第127話 表彰式
シバ王国 闘技場
『父上! 父上! 探した!』
「おい、おれは違うぞ!」
武闘大会が、はちゃめちゃになってしまってからしばらく経った。鳥には相変わらずおれの事を父と呼ぶので、違うと言い聞かせていた。
結局、急に真っ赤な鳥がおれの前に現れたり、ケルベロスが元の姿に戻ってしまったりで、てんやわんやした決勝戦だが、ようやく騒ぎもおさまりそうだ。
『全く、犬殿、今度ゆっくり説明してくださいね。』
バーナードは自国を襲ったケルベロスが居たということでご立腹だったが、オークが上手い事、説明してくれたので、助かった。オークの演技力はたいしたものである。
『味方なら味方と言ってくれ。酷いじゃないか』
『あら、私は言おうとしたんですが、言いそびれただけですよ。』
『ワシは楽しかったぞ。ワハハ』
ナツはケルベロスが敵ではないことがわかり、ニャンコ丸がそれを教えなかった事で、ふて腐れていた。ニャンコ丸は思ってもいない弁解を口にする。ケルベロスは、ようやくケルちゃんに戻った。
ちなみに、事態を沈静化出来た要因の一つとしては、おれの眼の前にいる鳥の美しさに、観客が目を奪われたことがあげられるだろう。
一応、鳥を鑑定してみる。
「・・・なにも見えない。」
鑑定眼で確認してみてもなにも見えなかった。おれの察知系スキルでも全く反応しない。何者なのだろうか。
一つ言えるのは、ここ数日感じていた視線の正体はコイツな気がしている。
鳥はおれがコーギーを救出する際、巨大化していたこともあり、おれの体の上にとまっている。本当に勘弁してほしい。とりあえずしばらく静かにしてもらうことにした。
『犬様! とりあえず大会の勝敗をどうしましょうか』
オークが観客への説明を終え、おれに指示を求めてきた。
そうだった。大会をどうしようか。もう一回仕切りなおすのもめんどくさい。ちなみに観客のシバ関係者以外には、ケルベロスについて、シバの守護をしているとアナウンスしたところ、すんなり納得してくれた。すんなり受け入れられた理由は、相手がケルベロスだからというのが全てであるだろう。
「もっかい戦う?」
『いえ、戦わなくてよいのならそれが一番です。』
『私も』
『同じだワン』
3人に確認したところ全員戦う気力が減退してしまったようであった。あと、余談だが、コーギーは獣人だからか、おれと普通に話すことができた。少し驚いた。
色々考えた結果、決勝戦の試合内容で順位を決めることとした。オーク・バーナード・プードルを交えて話し合い、結局一位ナツ、二位ニャンコ丸、三位コーギーとすることになった。概ね順当な様で、観客からも異論は殆ど出なかった。
表彰式にうつる。まずは一位のナツからだ。観客は拍手で祝福する。
「んー、じゃぁ優勝商品でなにがほしい?」
『そうですね。なんでも良いんですが、剣王の書にしておきます』
ナツに剣王の書を渡した。話ぶりからナツ個人としては特に欲しくはないようだ。あげるときに、もし必要なくなったらラグにあげてほしいと頼んでおいた。
続いて二位ニャンコ丸だ。拍手はまばらだ。タツヤ戦でだいぶ嫌われたようだ。
「賢王の書とお金どっちが良い?」
『断然、賢王の書です。これを手に入れに来ましたのでよかったです。』
ニャンコ丸に賢王の書を渡す。自分の為なのかボーダー王国の為なのかわからないが、まぁどっちでも良い。好きに使ってもらえたらと思う。
最後にコーギーである。ナツと同じくらいの拍手があった。だいぶファンが増えたようだ。
「惜しかったな。でも強かったぞ。残ったのはお金だ」
『ありがとうだワン。お金で良かったワン』
そうだった。コーギーは素手で戦うタイプだった。・・・ということは3人とも欲しいものが別々だったようだ。決勝戦やる意味がなかったかもしれない。
こうして武闘大会は色々あったが、大盛況に終わった。これで終わっても良いのだが・・・
「絶対粗相するなよ。」
『がはは。ワシに限って大丈夫だぞ。』
『私も大人しく飲むが好きなので大丈夫です!』
オークとケルベロスたっての希望で、最後はパーティーで締めくくる事になった。今晩、シバ城でおつかれ様会としてパーティーを開催する。
絶対無事で終わるとは思えないのであった。
次回へ続く。
読んで頂きありがとうごさいます。相変わらず騒がしくてすいません(´ω`
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