第110話 殺意
side〇〇
『・・・・・・。・・・い・・・ぬ?・・・』
シバ王国を見つめる1匹の炎を纏った小鳥。
『・・・・・・いぬちゃん!』
その視線の先には1匹のワンコ。
『・・・。・・・いぬちゃん!いぬちゃん!』
小鳥は覚えたての言葉を連呼しながら羽根をバタつかせていたのだった。
◇
sideワンコ
「ふわぁぁぁ。んー・・・。なんだろうか」
大会会場作りも終盤に差し掛かりあとはオークに任せるだけになった。思わずあくびが漏れてしまう。それにしても、なんか最近ずっと誰かの視線を感じている気がする。
「・・・。まぁ悪い感じでもないなぁ。まぁなにかあれば向こうからくるだろ」
感知系のスキルを使っても反応しないため、どこから見られているかわからない。特に悪意は感じなかったので放っておくことにした。
それはそうと・・・
久しぶりにステータスを開く。まめに開けよと思われるかもしれないが、そんなことはめんどくさいので、所詮無理なのである。犬にそれを求めてはいけない。
ポイントは・・・
「21000ptある・・・。」
先日の戦いでモンスター達をペチャンコにしたのが良かったのか・・・。スキルガチャを久しく引いていなかったので"スキルガチャ+"もひけるが、すぐに出たアイテムを使わないといけないので、今回はやめておくことにした。
「んー・・・。」
何を引くか考えた結果、URガチャ2回とSRガチャ1回を引くことにした。ガチャのボタンを押す。
『・・・・・・そろそろ言語スキルがほしい。』
出た。
UR【トロピカルボディLv--】
UR【疾風迅雷Lv7】
SR「賢王の書」
・・・UR2個にSRアイテム1個か。
・・・言語スキル全然でねぇ。
悔しくて思わず地面を肉球でダムダムやってしまった。気を取り直して鑑定眼で確認する。
トロピカルボディは・・・常時発動、通常・魔法・スキルによる攻撃で一定以上ダメージを受けないとある。
「・・・・・・ますます死ななくなってきた。まさにゾンビ犬だな。」
そんでもって、疾風迅雷・・・風と雷を纏い目にも留まらぬ速さで邪魔するものを押し退ける。1日一回、7分間持続。
「疾風迅雷・・・。なんかすごそうだ。天衣無縫と似てるな・・・。スキルレベルによって持続時間が変わるのか」
だが説明が少し曖昧な表現になっているため、実際に使ってみる必要がありそうだ。今度オークに手伝ってもらうかな。
最後に・・・
「遂に・・。遂に来た!」
そう。最後は賢王の書である。おれは魔法が使えない。だが魔法が使えるようになる方法があるんじゃないかとずっと思っていた。
「賢王の書・・・。どれどれ・・・。うお!」
鑑定眼で確認する。・・・大量の情報が書いてあった。読むのめんどいのでざっと目を通した感じ、どうやら賢者の称号が付与されるらしい。賢者の称号は魔法の上達が格段に早くなると書いてある。おれが求めていたアイテムだった。
「ついに・・・、ついに・・・。きたー!」
おれは迷いなく賢王の書を使用した。すると・・・
【このアイテムは魔法適性がないと使えません】
「の・・・のぉぉぉぉぉ!」
悔しくて思わず本日2度目の肉球ダムダムをしてしまった。
『何事ですか!?』
コボルトがダッシュでおれの元にやってきた。どうやら肉球ダムダムが地響きになっていたらしい。
コボルトに少し説明して騒ぎをおさめてもらった。
『お犬様。どんまいです。・・・ん?なんですか、コレ?』
「いや、これも大会の商品にしといてくれ。バーナードにも伝えといてくれ。」
おれはコボルトに賢王の書を手渡したのであった。
危ない危ない、このままあれを持ってたら燃やしてゴミ箱ポイしてしまうところだった。
次回へ続く。
いつもありがとうございます。
ちょっとジャンルを変更してみました。
ハイファンタジーに。とくに意味はないのですが。
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