第102話 安定のケルベロス
シバ王国
ようやくひと段落つけそうである。
あとはプードルとシュナウザーをどうするかだけだ。
『・・・"というわけでお前のせいで酷い目にあったぞ。一回殺されそうになったし"だそうです!』
精霊コボルトがおれを抱えて、いつも通り通訳してくれる。精霊になってもこれまで通り変わらずいてくれるようだ。というかシバの主要施設は商会以外コボルトが運営している。
コボルトの国なのにコボルトがいなくなっては困る。
『この度は私の国の勇者が大変失礼しました。それもこれも全て私の責任です。申し訳ありません。』
バンドッグの女王プードルが目を覚まし、おれの小屋で詫びてきた。ちなみにシュナウザーは新しく出来るシバ城の牢屋に犯罪者第1号としてぶち込んで置いた。ケルベロスはタマゴを取りに行っている。
ケルベロスのやつ全然戻ってきやがらない。
おれはプードルの詫びにあくびで応える。
にしてもこの女王、美人である。ジンが夢中になるのもわかる。
『そういえばジンはどうされましたか?』
おれが考え事をしていると、プードルはジンがいない事を不思議そうに聞いてきた。100歩転んでも勇者が死ぬとは思っていないのだろう。コボルトに通訳を頼む。
「勇者なら最後までお前を救おうとしてたぞ。いたしかたなく返り討ちにした。もしかしたら生きてるかもだが。」
『なっ・・・。ジンが死んだというのですか。そんな・・・。』
プードルは驚いてその場にへたり込んでしまった。だがそこは女王、すぐに持ち直して
『シバ王殿。此度の件、大変失礼いたしました。元々はヨークシャー王国の悪事を潰す事だけを考えていましたが、このような形になり申し訳なく思っています。』
プードルにとってもジンの存在はとても大きいものだったようだ。涙をこらえながら改めて詫びてきた。
まぁおれにとってはヤツは自業自得なので申し訳ないとは微塵にも思わないが。
それより今後の話をせねば。
◇
『はい。それでよければ。・・・そんなことでよろしいのでしょうか。』
一通りプードルとの話し合いが終わった。プードルはブルテリアを経由してバンドッグに帰すこととなった。バンドッグ王国がシバに攻めてこないように渡す際に取り決めをする予定だ。
そんでもっていくつかプードルに動いてもらう事となった。まとめると
・シバとブルテリアがこの大陸の一国として認められるように協力する。あと三国同盟する。
・そのうち会議とかも出席したい。
・冒険者ギルドの支部として認めるように動くこと。
・ヨークシャー王国にシバがやり返しても黙認すること。
ほかにも細かいことはあるが、こんな感じでまとまった。但し、シバに脅威を感じている国が多いと聞いたので直ぐには難しそうだ。あとやり返すのも難しいかもしれない。
『それではまた調印式にて。』
それからしばらく雑談したあと、プードルはシバを出発した。オークにブルテリア王のバーナードへの手紙を持たせて、同行を頼んでおいた。
◇
プードルを見送ってしばらく経った頃
「おそいぞ!」
ケルベロスが戻ってきた。
『いぬちゃぁぁぁぁぁん!』
トボトボ歩いてきたのにおれを見るなり急いだふりをするケルベロス。
「なんだよ、んでタマゴは?」
おれが、ケルベロスを凝視する。こやつ手ぶらである。アイテムボックスも持ってないのに
『い・・・いぬちゃん。実はな・・・』
ジー。ケルベロスを睨みつける。
「実は?」
『実は・・・』
このクソ犬のことだ。大体予想がつくが・・・
『タマゴ無くなってた。ぶはっ』
「・・・・・・」
・・・このクソ犬、タマゴ無くしやがった。
「・・・。このばかやろー!。歯ー食いしばれー!」
『うぉぉぉぉお。いぬちゃん、ゆるしてくれー』
その後、しばらくケルベロスを説教した。
次回へ続く。
いつもありがとうございます。
もうすぐこの章は終わります。タマゴや勇者がどっなったのか。神様がドラゴニックスタンプを使うなといった理由などちゃんと回収していきますので楽しみにしていただければと思います。
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