第112話 前夜祭
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side〇〇
シバ王国
『父上!・・・いない。どこ行った!』
相変わらず飽きずにシバを見つめる赤い鳥。その姿はもうワンコの大きさを超えている。
言葉も日常会話程度であれば問題のないレベルにまで上達していた。
『この近くにいる! 探す!明日!ちょーいんしき!』
小鳥は辺りをキョロキョロしながら再びシバの観察を始めるのであった。
◇
sideシバ
「ワウワウ(ごめんなさい)」
『ごめんなさい』
おれとオークは王城にてミーアに叱られていた。数日前に、完成したばかりの闘技場の一部を盛大にぶっ壊したからだ。
装飾や武闘大会の申込み手続きなどの準備は全部ミーアとコボルトに頼んでいたのでやり直しをくらって、ここ数日、さぞ、ご立腹の様子だった。
『まったくー。気をつけてくださいね!あとですね・・・』
数日謝り倒したのでやっと許してもらえた。だが今回は他にも要件があったようだ。おれは会場設営に注力しすぎて、そのほかは全部ミーア・コボルトに丸投げしていた。なにかあったのだろうか。
コボルトに通訳をしてもらう。
『犬さん、今夜前夜祭を城で開く件ですが、バーナード様、プードル様のためにも準備頑張りましたからね。そろそろ来ると聞いています。』
「んげ・・・もうそんな時間か。ミーア、ありがとう」
そう、今夜は明日の調印式・武闘大会前の前夜祭であった。急いで出迎える準備をしなければ。おれはミーアにお礼を言い、コボルトに指示を出した。
『いぬさん! これどうぞ。宜しくお願いしますね。』
ん?
コボルトと話していると、ミーアから紙を渡された。なになに?
「うぉ! これってまさか・・・」
『はい! 犬さん。なるべく早くお願いしますね。』
請求書だった。装飾代・前夜祭食費など全て網羅されている。ちゃっかりおれたちが壊した闘技場の追加装飾費も項目に含まれていた。
おれはコボルトと目を合わせる。金額は・・・
・・・
「のぉぉぉぉぉお!ぐふっ」
ここ最近で1番のダメージだった。目ん玉飛び出るかと思った。コボルトもビックリして尻尾がグルグル回っている。
『それじゃ、いぬさん、また来ますね』
ミーアは王城を去って行った。金のことになると本当に容赦のないミーアであった。これが本当の悪魔である。
◇
シバ王城
「ワンワーン!(かんぱーい)」
無事にバーナードとプードルが到着しこうして前夜祭を開くことができた。おれはミルクをペロペロなめる。
「いよいよ明日だな。」
『えぇ。武闘大会も楽しみです。頑張って宣伝しましたので。』
『わたしも少し楽しみです。』
バーナード・プードルと乾杯をする。
例のごとくコボルトに抱えられ通訳してもらうと・・・
バーナードは武闘大会の宣伝を頑張りすぎたようだ。どれくらいの参加者が集まっているのだろうか。あとでコボルトに確認しようと思う。
プードルはジンの一件から立ち直ったようだ。まぁ勇者なのでそう簡単には死なないだろうが。プードル自身もジンが死んだとは思っていないのだろう。
『ぬ・・・。うまい、うまい!』
『がはは、うまい、うまいぞぉぉぉお』
・・・
ケルちゃんとオークが豪華な料理を凄い勢いで食らっている。
『お犬様!わたし頑張りました!ふへへ』
コボルトの1人がおれの周りをフワフワして、自己主張が凄い。前にメシマズだったコボルトだった。周りに教えてもらって頑張ったらしい。腕を上げたようなので褒めておいた。
『ちょっとー、それわたしのよ!』
『がはは、早い者勝ちだぞ。』
大精霊がケルちゃんとケンカになっている。
肉の取り合いをしているようだ。
保護者どこいった・・・。
『はは・・・なんか凄いですね。犬殿。』
『なんか平和ですわね・・・ふふふ』
バーナードとプードルがその光景を見て思わず微笑んでいた。
明日から武闘大会が始まる。どんな大会になるか楽しみである。
次回へ続く
次回から武闘大会はじまります!
お楽しみにしてもらえたらと思います。
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