第126話 誤解
シバ王国 闘技場
『な・・・。どーゆうことだ・・・。何故スキルが。』
『・・・降臨が勝手に解けた。どうして・・・』
コーギーがご臨終してしまいそうだったので、おれは咄嗟に鳳凰眼により視界にうつる全てのスキル・魔法を強制解除した。緊急事態だったので致し方ない。
ナツとニャンコ丸は突然のスキル解除に戸惑っている。
『ありがとうだワン。国王様、狼じゃないけどかっこいいだワン。あと毛並みがフカフカだワン。』
『犬様ー、ここは私がかわります!』
おれがコーギーを救出して怪我とかないか確認していると、コボルトが大急ぎでやってきて、おれをコーギーから遠ざけるのであった。
『あの犬がやったのか・・・。やはり得体がしれんな。』
『あの柴犬、やはり凄い。』
ナツとニャンコ丸から探るような視線を感じる。どうしようか、観客もまばらに散らかってしまったし、大会どころではなくなってしまった。
『ぬ・・・ぬわぁぁぁぁあ』
おれが考え込んでいるとなんか聞いたことあるような叫び声が聞こえた。
「なんだなんだ?」
『なんでしょう。ケルちゃんの声ですね』
おれとコボルトはその声の方をみると・・・
ナツ・バーナード・プードルが青ざめているのが見えた。
『ケ・・・ケルベロスだー!!』
まだ闘技場に残っていた観客の1人が叫び声をあげる。ニャンコ丸とシバの関係者以外は突然現れたケルベロスに阿鼻叫喚である。
「おい、ケルベロスなにやってんだー!」
『ワ・・・ワシにもわからぬ!急に変化が解けたのだ!やってもうた、ワッハッハ。』
そうだったわ。鳳凰眼の視界にケルちゃんも入っていたらしい。咄嗟のことで対象から除くのを忘れていた。
『こ・・・こいつは私の国を滅茶苦茶にしたケルベロス!何故ここに!』
バーナードがおれの方をみる。ここで視線を合わせてはいけない。
『こ・・・こんなところにケルベロスが。くらえ万華鏡!』
『勇者さん、ここはあなたにまかせる。がんばってね』
『ワッハッハ。効かぬぞー。』
ナツはケルベロスに固有スキルを連発する。ケルベロスにはあんまり効いていないようだ。ニャンコ丸はケルベロスの正体を知りながら、ナツを応援する。性格の悪さが滲み出ている。
「おい!ケルベロス! もうケルベロスはしまえ!」
『おー、いぬちゃん! もうちょっと勇者と戦わせて。ワッハッハ』
おれがケルベロスに早くケルちゃんに戻るように促すも、ケルベロスのやつ、勇者と戦いたいらしい。全然戻りやがらない。
このクソケルベロスめ。あとでとっちめてやりたいところだが、そう思っているとバーナードがこっち来た。
『犬殿、あのケルベロス。お知り合いかな?』ジー
バーナードの視線が痛い。
「・・・・・・」ヒューヒュー
困った。口笛(出てないけど)でも吹いて誤魔化そうとするが、絶賛大ピンチだ。なんとかバーナードを納得させるべく言い訳を考えていると、けたたましい鳴き声がした。
「こ・・・今度はなんだぁ」
『発見! 発見! 鳳凰の眼見た!』
・・・・・・。
「なにこれ?」
『さぁ。なんでしょうか。お犬様に用事のようですね。』
おれの眼の前には、おれの倍ほどの大きさの赤い炎を纏った美しい鳥が姿を現していた。敵意は全く感じられない。
「なんかようか。」
『発見! 探した! 父上!』
・・・・・・ちちうえ
「ち・・・父上だって?」
『・・・・・・』ジー
『・・・・・・』ジー
その鳥がおれのことを父だと言ったことにより、コボルトとコーギーからも、物凄い疑惑の目で見つめられることとなった。
「い・・・いや待て、違うぞ!」
なんなんだこの状況は。この後、バーナード・コボルト・コーギーに必死に挽回した。
次回へ続く。
読んで頂きありがとうごさいます。鳥さん出てきました。こちらの章は終盤です。もうちょっとで次の章にいきます。
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