第122話 素直な勇者
シバ王国 闘技場
『ふん・・・。お前が勇者ではないことはわかっている。勇者でないお前がおれに勝てるかな。』
『あら・・・。これは試合よ。実戦じゃないもの。わからないわ』
タツヤが斬りかかる。ニャンコ丸は杖を取り出しそれを華麗にいなす。
『試合ならおれに勝てると思ったのか。あまいな!極魔法サンダーバレット!』
タツヤがいなされた反動を利用して魔法の攻撃に繋げた。素晴らしいコンビネーションだ。
『あら、あなた固有スキルを使わないんでしょ。それならわからないわ。あと私に下手な魔法は・・・』
『んな・・・。しかも何故それを。』
ニャンコ丸にタツヤの放ったサンダーバレットがヒットし・・・たように見えたが全然ダメージを受けている気配がない。
「んー、なんだあれ?当たってるよな」
『なんでしょう。当たってますよね』
おれはコボルトと目をこらして見る。なぜ効いていないのか全然わからない。・・・まぁ鑑定眼でみればわかるかもしれないが。
『魔法が効かないだと・・・』
『ええ、理由は内緒です。降参ですか?』
今度はニャンコ丸がタツヤを煽る。ニャンコ丸、意外と負けず嫌いなのかもしれない。
『んなわけあるか!極魔法ウインドバレット!』
タツヤが別の極魔法を放つ。連発するがニャンコ丸には効いていない。タツヤは見た目通り負けず嫌いで魔法に拘る。観客はド派手な魔法の連発で大盛り上がりだ。
『なんでおれの魔法が効かない!』
『ですからそれは内緒です。まぁちょっと考えて戦えばバカでもなんとかなりますよ。』
タツヤが段々イラついてきた。ニャンコ丸そんなに煽って大丈夫だろうか。その後もタツヤは魔法に拘り、攻撃を仕掛けるが、ニャンコ丸に防がれて続けていた。
「コボルト・・・そろそろやばいぞ」
『そ・・・そうなのですか。』
おれは危険を察知しコボルトに警告する。(一応バーナードとプードルにも)
『ちくしょー・・・。おれの魔法が・・・。こうなれば・・・。ビックバン・・・』
タツヤが剣を振り上げる・・・来るか・・・。
『タツヤ!やめろ!』
おれがタツヤの固有スキルを警戒したその時・・・ナツの怒声が会場に響き渡った。会場は一瞬にして静まり返る。
「ビ・・・ビビった。あのメガネ君が」
『はい・・・。凄い気迫でしたね。』
コボルトもびっくりしている。
観客もその気迫に声を発するものはいない。
『ナ・・・ナツ。すまない。ここでは控えるんだったな。』
タツヤはナツに謝り、観客にも少し頭を下げる。見た目はチャラいが素直なところもあるようだ。タツヤが固有スキルの発動を控えたことでナツは闘技場から離れる。
『・・・し・・・試合を再開するように!』
オークが試合を仕切り直そうと場外から指示をする。
『す・・・すまん。少し取り乱した。』
『あら、私はあなたの力も知りたかったから良かったのよ。』
ニャンコ丸が表情は見えないが涼しい声色で応える。タツヤの固有スキルに対抗できたのだろうか。
『さて・・・。そろそろ終わらせましょう』
ニャンコ丸がタツヤに近づいていく。
『・・・お前におれが倒せるとは思えないな!』
タツヤもニャンコ丸に斬りかかる。タツヤの剣とニャンコ丸の杖が鍔迫り合いになるが・・・
『・・・・・・』ボソボソ
ニャンコ丸がタツヤに何かを囁いた。それを聞いたタツヤの顔色が驚いた表情に変わる。
『ナツ すまん! 急用ができた。国に帰る!あとは頼む!』
『な・・・。タツヤどうした!おい、まて!』
タツヤはナツの静止も聞かず、物凄い速さで闘技場から出ていった。
『さて、オークさん。この勝負私の勝ちですよね』
ニャンコ丸がオークに催促する。観客も何が起こったか分からず、置いてけぼりである。
『ふ・・・ふむ。タ・・・タツヤ試合放棄によりニャンコ丸の勝ち!』
オークは気を取り直してそう宣言した。
疎らな拍手の中、試合はニャンコ丸の勝利に終わった。なにがあったのだろうか。
ナツがニャンコ丸に近づいて行くのが見えた。
次回へ続く
読んで頂きありがとうごさいます。次回は休憩回です。
起きてましたら夜中にアップします。
あと、新しく書き始めたものがありましたがボツにしましたので少し練り直しております。
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