第123話 お触り禁止
シバ王国 闘技場
なにやら穏やかではなさそうだ。ナツがニャンコ丸に近づいていく。
『・・・。なにをいったのかな?タツヤに』
『あら・・・。いえ、そんな大したことではありませんよ。』
『大したことない訳ないだろう。タツヤのあの顔は普通じゃなかった』
『うーん。それでは決勝戦で私に魔法を当てれたら教えてあげましょう。』
ナツがニャンコ丸に、"タツヤが試合放棄した理由"を問いただすが、ニャンコ丸の方が一枚上手で、上手いことはぐらかされてしまっていた。
ナツとしても、ここで揉めるのは勇者としてよろしくないようだ。
「うーん。まぁとりあえず場外で戦うことにならずでよかった。」
『はい・・・。一触即発でしたのでひやひやしましたね。』
なにかあれば仲裁に入ろうと思ったが、なんとかなったようだ。コボルトは緊張したのか尻尾が垂れ下がっていた。
決勝戦はオークと話し合った結果、3人で戦う形となった。ナツ、コーギー、ニャンコ丸の3人でバトルロイヤル形式だ。総当たりも検討したが、時間がかかるのでやめた。
一応戦った直後のニャンコ丸に配慮して、休憩を挟むことにした。おれはバーナード・プードルに少し見回りをしてくると伝え、コボルトに抱えられてその場を離れた。
◇
「決勝楽しみだなー」
『そうですねー。やはり勇者さんが勝ちますかねぇ』
コボルトはプカプカ浮きながらおれの上半身を両手で抱えている。毎回このスタイルでコボルトには持たれるのだが、おれが闘技場から出ると観客の注目を浴びてしまった。シバの領民であれば見慣れた光景なのだが、観光客には珍しくうつってしまった。
『かわいー。さわりたーい!』
『ぼくもぼくも!』
観客の子どもがおれに近づいてきた。触りたいようだ。親はおれがシバ国王だとわかっているのでそれをとめる。
「おいコボルト。触っても全然大丈夫だといってくれ」
おれはコボルトにそう伝えると、コボルトは子どもたちを呼び寄せた。
『わー、もっふもふ』
『気持ちいいー』
『尻尾と耳が動いてるー』
子どもたちが集まってきた。その場は大盛り上がりだ。そのうち大人たちも集まってきた。国王に触れれるとあって、御利益にあやかりたいらしい。行列ができている。御利益があるのか謎だが、仕方ないので許可する。
「ふむ・・・気持ちがよい。そうそう。そこだ。んー?」
おれが触られまくっていると行列の最後尾にミーアが見えた。
『はい、ここに並んでくださーい。御利益たっぷり、お犬様お触りサービスですよー。有料で最前列にご案内できまーす。』
・・・
・・・・・・金持ちそうなのからは金とってやがった。まぁ金持ちからだけだから許してやるが。ギャラ代は請求したいところだ。
「んおっ?」
おれがミーアと目で会話していると妙な手触りを感じた。おれの頭をさわさわしている。
『ふおー、この毛並み。素晴らしいだワン』
犬獣人のコーギーだった。
『もっと触わるワン』
コーギーが手を伸ばす。
「ふごっ!」ヒョイ
コボルトが物凄い反射神経でおれを抱えて、コーギーの伸ばした手がおれに触れないように避ける。びっくりした。
『ん?なにするだワン』ヒュッ!
『あなたは試合に集中しなさい』ヒョイ!
『休憩中だワン。お金はらったワン』ヒュヒュッ!
『時間切れです。お犬様は忙しいんです』ヒョヒョイ!
コーギーが手を伸ばすがコボルトがそれを避ける。コボルト的にどうしても触らせたくないらしい。
『まぁいいだワン。王様に用があったワン。決勝終わったらまたくるワン。』
そう言い残すとコーギーは去って行った。
「なんだったんだろな」
『きっとお犬様を狙っているんです!近づけませんからね!』
コボルトが息巻いていた。その後おれたちはお触り行列を処理して、決勝戦の時間にあわせて闘技場に戻ったのであった。
次回へ続く
読んで頂きありがとうごさいます。次回は決勝戦です。
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