第100話 浄化
sideワンコ
シバ王国近郊
おれはケルベロスが全然口を開けないのでなんとかしてこじ開けようとしていた。
「ぜー、はー、ぜー、はー」
頑なに口を開けないケルベロス。頑張り過ぎて息が切れて来た。もうどうやってもひらく気がしない。
腹たってきた。
「くそー、もう無理だ。」
諦めてしまいそうになっていたその時
「お・・・。おぉ。なんだ?」
シバの方から白い光が輝いた。その光はおれたちのいる場所をも包み込む。
「おぉ。なんか暖かい・・・。」
その光はとても心地がよいものだった。
その心地よさに眠気が訪れるがこらえていると・・・
『ぬ・・・!ぐぁ。おお、いぬちゃん。なにしてんの?』
ケルベロスが何故か正気に戻った。
『んなっ!バカな。ふ・・・封印石は・・・?。こ・・・壊れている。何故だ。』
シュナウザーは持っていた封印石が壊れたようだ。
まさかの事態に気が動転している。今の光が関係あるのだろうか。
とりあえず・・・
「なにかじゃないぞ。全く。大変だったんだぞ。また操られやがって。」
『んあ?わっはっは。そういえばそうだった! いぬちゃんすまんすまん。』
ケルベロスはいつも通り全然反省していなかった。
「とりあえずその口の中にあるやつと咥えてるやつはそのまま持っとくんだぞ。」
『ん・・・?あぁ。これか。しょうちした!そういえばワシが戦ってた勇者は?』
「おれが倒した!ふふふ・・・」
『おお、やるな。ワシがだいぶ痛めつけたおかげだな。わっはっは』
「そんなわけあるか。」
『がはは』
そんな雑談をしながらケルベロスはシュナウザーと女王を咥え直す。シュナウザーは最後まで悪あがきしていたが諦めたのか徐々に静かになっていった。
こうしておれとケルベロスはなんとか無事にシバに帰還するのであった。
◇
おれがシバに帰ると・・・
『いぬ様ー!ご無事でなりよりです!』
今回は出番がなかったオークがすっ飛んで来た。
「あー、このやろー。おれの葬式なんかやりやがって。それになんだあの無駄な演技力は、くらえー」
『へぶっ!』
オークに肉球パンチをぶち込むと、だらしない顔でぶっ飛んでいった。
・・・
・・・・・・あいつ今耐久いくつなんだろう。今度見てみることにした。
とりあえずおれがシバに戻ると村人たちは驚いていた。そりゃそうだ。おれの葬式真っ只中の騒動だったからだ。村人達に事の経緯を説明していると・・・
・・・
『いぬ様ー!!』
『いぬさん!』
コボルト達とリンがやってきた。見た目は前とそんなに変わらないので鑑定眼で見てみると・・・
・・・ちゃんと精霊になれてた。
「おー、コボルト。よかったなー」
『はい! よかったです! これで次からは私も戦えます!』
コボルト達は嬉しそうに乱れ飛んでいた。
飛べるようになったようだ。
・・・まぁおれとしては今のままでも可愛いは正義だから全然よかったのだが。一応肉球でポンポンやってやると喜んでいた。あとはリンだが・・・。
「リン。コボルト達と契約出来たようだな。」
『はい、おかげさまで。』
「それで大精霊の導きに変化は?」
『あー、はい。一応あったんですが・・・』
「ん?」
『・・・いえ。さっきの白い光で力を使い果たしまして・・・。』
「なるほど、消えてしまったのか?」
『いえ・・・。そういう訳では・・・。』
無事に大精霊もパワーアップしたようだが・・・。
さっきの光はやはりリンだったようだ。
にしてもなんか煮え切らない表情だ。
大精霊が顕現していると思ったのだが・・・
『ちょっと! 私のリンちゃんにその口近づかないでよね!』
『ぬ!・・・ぬう?はー』
『ちょ・・・。くさいー! あんたなに食ったのよー!』
『ん?スタミナのつくものをいっぱいだな! がはは!』
・・・
・・・・・・なんだあれ。ケルベロスにちっこい妖精みたいなのがメンチきっている。
「・・・」
『・・・』
おれはリンと目を見合わせる。
「・・・・・・リン。なにあれ?」
『・・・・・・だ・・・大精霊です。』
リンが申し訳なさそうに応えた。
どうやら念願だった大精霊と会うことが出来たようだ。ここはリンにお祝いの言葉を贈っておかねばなるまい。
"ドンマイ"と・・・。
次回へ続く。
遂に100話です。いつもありがとうございます
ほんとは100話でこの章を終わらせる予定でしたがオーバーしてしまいました。
皆様のブックマーク、評価がモチベーションになっておりますので何卒よろしくお願いします(=ω=;)
また、別の作品も今練っているところです。よろしくお願い致します。(*゜Д゜)