第118話 密談
シバ王国 武闘大会控えエリア
2人の勇者は自国に優勝商品を持ち帰る様に依頼されていた。シェパード王国、ピットブル王国それぞれで召喚された勇者。バンドッグ勇者ジンよりも前に召喚された勇者だ。
シェパード王国勇者ナツは見た目は真面目そうな青年。見た目通り真面目系のメガネ男子である。この世界に召喚されてからは真面目にその役目を果たして来た。
ピットブル王国勇者タツヤも同様にこの世界に召喚されてから自国を守り抜いて来た。タツヤはナツとは違い見た目、チャラい感じである。性格は尖っており喧嘩っ早いが勇者としての役目は立派に果たしていた。
『おい、ナツ! お前あのじじいに頼まれて来たんだろ。』
『そうだけど。お前もだろ。ピットブルにいなくて大丈夫なのか』
2人の勇者は人目を避けて話し始めた。
勇者として召喚されてから5年程の2人は当然見知った仲であった。今回は勇者であることを隠して大会にエントリーしていた。幸い、この異世界は勇者が1人ではなく多くいる。観客も自国の勇者であれば気づくだろうが他国の勇者の顔まで鮮明に覚えていない。そのため大会に勇者が出場しても、そこまで騒ぎにはなっていなかった。
『まぁ大丈夫だろ。じいさんが言うには最近は平和らしいしな。ナツのところもそうだろ』
『まぁね。同じだ。今回の優勝商品のことを聞いてすぐに僕に依頼がくるくらいだからね』
2人は笑顔で会話を交わす。そう、見知った仲というよりナツとタツヤは割と仲が良い。召喚された当初はその見た目もあってお互い敬遠していたが、時間が経つにつれて解消されていった。両国の国交が良好だった事がその一番の要因だろう。2人の会話は続く。
『それにしてもこの国は最近建国されたとは思えないね。只者じゃないのがちらほらいる。』
『あぁ、さっきのオークもあれでだいぶ手加減してる。あと出場者以外にもだいぶやばいのがいた。ナツ、お前鑑定で見たか?』
『うん。オークには負ける訳ないけど、小さいケルベロスっぽいのは得体が知れないね。鑑定では耐性のレベルが見えなかったよ。』
『あいつか・・・。確かにやばそうだったが。おれは鑑定持ちじゃないからわからなかったがそんなにか。あと街の中のそこら中に精霊がいるのも凄いよな。』
2人はシバについての意見交換をする。この大会に両国が勇者を向かわせた理由。優勝商品につられてと言うのもあるが、当然それだけではなかった。シバ王国の内情を探ることも含まれている。
『あとはアレ・・・。どう思う?』
『犬か。』
『うん。まさか柴犬とは。タツヤ勝てそう?』
『あれは多分やばすぎだろ。やってみないとわからんが、おれはヤツとは戦いたくない。ナツは?』
『僕は正直わからない。見えないものが多すぎた。まぁタツヤが言うなら決まりだ。シバ王国とは今は敵対しない方が良いね。大会が終わったら急いで帰ってじいさんを説得しよう。』
こうして勇者2人だけの密談によってシバへの脅威が2つ去ったのであった。
次回へ続く
読んで頂きありがとうごさいます。次回から本戦でと言いましたが、少しお待ちください。ねりねりしています。
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