表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/152

32 巨大モンスター、撃破!

 空中でスキルウインドウを開いたボクが、新たに得たスキル……。


 それは、『格闘』の『xカウンター』と『爆裂拳』……!

 残っていたふたつのスキルポイントを、それぞれに費やす……!


 『xカウンター』と『爆裂拳』は『選択:打撃必殺技』のスキルツリーにある。

 ツリー名の頭に『選択:』と付いているのは選択式のツリーであることを示す。


 『選択:打撃必殺技』と『選択:投げ必殺技』は、どちらか一方のツリーしか習得することができない。

 本当は、ヒマなときにでもじっくり悩んで取捨選択をしようと思ったんだけど……強敵ミノタウロスロワーを倒すために、今こそ必要だとボクは『思考』したんだ。


 『打撃必殺技』のスキルにポイントを振ったとたん、『投げ必殺技』のツリーは消え去った。


 ……名残惜しさはない。

 だってボクは生まれて初めて、「勝つための選択」をしたんだ……!


 逃げるためじゃない、その場をやりすごすためじゃない。

 ヘラヘラ笑って、相手が見逃してくれるのを待つばかりだったボクが……立ち向かうことを決めた……!


 壁のように立ちはだかる強敵を倒し、未来を切り開くための選択をしたんだ……!


 だから……この技能(スキル)で……絶対にヤツを倒すっ……!!


 ボクは決意とともに両手を広げて降下、いまだ倒れているミノタウロスロワーの胸に着地した。

 そのまま跨り、マウントポジションへと移行する。


 ヤツの弱点である顔面が、すぐ間近にある……!


 絶好のチャンスだったけど、ボクが胸にのしかかった衝撃で、ミノタウロスロワーは意識を取り戻してしまった。



「ブモォォォォォッ!?」



 横たわったまま、ぶっとい腕を振るってパンチを放ってくる。


 腰の入っていないパンチ……!

 それでもヒットすれば、ボクは蚊のように叩き潰される……!


 ペチャンコになったボクの姿を想像したのか、「ああっ!?」と観客から悲鳴がおこる。


 しかし次の瞬間、叩き潰されていたのは……ボクの身体ではなかった。


 ボクは無意識のうちにヤツのパンチをかいくぐり、強烈なマウントパンチを浴びせていたんだ……!


 これが、『(エックス)カウンター』……!

 『潜在能力』のなかでも珍しい、パッシブスキル……!


 敵の攻撃に反射反応し、攻撃を繰り出す……!

 そしてこのカウンターによって命中した攻撃は、通常よりも高い破壊力を持つ……!


 スキルポイントが多ければ多いほど、反撃できる技が増え、カウンターの威力もあがる。

 またポイントに応じて、ダブルクロスカウンター、トリプルクロスカウンター、クアドラプルクロスカウンターができるようになるんだ……!



「ブモォッ!?」



 パンチが空振りしたうえに、しかも読まれていたかのように的確に反撃をくらったので、ミノタウロスロワーは黒飴のようなブルズアイをギョロギョロさせていた。


 悪い運気を振り払うように、さらにパンチを打ってくる。


 しかしマウントされている側からのパンチは、動作が大きくなってバレバレ……!

 格好のカウンターの餌食だ……!


 ……ゴシャアッ!


 二発目のマウントパンチが、牛の頬を的確に捉える。

 「ブオオッッ!?」と吹き出しながら、のけぞるミノタウロスロワー。


 観客のひとりが「す……すげぇ……!」と息を飲んでいた。



「アンノウンが……モンスターを一方的にボコってる……!? 俺らじゃ到底かなわないようなヤツを……!」



「ミノタウロスロワーもスゲェ反撃してるのに、全然食らってねぇ……! まるで赤子の手を捻るみたいにいなしてやがる……!」



「ね、ねぇ……アンノウンっていつも、マウントされる側だったよね……!?」



「うん……! いつもゴン君やレツ君に廊下で押し倒されて、ボコボボコにやられてるのをよく見た……!」



「俺はたまに、ドサクサまぎれに踏みつけたりしてた……!」



「ウチらなんて、『キモいサンドバック』なんて呼んでたのに……!」



「そんな弱っちいはずのヤツが、ゴン君よりずっと強いモンスターを、逆に押し倒してボコってるなんて……!」



「な……なに……? なんなの……? 夢でも見てるの……!?」



「け、『険しい道』でアンノウンがレイジングブルを倒したときは、ただの夢だって話になったよね……!? アレも、ただの夢なの……!?」



 ボクは観客の困惑に、心の中で応える。


 いいや……これは夢じゃないっ……!

 これが、ボクの力……! 14年間、ずっと眠っていた……ボクの本当の力なんだっ……!



「ブモォォォォォッ!? ブモーッ! ブモォォォーーーッ!!」



 あまりに当たらないので、半狂乱になってパンチを振り回しはじめるミノタウロスロワー。


 その身体が、大きく泳いだ。

 カウンターを取るまでもない長大なるスキを、もちろんボクが見逃すはずもない。



「これで……終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーっ!!」



 必殺の気合とともに、大きく腕を振りかぶる。


 ボクはどんな表情をしていたのかは、自分でもわからない……。

 でも、ボクが振りかぶった瞬間……あの凶暴なミノタウロスロワーが、ぶたれるのを嫌がる子供のように、腕で顔を覆い隠したんだ……!


 観客たちも「ひゃっ!?」と縮こまる。


 しかしボクは、ためらわない……!

 この塔のてっぺんに行くために……!

 未来を切り開くために……コイツをブッ倒すっ……!



「 (バク) ッッッ……!!」



 ……ドオンッ!!



 ショットガンを発射したような爆音とともに、両腕から無数のパンチが放たれる。


 右、左、右、左、右、左、右、左……!

 身体が脱穀機になったかのようにローリングし、絶え間ない打撃の雨を叩きつける。


 降り注ぐ拳大(こぶしだい)(ヒョウ)を、天災が過ぎるのを待つかのように……死に物狂いでガードするミノタウロスロワー。


 ドガッ! ガシッ! ガスッ! ドスッ! バスッ!


 いくら防がれても、ボクはパンチを止めない……!

 打つ……! 射つ……! 撃つっ……!!


 打撃音が五十を越えようとしたころ、


 バシッ! ミシッ! ビシッ! メキッ! ガシュッ!


 ベニヤ板が砕けるような音が混ざりはじめる。

 揺らぐ鉄壁の腕がめがけ、ボクは杭打機になったように拳を打ち据え続けた。


 あと、ひと息……! お前のガードを、ブチ壊してやるっ……!

 破る……! (やぶ)る……! やぶるっっ……!!


 ……バキィィィンッ……!


 丸太のような腕は、甲高い悲鳴をあげてついにへし折れた。

 おかしな方向に曲がる腕、弾け飛ぶガード……しかしヤツには痛みを感じるヒマも、驚くヒマも与えられなかった。



「 (レツ) ッッッ……!!」



 ボクのパンチは止まらない。

 無数のストレートが、本丸である牛顔にめりこんでいく。


 ゴシャッ! グシャッ! ドシャッ! ミシャッ!


 拳に伝わってくる、卵にヒビが入っていくような感触。

 ミノタウロスロワーはもはや悲鳴もあげられず、顔が水風船のように変形していた。


 のけぞるたびに口から唾液が、噴水のように噴出。

 たまに黄色い牙が混ざって、カランコロンと床に転がる。


 やがて軋むような抵抗感もなくなり、餅をついているような感触だけになった。


 右に、左に、赤い餅がふれる。

 天井にぶらさがっているパンチングボールのように。


 すでに百を越えようとしている散弾は、ついに最後の一発を迎える……!

 極大のマグナム弾が、ガシャリと装填された……!



「 () ェェェェェェェェェェェェンッッッッッ……!!!」



 ……ドグワッ……シャアアアアアアアアーーーーーーーーッ!!!



 トドメのストレートが、ヤツの眉間を捉える。

 めり込むだけでは終わらず、そのまま後頭部をつきぬける。

 床に拳が達した瞬間、



 ……ドォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーンッ!!!



 錬金術の陥没陣を投げかけられたかのように、大きく埋没した。

 ミノタウロスロワーのスレッジハンマーを超える衝撃が、『力だめしの間』に拡散する。


 天と地がひっくり返ったかのように、再び転倒する観客たち。



「あっ……ありえねぇぇぇぇぇぇぇーーーっ!?!?」



「なっ……なんてやつだぁぁぁぁぁーーーっ!?!?」



「ゆっ……夢じゃ……なぁぁぁーーーいっ!?!?」



「ばっ……ばけもんだぁぁぁーーーーーっ!?!?」



 ボクは、星を割ったかのように床に拳を打ち付けたまま、激しく肩で息をしていた。


 断末魔もなく霧散したミノタウロスロワーの黒い霧にまかれ、あたりは見えない。


 あ……レベルアップしてる。

 たった1匹で、レベルアップするなんて……。

 やっぱり、かなり格上の相手だったようだ。


 ボクの息はまだ乱れていたけど、ゆっくりと立ち上がる。


 もうもうと舞い上がっていく黒煙が薄らぐと……金網の向こうにいる、大人たちとクラスメイトが見えた。


 誰もが、腰を抜かしている。


 いま、ボクはどんな表情をしているのか、どんな有様になっているのか、自分ではわからなかった。


 でもみんなは、地獄の門からやってきた悪魔に遭遇したかのように、



「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーっ!?!?」



 恐怖に顔を歪め、全身の毛を逆立てるように絶叫していた。

■□■□パラメーター□■□■(現在の階数:3階)

挿絵(By みてみん)


□■□■スキルツリー■□■□


今回は『xカウンター』と『爆裂拳』に1ポイントずつ割り振りました。

未使用ポイントが2あります。


括弧内の数値は、すでに割り振っているポイントです。


●潜在能力

 必殺技

  (1) LV1  … 波動弾

  (1) LV2  … 烈蹴斬

  (1) LV3  … 龍昇撃

 打撃必殺技

  (1) LV1  … xカウンター

  (1) LV2  … 爆裂拳

  (0) LV3  … 点穴


●超感覚

 モーメント

  (1) LV1  … 思考

  (0) LV2  … 記憶

  (0) LV3  … 直感

 パーフェクト

  (0) LV1  … 味覚

  (0) LV2  … 音感

  (0) LV3  … 声帯


●サイキック

 ニュートラル

  (4) LV1  … テレキネシス

  (1) LV2  … クロスレイ

  (1) LV3  … テレパシー

 選択:ライトサイド

  (0) LV1  … テレポート

  (0) LV2  … タイムストップ

  (0) LV3  … プリサイエンス

 選択:ダークサイド

  (0) LV1  … ダークチョーカー

  (0) LV2  … エナジードレイン

  (0) LV3  … マインドコントロール


●降臨術

 妖精降臨

  (1) LV1  … 戦闘妖精

  (1) LV2  … 補助妖精

  (1) LV3  … 生産妖精

 英霊降臨

  (1) LV1  … 戦闘英霊

  (0) LV2  … 補助英霊

  (0) LV3  … 生産英霊


●リバイバー

 カオツルテクト

  (0) LV1  … 蝸

  (0) LV2  … 蛞

  (0) LV3  … 蛭


●料理

 見習い

  (1) LV1  … 下ごしらえ

  (1) LV2  … 焼く・炒める

  (1) LV3  … 茹でる・煮る

 コック

  (1) LV1  … 盛り付け

  (1) LV2  … 揚げる・漬ける

  (0) LV3  … 燻す・焙煎


●錬金術

 風錬

  (1) LV1  … 抽出

  (0) LV2  … 風薬

  (0) LV3  … 旋風

 火錬

  (1) LV1  … 変形

  (0) LV2  … 火薬

  (0) LV3  … 噴火

 地錬

  (1) LV1  … 隆起

  (0) LV2  … 地薬

  (0) LV3  … 地震

 水錬

  (1) LV1  … 陥没

  (0) LV2  … 水薬

  (0) LV3  … 奔流


●彩魔法

 灰

  (0) LV1  … フリントストーン

  (0) LV2  … プラシーボ

  (0) LV3  … ウイッシュ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★新作小説
『駄犬』と呼ばれパーティも職場も追放されたオッサン、『金狼』となって勇者一族に牙を剥く!!
追放されたオッサンが、冒険者として、商売人として、勇者一族を見返す話です!


★クリックして、この小説を応援していただけると助かります!
小説家になろう 勝手にランキング
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=369162275&s script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ