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80 300のウサギ

関連小説の紹介 ※本作の最後に、小説へのリンクがあります。


★『…マジで消すよ? 俺の愧術がチートすぎて、クラスのヤツらを一方的に縛ったり消したりします!』


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女の子を緊縛して奴隷にする、嫌なヤツを消す、お金を出す…これ全て、異世界最強の、愧術…!



★『チートゴーレムに引きこもった俺は、急に美少女たちから懐かれはじめました。キスしながら一緒に風呂やベッドに入るって聞かないんです!』


https://ncode.syosetu.com/n0930eq/


引きこもれば引きこもるほど、チヤホヤされる…チートゴーレムのお話!

 昼休憩を終えたボクらは、4階の探索を再開した。


 仲間たちはカツ丼の美味しさが忘れられないのか、カツ丼談義で盛り上がっている。

 ついさっき食べたばかりだというのに、また食べたいねぇ、なんて言っている。


 そんな彼らの後を、ボクはうつむきながらついていく。


 幸せだった気持ちをシリアスに変えたのは他でもない、新たに増えた『リバイバー』のスキルの存在……。


 『チャウチルトリク』と『トラソルテオトル』……。

 またしても、名前からでは何のスキルだかさっぱりわからない。


 しかも、選択ツリー……!

 どちらか片方のスキルを取ったら、取らなかったほうのツリーが消えてしまうんだ……!


 『カオツルテクト』の効果はどれも便利だったから、新たに増えたふたつのツリーもたぶんいいスキルが揃っていると思う。


 でも効果がハッキリしない以上、試しにポイントを振ってみる、というのが今まで以上にやりにくい……!

 だって消えたほうのツリーに、いいスキルがあるかもしれないから……!


 それに、気がかりはまだある。

 黒ずくめの『ヤツ』のことだ。


 昨日、ボクに襲いかかってきたヤツは、ボクの『カオツルテクト』のスキルに勝手にポイントを振った。

 理由も原理もわからないけど、とにかくヤツはそうしたかったんだろう。


 ヤツはポイントを振る前、『マダナノカ』と文字を出していた。

 その文字から察するに、『カオツルテクト』のスキルにポイントを振らないボクに痺れを切らしたのかもしれない。


 ということは……このまま『チャウチルトリク』と『トラソルテオトル』をほっといたら、またヤツが現れるかもしれないんだ……!


 そこまで考えて、ようやくボクは気づいた。


 あっ!? そうだ……! なんでいままでこんな大事なことに気づかなかったんだ……!


 『カオツルテクト』の『蝸』は、ステータスウインドウに文字を出すことができるスキル……。

 ヤツはそのスキルを使って、ボクと意思疎通をしている……。


 と、いうことは……ヤツも『リバイバー』……!?


 ヤツと出会ってから今までのやりとりが、走馬灯のように頭を流れていく。

 そしてさらなる違和感が、頭の中の釣り針に引っかかった。


 それは、魚がパクリと食らいついた状態ではなく、偶然に尾に引っかかったような、中途半端な状態……。

 なにかがおかしい、なにかを見落としているような気がするんだけど、それが何かがわからない……そんなもどかしい状態だった。


 この違和感は、ボクが持つ何らかのスキルが働いて、無意識に引っかけているのかもしれない。

 しかし肝心のボクの意識が、それが何なのか認識することができない。


 なんなんだ……この感覚……!

 すっごく……気持ち悪い……!


 喉元に魚の骨がずっと引っかかっているような、嫌な感覚を抱きながら歩いていると、



「おいっ! レイジングホースだ! 今度こそやるぞっ!」



 マニーの鋭い声によって、ボクはごくりと飲み下してしまった。


 大きな通路のど真ん中にたむろしているモンスターたち。

 レイジングホースと、白い大型犬みたいなモコモコしたヤツ……!


 キッ! と一斉にボクらを睨みつけたソイツの口には……ロングソードのような長い長い前歯が飛び出していたんだ……!



 【レイジングホース】(戦闘力:180)

 【レイジングラビット】(戦闘力:300)

 【レイジングラビット】(戦闘力:300)

 【レイジングラビット】(戦闘力:300)

 【レイジングラビット】(戦闘力:300)

 【レイジングラビット】(戦闘力:300)

 【レイジングラビット】(戦闘力:300)



 せ、戦闘力、300……!?

 ボクとほぼ同じじゃないか……!?


 止める間もなく突っ込んでいくマニーたち。

 手をひさしのようにして遠くから眺めていた大人たちは、やれやれと肩をすくめていた。



「おい、アイツら、あのレイジングラビットに手ぇ出そうとしてるぞ」



「バカだねぇ、レイジングラビットは1匹だと弱いけど、お仲間がいると戦闘力があがっていくモンスターだってことも知らずに……」



「戦闘力にあわせて前歯も長くなっていくんだよな。見ろよアレ、もう剣みたいになっちまってるよ」



「アレじゃタダじゃすまねぇだろうな。アイツらは首を狙ってくるから、あっという間に跳ねられちまうんじゃねぇか?」



「マジかよ、あのアンノウンとかいうガキが首チョンパされる瞬間が見れるのかよ!」



「おい、見てる場合じゃねぇって、それよりも俺たちもやらなきゃ、ボスにどやされちまうぞ」



 大人たちは後ろ髪を引かれているようだったが、近くにレイジングホースが現れると、ボクらのことは忘れて襲いかかっていった。


 ボクはボクで、さっきまで悩んでいたこともすっかり忘れて仲間たちに向かって叫んでいた。



「マニー、ウサギ、キャルルはレイジングホースをお願い! ボクはレイジングラビットをぜんぶ引き受けるっ!」



 首チョンパするかもしれないモンスターと、仲間たちを戦わせるわけにはいかない。

 ボクは指示しながら、レイジングラビットめがけて手裏剣を放った。


 が、鋭い前歯でキンッ! と弾き返されてしまう。

 ノーダメージである証の、『0』の数字が浮かび上がる。


 正面からの手裏剣が効かない……!?

 さすが、戦闘力300……!


 しかし、注意を引くことには成功したようだ。

 6匹の巨大ウサギたちは先行しているマニーたちの横をすり抜け、ボクめがけて走ってきた。


 長い前歯の先が床をこすり、火花を散らしている。


 さらにボクの目前で、ガツッ! とひときわ大きな火花がおこった。


 ヤツらは前歯を地面に突き立てて、高く飛んだんだ。

 まるで、棒高跳びのように……!


 それは、想像以上の跳躍力だった。

 さっきまで腰下にいたはずのヤツらが、いまは見下ろしている……!


 ウサギがこんなに高く飛ぶだなんて、とボクは不意を突かれてしまった。


 しかし大人たちの話を聞いていたおかげで、ヤツらの狙いはわかっている。

 そう、ボクの首を狙っているということに……!


 ギロチンのような6つの刃が降ってきた。

 たとえひとつやふたつ捌いたところで、まっぷたつになるのは免れない……!


 ならば……!



「 (リュウ) ッッッ……!!」



 ……ガキィィィィィィィンッ!!


 振り上げた拳で、真っ向から刃を受け止める。

 ボクの拳に、放射状に突き立てられる刃たち。


 刃物と拳……ぶつかりあったところで勝負になるはずもない。

 普通の拳ならば、骨までズタズタに切り裂かれているところだ。


 ウサギたちもそう思っていたのだろう。

 しかし、ボクのゲンコツはダイヤモンドのように傷ひとつついていなかったので、ウサギたちは真っ赤な眼をさらに血走らせていた。


 そう、これは普通(タダ)の拳じゃない……!

 この振り上げた一瞬であるならば、たとえ隕石だって粉々にできる拳なんだ……!



「 (ショウ) ッッッ……!!」


 ……グググググググググッッッ!!


 針玉のようになった拳を持ち上げると、ウサギたちも負けじと押し返してくる。

 わた菓子のような身体をバタつかせているその姿は、かわいいと思えるほどだった。


 自慢だったであろう前歯に、ピシピシとヒビが入ってく。

 がんばって伸ばしたんだろうけど、このまま折らせてもらうよ……!


 鋼鉄の剣のようだった前歯も、今のボクにとっては茹でる前のそうめんのようなものだった。

 これから圧倒的なパワーを用いて、一気に砕いてやるっ……!



「 (ゲキ) ィィィィィィッ……!!!」



 バキィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!


 粉々になった前歯が、雹のように舞い散る。


 その中で、さらなる高みを目指すボクと、逆にきりもみしながら墜落してくウサギ。


 ヤツらはまだ、死んではいないようだ。

 だが、いちばんの脅威は奪い去ることができた……!


 ボクは技の途中であるというのにホッとひと息つく。


 あ、そういえば……人間のほうのウサギは大丈夫かな?


 龍昇撃が頂点に達したところで、空から仲間たちの様子を伺う。


 そして、最悪の瞬間を目の当たりにする。


 レイジングホース渾身の後ろ蹴りが、今まさにウサギの顔面を捉えようとしているところだったんだ……!

■□■□パラメーター□■□■(現在の階数:4階)

挿絵(By みてみん)


□■□■スキルツリー■□■□


今回は割り振ったポイントはありません。

未使用ポイントが3あります。


括弧内の数値は、すでに割り振っているポイントです。


●リバイバー

 カオツルテクト

  (1) LV1  … 蝸

  (2) LV2  … 蛞

  (1) LV3  … 蛭

 選択:チャウチルトリク

  (0) LV1  … 蝮

  (0) LV2  … 蛟

  (0) LV3  … 蠎

 選択:トラソルテオトル

  (0) LV1  … 螫

  (0) LV2  … 蟄

  (0) LV3  … 蜜


●忍術

 遁走術

  (1) LV1  … 音無し

  (1) LV2  … 地降り傘

  (0) LV3  … 隔世走り

 暗器術

  (1) LV1  … 操具

  (1) LV2  … 埋伏

  (1) LV3  … 誂達

 房中術

  (0) LV1  … 口印

  (0) LV2  … 綺弄

  (0) LV3  … 淫紋


●五輪書

 地の巻

  (1) LV1  … 大地の型

  (1) LV2  … 不動峰巒剣

  (1) LV3  … x刀流

 水の巻

  (1) LV1  … 静水の型

  (1) LV2  … 明鏡止水剣

  (1) LV3  … 居合い殺法


●錬金術

 風錬

  (1) LV1  … 抽出

  (1) LV2  … 風薬

  (0) LV3  … 旋風

 火錬

  (1) LV1  … 変形

  (1) LV2  … 火薬

  (1) LV3  … 噴火

 地錬

  (1) LV1  … 隆起

  (0) LV2  … 地薬

  (0) LV3  … 地震

 水錬

  (1) LV1  … 陥没

  (1) LV2  … 水薬

  (0) LV3  … 奔流


●リバイバー

 カオツルテクト

  (1) LV1  … 蝸

  (2) LV2  … 蛞

  (1) LV3  … 蛭


●彩魔法

 灰

  (0) LV1  … フリントストーン

  (0) LV2  … プラシーボ

  (0) LV3  … ウイッシュ

 白

  (1) LV1  … キュア

  (0) LV2  … リムーブ

  (0) LV3  … エクステンション


●サイキック

 ニュートラル

  (4) LV1  … テレキネシス

  (3) LV2  … クロスレイ

  (1) LV3  … テレパシー

 ダークサイド

  (1) LV1  … ダークチョーカー

  (0) LV2  … エナジードレイン

  (0) LV3  … マインドコントロール


●降臨術

 妖精降臨

  (1) LV1  … 戦闘妖精

  (1) LV2  … 補助妖精

  (4) LV3  … 生産妖精

 英霊降臨

  (1) LV1  … 戦闘英霊

  (0) LV2  … 補助英霊

  (0) LV3  … 生産英霊


●ミュータント

 アニマル

  (1) LV1  … エレファント

  (1) LV2  … ドルフィン

  (1) LV3  … イーグル


●潜在能力

 必殺技

  (1) LV1  … 波動弾

  (1) LV2  … 烈蹴斬

  (1) LV3  … 龍昇撃

 打撃必殺技

  (1) LV1  … xカウンター

  (1) LV2  … 爆裂拳

  (0) LV3  … 点穴


●超感覚

 モーメント

  (1) LV1  … 思考

  (0) LV2  … 記憶

  (0) LV3  … 直感

 パーフェクト

  (0) LV1  … 味覚

  (0) LV2  … 音感

  (0) LV3  … 声帯


●料理

 見習い

  (1) LV1  … 下ごしらえ

  (1) LV2  … 焼く・炒める

  (1) LV3  … 茹でる・煮る

 コック

  (1) LV1  … 盛り付け

  (1) LV2  … 揚げる・漬ける

  (0) LV3  … 燻す・焙煎

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