。
『コーギーちゃん、これはちょっとよくわからないから引き取れないよー』
『んー、残念だワン。せっかくなので持っておくワン』
私の鑑識スキルでもよくわからなかったので、申し訳ないが返却することにした。
『あと、パーティーの時に王様が飲んでいたミルクが欲しいワン』
『はいはい。どーぞ』
『ぷはー。これがうまいワン!シバに来て良かったワン。』
コーギーちゃんはここ最近毎日のようにミルクを買いに来る。いぬさんが大好きなので、在庫が切れることはない。狼もミルクが大好きとは新発見であった。
◇
店を開けてから半日程たった。
今日はついてる。何事もなく平和に過ぎそうである。
『うぉぉぉぉお。忙しいぃぃぃい。食い物くれぇぇぇぇえ』
平和が終わった。店の入口に"ケルベロス襲来中"の看板を立てかける。これにより事情を知ってる人は誰も近づかない。
『あらケルベロスさん。今日はなにか?』
『お腹減った。冒険者のやつら、しょっちゅうワシのところにやってくる。大変だぞ。』
ケルベロスさんは文句を言いながらも少し嬉しそうであった。前までダンジョンの入口の場所が悪く殆ど人が来なかったと言っていた。まだ100階層まで到達した人は少ないようだが、どんどん冒険者が増えて言ってるようでなによりである。
『いつも通り適当に食べていってよいですよ。散らかさないでくれれば』
『ガッハッハ。ワシにかかればお手の物よ。礼儀作法は心得ておる!』
ケルベロスさんが店の食べ物を片っ端から爆食いしていった。礼儀作法という言葉に失礼である。
『ぷはー。食った食った。相変わらず良い食材を揃えておるな。ワシ好みで流石はミーアである。』
『ありがとうです。またいつでも来てください。お金はいつも通りでよいですか?』
『ん・・・?おお、そうしてくれ。ん・・・!また100階層に誰か来た。じゃまた来るぞ!』
ケルベロスさんが去っていった。去った後の店は泥棒でも入ったかと思うくらい散らかっていた。食材は9割くらい食べられた。ほぼ毎日やって来るので、店頭に並べていない在庫はたんまりあるので大丈夫だ。
『コボルトちゃーん』
『はーい、んお、またですか』
『いつも通り、食材を補充しよう』
コボルトちゃんに手伝って貰い、アイテム袋にある食材を補充していくのであった。ちなみに、ケルベロスの言う礼儀作法が"1割は残す"という意味であったことはここ最近知ったことである。
◇
『いぬさーん。』
『おお、ミーアか。』
シバ城までやってきた。相変わらずいぬさんとは会話が出来ないので、コボルトちゃんに通訳してもらう。
『いぬさん。今月の分です。』
私は手に持っていた請求書を渡す。
「おお、いつもすまんな。どれどれ・・・」
『・・・』
「・・・・・・まじ?(ガウ?)」
『ガウです!』
いぬさんは目を見開いて、請求書と睨めっこしている。
『ケルベロスさんが最近は毎日食べにきます』
「あのやろー。ちょっとは我慢しろよー」
いぬさんご立腹である。それもそうだ。少し前までは2.3日おきの襲来だったのが、ここ最近は毎日である。
たぶん、100階層挑戦者が増えて忙しくなった分、食欲が増したからだろう。
『じゃぁいつも通り、鉱石の売り上げから引いておきますね。売り上げは城の宝物庫に運んでおきます。』
「ああ、そうしてくれ。にしてもケルベロスのやつ。忙しくなってザマァと思ってたらまさかの盲点だった。」
城の宝物庫に売り上げを運んでおいた。こうして私の嵐のような一日が終わった。ここシバに来てから毎日が楽しい。これからもシバのために頑張ろうと思っている。
次回へ続く
読んで頂きありがとうごさいます。今回はミーア回です。みんな大活躍です。
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