第130話 ラグの一日
おれの名前はラグドール。ここシバ王国の冒険者ギルドでギルドマスターをやっている。
冒険者ギルドといっても、他の国との繋がりはなく、独自の冒険者ランクやシステムとなっている。元々ブルドッグという町でC級冒険者だったおれだが、色々ありシバ王国の犬様に仕えている。
ちなみに色々のうちの一つだが、妹のフリーゼを犬様に救っていただいた。本当に感謝している。毎日フリーゼの笑顔を見れる日がくるなんで、思ってもいなかった。
今日はおれの仕事についてだ。
おれの仕事は冒険者ギルドの運営と、独自の冒険者ギルドとなってしまっている現状の解決だ。
冒険者ギルドの運営だが、おれがギルドマスターとなる以前から、コボルトちゃんがギルド職員として尽力してくれていたのもあって、特に何もすることがない。たまにダンジョンで不正を働く輩がいるので、その対処くらいだ。
『あいつ、強すぎるだろ』
『ですね。あんなん反則です。』
『ダンジョン踏破させる気ないだワン。』
今日はギルドにて100階層挑戦組が愚痴を言い合っていた。S級冒険者コリー・ニャンコ丸・コーギーの3人だ。3人とも最初はソロで挑戦していたようだが、最近は3人でパーティーを組んでいるようだ。
『よう、ラグ。ちょっとお前も一緒にパーティー組んでくれよ。あのケルベロスやばいぞ』
『いや、おれは99階層までで十分だ。ケルベロスさんには挑むだけムダだ。』
コリーはケルベロスの尋常じゃない強さに心が折れそうであった。おれは鎧ちゃんに1人で会いにいきたいので、当然却下である。
『あんな強いモンスターには初めて会いました。勝てる気がしません。』
『確かに。というか呼び方ニャンコ丸で良いのか。』
『なんか違和感無くなってしまったのでそれで通します。』
ニャンコ丸は呼び方はそのままで良いらしい。ニャンコ丸もケルベロスさんの強さには敵わないようだ。
『自分の国に戻らなくて良いんですか?』
『ええ、ボーダーは平和ボケしていないので、私が戻る必要はないわ。聖騎士が力を合わせれば勇者1人くらいは止められる』
『そうですか。にしてもなんでそう強い人と戦いたがるんですか?勇者といい。』
『・・・。んー。まぁ色々あるのよ。』
ニャンコ丸は相変わらず謎だった。話をしてもいつも肝心なところではぐらかされる。
『私も強い人を探してたワン。幸いシバの王様に話聞いてもらえたワン。』
『犬様に?』
コーギーは武闘大会参加以外のもう一つの目的を達成できそうなのだそうだ。
『そうだワン。今度私の村に一緒に来てくれることになったワン。』
『へぇ。なにかあったのか?』
『ドラゴンが住み着いたワン。勝てないワン。』
コーギーもコーギーで色々大変なようだ。その後、雑談をしておれはもう一つの仕事に取り掛かることにした。
『コボルトちゃん。ちょっと他大陸にある冒険者ギルド本部にいってくるよ。』
『いよいよですね。気をつけて行ってらっしゃいませ。』
そう。シバの冒険者ギルドにも他国と同様のシステムを導入出来ないか、交渉にいくのだ。今のシバはダンジョンでいくら頑張っても、シバ独自の冒険者ランクは上がるが、一般的な冒険者ランクは上がらない。
冒険者にとってはそれだけで魅力半減となってしまうのだ。武闘大会を機に、冒険者が激増したので、少しでも他所に逃さないように、早急に対応しないといけない。おれは準備をしてシバを出発した。
『さて・・・。道のりは長い。』
これから長旅となる。今のおれなら大陸を超えるのはそう難しくない筈だ。
『・・・』
C級冒険者だった頃と比べると全てが格段に向上した。移動ひとつとっても以前では考えられないスピードで走ることができる。不思議と脚が軽くなる。
『・・・・・・』
『・・・・・・ズズー。あらラグ様。お久しぶりです。』
・・・
・・・・・・しまった。間違えて鎧ちゃんのところに来てしまった。鎧ちゃんはいつも通りお茶をしていた。せっかく来たので、暫くはゆっくりしたいと思う。
冒険者ギルドの本部に行くのは少し遅くなりそうだ。
次回へ続く
読んで頂きありがとうごさいます。
章の名前を書き忘れてました。どんなお話になるか、楽しみにしてもらえたら幸いです。
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