第128話 打ち上げ
シバ王国 シバ城
武闘大会は大盛況に終わった。
今晩はオークとケルベロスたっての希望で、城にて打ち上げパーティーをすることになった。
嫌な予感しかしないんだが、コボルトとミーアが中心となって、豪勢な料理を用意してくれた。
「うおー、凄いうまそうだ」ダラー
ヨダレが溢れてくる。
「食いたい。」
『ダメです。』
準備中のコボルトにその場から追い出された。
◇
「それでは、かんぱーい(ワンワンガウガウ)」
夜、武闘大会の打ち上げが始まった。おれは早速、肉にかぶりつく。・・・うまい。そして、ミルクをペロペロ。・・・美味すぎる。
おれが料理に舌鼓をうっているとケルベロスも、その隣で爆食いしていた。もちろん姿はケルちゃんだ。
「おい、ケルベロス。大人しくしとけよ。」
『がははは。任せとけ。おーい酒がなくなったぞー』
・・・・・・開始早々手遅れになりそうだ。
『父上! これ! うまい?』
「それはやめとけ。こっちのが良い」
鳥も当たり前の様にパーティーに参加していた。鳥の唐揚げを食べようとしてたので、共食いを連想してしまい、他の肉を勧めておいた。
父ではないと説得するのはもう諦め、結局こいつのことはジュニア(ムスコ)と呼ぶ事にした。
ケルベロスといい、ジュニアといいおれの周りは食い意地を張った奴らばかりである。
『犬様、一緒に食べようだワン。』
「ああ、いいぞ。そーいえば賞金はなにに使うんだ?」
『私の村に仕送りするワン』
「えらいな。」
主にシバの奴らが食い散らかしているのを見て和んでいたら、コーギーがおれの元にきた。今回の賞金の使い道を聞いたところ、村に仕送りときた。偉いもんである。
『犬様、前に頼みがあると言ったワン。聞いて欲しいワン。』
「おお、言ってたな。なんだ?」
『私の村はボーダー王国の近くにあるワン。最近ちょっと困ったことが起きて、なんとかしてくれる人を探してたワン。』
「ふーむ。なにが起きてるんだ?」
おれがコーギーと話していると・・・
『あー!こらー。また犬様に近づいてー!』
コボルトが来た。相変わらずの察知能力である。
『犬様をタラし込んだら許しませんよー!大体、犬様もこんな狼っ子にほいほいついてっちゃダメですよー。うへへへへー』
コボルトは・・・。酔ってた。いつもは控えめなのに今日はゴリゴリくる。
『狼っ子じゃないワン。あとお酒に弱いお子ちゃまコボルトに言われたくないワン。』
『なんですとー。こ・・・こうなったら勝負よ勝負!酒持ってこーい』
コボルトとコーギーの酒飲み対決が勃発していた。もう放っておこうと思う。
◇
『あら、ナツさん。』
『やぁ。そろそろタツヤの件話して貰えないかな。』
ナツはようやくニャンコ丸を捕まえたようで、話し合っていた。ニャンコ丸よ、まだ言ってなかったのか。おれも気になるので聞き耳をたてる。
『そうですねぇ。あまり怒らないで下さいね。私の知ってることは教えてあげます。』
『ああ、頼むよ』
『実はヨークシャー王国がシバではなく、ピットブルに矛先を変えたようです。』
ほう・・・。シバは知らない間に、ヨークシャーの魔の手から逃れていたようだ。
『なんだって・・・。本当か。』
『ええ。ヨークシャーはこの大陸を統一すべく、まずはシバ以外を制圧することにしたようです。』
『バカな・・・。ヨークシャーとピットブルはそれなりに上手くやっていたはずだ。』
『ええ。そうだと思いますが、だからこそ勇者不在の今を狙われたのだと。あの国は国王が変わってからおかしくなっています』
ナツはそれを聞いて考え込んでいる。
『他には知ってることは?』
『そうですねえ。不確かな情報ですがシェパードも危ないかもしれません。』
『なんだって?』
『ヨークシャーがピットブルの勇者不在を狙ったのであれば、シェパードも同じかもしれませんので。』
ナツの表情が険しくなる。
『ありがとう。念のため僕は急いでシェパードに戻るとするよ。』
『ええ、気をつけてください。ヨークシャーの勇者に関しては何も情報がありません。』
『ああ、ありがとう。』
ナツは自国に戻る事にしたようだ。急ぎ足でその場を後にした。おれはそれを見届けて、他の所に行く事にした。にしてもニャンコ丸よ。もっと早く教えてあげても良いだろうに。
◇
「おーいラグ」
ラグはオークと酒を飲み交わしていた。ついでなのでオークに通訳を頼む。
『犬様、すいません。優勝できませんでした。』
「まぁ仕方ない。勇者と善戦しただけでも凄いぞ。ということで、強くなったラグには不在だったギルドマスターを引き受けて貰いたい。」
ラグが謝ってきたが、全然気にしていないことを伝え、せっかくなのでギルドマスターを引き受けて貰えないか頼んでみる。
『ギ・・・ギルドマスターですか?僕で良いんでしょうか。』
「全然よい!」
ラグにはゴリ押しして引き受けて貰った。
「ん?」
オークも何かあるようだ。
「どした、オーク」
『いえ、私にもなんかないのかなーと。』チラ
・・・。ラグがギルドマスターになったので、オークも何か欲しかったようだ。大会の司会も頑張ってくれたので考える。
「んー、なんかと言われても・・・」
『そこをなんとか!』
「んー、じゃぁシバに騎士団でも作るか。少数精鋭にするならよいが。」
『おお、ぜひぜひ!やらせてください!』
こうしてオークには騎士団長をやってもらうこととなった。この大会を通して、シバ王国には多くの観光客が流入し、一部は移住を決めたものもいた。
国が少しずつ大きくなってきている。この調子でどんどん大きくしていきたいと思っている。
『おーい、いぬちゃーん。なにしてるんだ。こっちこいよー』
『お犬様!一緒に飲みますよ!』
『いぬさん、高級ミルク入ってますよ』
黄昏ているとみんなに呼ばれた。本当におれは良い仲間に恵まれた。これからも皆を守っていかなければならない。そのことを心に刻み、今日は飲み明かす(ミルクを)ことに決めたのであった。
次回へ続く
読んで頂きありがとうごさいます。昨日はアップしようとしたらコピペミスってデータを消してしまいました。なので今回は2話分くらいのボリュームで書きました。
以上でこちらの章は終わりです。これからもワンコをよろしくお願いいたします。
ブックマーク・評価いただけると大変やる気が上がりますので、よろしくお願いします
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(・ω・)
/ U ∽U\
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