第105話 会議
某国、会議室にて
各国国王5人がテーブルを取り囲んでいる。その中にはヨークシャー王、バンドッグ女王も混じっている。
シバ王国が誕生したことによる緊急招集であった。
『シバが国として成立したな・・・。ヨークシャー王、封印石なるものは失敗に終わったようだな。』
『シバ王の力を見誤っていたようです。我が国もこのままというわけにはまいりません。最悪、我が国の勇者を使います。』
シバ国王が成立したことは、全ての人間にアナウンスがあったようで周知の事実となっていた。
ヨークシャー王は整然と応える。その様は少しも申し訳なさを感じない。
『ほぅ、貴国の勇者が遂に見れますかな。楽しみですな。』
『ふ・・・。いえいえ。所詮、後発ですので皆様方に比べたらまだまだですよ。』
ヨークシャー王が謙遜する。
『・・・少しよろしいか。』
『なんですかな。ボーダー国王殿』
2人の王とヨークシャー王の会話に1人が割って入った。
『いや、我が国はシバについては黙認する。シバについては色々情報を集めているところだ。今回は静観させてもらう。』
それに続いて
『我が国はむしろシバとは友好的な立場を表明いたしますわ。』
バンドッグ女王プードルが宣言する。
『ば・・・ばかな。モンスターが統治する国との友好など認められるか』
『そうだ。何をばかなことを・・・』
2人の王は反対する。
『ボーダーの黙認はまだしも、バンドッグ女王殿、貴国はシバと同盟を結ぶというのですかな?』
ヨークシャー王も威圧的な態度でプードルに牽制するが、プードルは動じず
『えぇ。そうとって頂いても構いませんわ。シバよりもおたくの方が我が国にとって脅威ですので。・・・そういえば封印石に操られたとみられるケルベロスがバンドッグ王城を襲いましたわ。』
『ほぅ。それはそれは。シバでの失敗もあり、どうやら封印石は完全ではなかったようです。ご無事でなによりです』
ヨークシャー王は予め言い訳を用意していたと思うくらい余裕の表情で応える。
『あら、私はそうは思いませんわ。他の国も気をつけてくださいね。』
『・・・ふ。威勢の良い女王様だ・・・。』
ヨークシャー王はプードルを睨みつける。
その後も意見交換がなされたが、結局お互いの溝が埋まることはなかった。
◇
国王達が去った会議室
『ふう、老害達め。自分たちは動かずに勝手なことばかり言いおって。』
ヨークシャー王が1人、悪態をついていた。
『シュナウザーを失ったが、封印石は完成した。この大陸は私が頂く。』
ヨークシャー王は拳に力を入れる。
『そうか・・・。今シバを相手にするのは力が足りない。まずは老害の国から取り込むか・・・決まりだ。フハハハハ。』
誰もいない会議室にヨークシャー王の笑い声が響いたのであった。
次回へ続く
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