第111話 試し打ち
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side〇〇
シバ王国
シバ王国が見渡せる場所に一匹の美しい小鳥がいた。見た目は赤がベースで緑、青など様々なグラデーションがかかっており、体には炎を纏っている。
『・・・いぬちゃん!・・・コボルト!・・・ケルベロス!』
その小鳥はシバを見つめている。視線の先には一匹のワンコ。言葉も段々と覚えて来ていた。
『・・・ちちうえ!・・・いぬちゃん?・・・わからない!』
シバの様子を観察しながらどんどん言葉を吸収していく小鳥であった。
◇
sideワンコ
シバ王国
『犬様 遂に完成です!このオーク、嬉しくて涙が!』
「やったな!オーク!」
オークは調印式・闘技場会場が完成したのを見て目を潤ませている。
オーク頑張ったからなー。何か褒美をあげないとなぁ。
「・・・・・・おい、オーク。なんか欲しいものあるか?」
『い・・・犬様!そんな、私は犬様にお仕えしてるだけで十分です!』
オークが遠慮する。ちなみにリンには色々働いてくれたしコボルトの一件もあったので、ずっと持っていた"楽天ポイント50000円"をあげた。泣くほど喜んでいた。早速色々買い込んだようだ。オークにもせっかくなので何かあげたいところだ。
てかお前いつのまに一人称"私"になったんだ。まぁオークもシバ王国のお偉いさんとしての自覚が出てきたようで何よりである。
一人称変えるのは結構勇気がいるんだぞ。
「ぬっ・・・」
また誰かの視線を感じる。最近しょっちゅう誰かの視線を感じる。
「だが・・・なんかいつもと違うような・・・。」
・・・
・・・・・・。オークだった。そのキモい視線はオークだった。やはり欲しいものがあったらしい。おれの肉球に視線が釘付けである。
・・・。コイツ今ステータスどうなってんだ。鑑定眼で確認する。
・・・やべぇ。
耐久が極Lv1になってやがった。ほかにも軒並みスキルのレベルが上がっている。というか耐性もすごいことになってる。
これなら・・・。
「よし!オーク!」
『はい!』
オークが顔を緩ませながらこちらを向く。こっち見んな。
「ちょっとそこに立ってくれ」
『はぁ・・・ここですかね。』
「そこだ!よし、新しいスキルの試し打ちに付き合ってくれ!」
『おお! ばっちこい!』
オークニッコニコである。一応、闘技場完成記念の試し打ちも兼ねている。
「いくぞ ・・・・・・疾風迅雷」
スキルを発動した。
スキル名を口にした途端におれの体が雷と風に包まれる。雷が落ちて来たわけでも竜巻が発生したわけでもない。単純に急にそれは現れた。
『おお・・・! これまた凄い!』
オーク・・・ワックワクである。
「オーク! 紫電槍を全力、全部振り絞ってうってこい!」
『は・・・はい!』
オークが魔槍ゲイボルグを振りかぶると千を超える紫電の槍が出現した。おれに襲いかかるが・・・
「う・・・うぉぉぉぉぉお!」
おれに当たった紫電が粉々に弾けとんだ。紫電が弾け飛ぶ・・・そんなことがあるはずないと思っていたが、その表現しかないと思わせる様な現象が今、目の前で起こっている。
ダメージは・・・。おれへのダメージは殆ど無いと言っても良い。紫電槍はRRスキル。おそらくスキルのレベルによっては多少ダメージを受けてしまうみたいだが・・・
弾けとんだ紫電が・・・
「なるほど。そういうことか。じゃぁこれは・・・」
おれは敢えて紫電に突っ込む。
『おお・・・凄すぎる』
一瞬だった。千本を超える紫電槍が粉々に砕け散り、おれの通った花道を演出している。綺麗だ。
そして・・・散った紫電がおれに纏われる。その密度はどんどん高まっていく。これは凄い。
「オーク! いくぞー、必殺肉球パンチ!」
『う・・・うぉぉぉぉぉお。へぶっ!のぉぉぉぉぉ』
一応かなり手加減してパンチをオークの顔面に叩き込んだ。
オークは反応すら出来ずに、完成したばかりの闘技場の壁を破壊して彼方まで飛んでいった。
「・・・・・・。これはやばいな」
すぐにオークを助けにいくのであった。
「お・・・オーク!大丈夫か!」
『犬様ー 凄かったです!よかったです!』
オークが瀕死になりながらも気持ちよさそうに意識を失った。
『犬様・・・。紫電槍の・・・レベルが・・・今上がりました』
という言葉を残して。なにが良かったのかは不明である。
次回へ続く。
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