第116話 グダグダ
シバ王国 闘技場
調印式が無事終わった。
『お犬様ー。無事終わりましたね!』
コボルトも無事に役目を終えて嬉しそうである。頭をポンポンして褒めてあげたら喜んでいた。
続けて武闘大会が始まる。オークに仕切ってもらう予定だ。
『犬様、闘技場に参加者が集まりました。ちなみにこれ、リストです。』
オークから紙を見せられる。
「・・・」
『・・・』
「・・・・・・何この数?」
『いや、私も今日知りましたが、バーナード様の頑張りですかね』
・・・・・・バーナードのやつ。めちゃくちゃ集客しやがった。特等席に座っているバーナードを見ると・・・
やろう・・・。こっち見て微笑みやがった。確信犯でそうこられるとタチが悪い。バーナードのおれへの期待値がどんどん上昇していってる気がする。まぁやるよりないから仕方ない。
・・・
・・・・・・あれ。紙を見て気づいたがリンの名前がない。リンとラグだけは絶対に出てもらいたかったのだが。
「おいオーク。リンはどうしたんだ?」
『はい、なんかここ最近体調が優れないようで、参加は見送るとのことです。』
・・・・・・。そういえば前夜祭もリンの姿が見えなかった。大精霊だけだったな。
・・・・・・。
嘘だな。あいつめ、部屋にこもってゲームしてやがるな。間違いない。
「うーむ、どうするかなー」
リストを見ながらリンを無理矢理連れてくるか悩んでいると気になる項目を発見した。
リストには冒険者ランクを記載してあり、未記入もあるが、1人S級冒険者が含まれていたのだ。
「オーク、これって?」
『はい、女性のS級冒険者です。ボーダー王国出身の有名な冒険者です』
ほう。S級冒険者を見るのは初めてである。ボーダー王国といえば前にプードルから聞いたことがある。これならリンが出ていなくても十分楽しめそうだ。
今回はリンのことは見逃してやることにした。
「さて、オーク始めるか。司会は任せたからな」
『はい、犬様頑張ります!』
おれはオークとともに出場者の前に出た。
◇
シバ王国闘技場
おれはオークとともに出場者の前に出る。シバ王国の国王がモンスターだということは有名であるが、冒険者の多くはおれのことを初見だろう。
『なんだあのちっこいのは』
『・・・い・・・いぬだ』
『なんかかわいいぞ』
『柴犬だ・・・。』
おれが出場者の前にでると歓声やおれをナメてる声に紛れて2人の声がした。・・・どうやら出場者の中に少なくとも2人、異世界転生者が紛れ込んでいるらしい。おれのことを犬とか柴犬とか言うやつはそれしか考えられない。
おれは鑑定眼を使用した。
「・・・・・・3人か」
3人異世界転生転生者が紛れ込んでいた。そのうち2人はなんと勇者だ。勇者とはできれば関わりたくはないんだが。
『あの・・・犬様』
「ん・・・。あぁ、すまん。まぁおれは人間とは話せないから、おれの紹介も大会の進行も頼むよ」
おれはオークに全てを委ねることにした。
オークがしゃべり始める。
『こちらはシバ国王であらせられる犬様だ。出場者の諸君、王は諸事情で喉の調子が悪いので、私が変わって大会の開始を宣言する!』
オークが武闘大会の開始を宣言した。おれが人間と話せないのは内緒にしてくれるらしい。素晴らしい配慮だ。会場が一気に熱気に包まれる。その時
『ちょっと待てよ!』
『そうだそうだ』
冒険者数人がブチ切れ気味で立ち上がった。なんなんだろうか。
『おい、おれは鑑定持ちだ。お前のステータスは只の雑魚モンスターだ。偽物だ!』
・・・・・・はぁ。どうやら隠蔽して誤魔化したステータスを見たらしい。冒険者の中にも珍しく鑑定持ちがいたようだ。
『剣王の書はおれが頂く!。もう待てん!我慢ならん!』
はぁ。他にも何人かの出場者が暴動を起こし始めた。
待たせ過ぎたようだ。
『犬様、ここはひとつ。お願いしますね』
オークが耳打ちしてくる。オークが楽しそうだ。
仕方ない。
「爆裂肉球パンチ!(ただのパンチ)」
おれはある程度手加減して暴れてるやつだけぶん殴った。
『ぐは・・・。んな、ばかな・・・』
『なんだ・・・ばけもんじゃねえか・・・』
暴動を起こしたやつらはおれの顔面パンチで気絶していった。100人を超える出場者が少し減った。
「よし、オーク再開だ。進めてくれ」
『それですが、犬様。こんなに参加人数多いと思わなくて進め方を考えてませんでした。』
・・・
「まじ?」
『まじです。』
・・・。ついでにオークもぶん殴っといた。
次回へ続く。
読んで頂きありがとうごさいます。次回から予選です。
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