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25 マニーの活躍、ウサギの抵抗

 ボクが参加すると知って、クラスメイトたちは全員『力だめしの間』への参加を決めたようだ。

 どうやら、ビリにならなくてすむと思ったんだろう。


 それから、組分けのためのくじ引きをやった。


 箱の中に手を突っ込んで、木の札を一枚引く。

 その札に書いてある番号が、参加する順番のようだ。


 ボクは『5組』、マニーは『1組』だった。

 ウサギはいちばん最後に引いたあと、両手で大事そうに抱えてトトトトと戻ってくる。



「ウサギは何組だっ……」「はうぁんっ」



 ボクが言い終わるより早く、ウサギは勢いよくすっ転んでしまった。


 その拍子に木の札をポーンと遠くに放ってしまい、カランコロンと転がって、隣の部屋まで行ってしまう。



「わーわー! まてまてー!」



 取ってこい遊びをする犬みたいに、札を追いかけていく戦闘妖精たち。

 ウサギは慌てて立ち上がり、妖精たちの後に続いて隣の部屋に消えていった。



「やれやれ、レディはいつ何時でも賑やかだな……俺は一番のようだから、行ってくる」



「あ……いってらっしゃい、がんばって!」



 ボクは手を振ってマニーを見送る。


 オジサンに促され、マニーが向っていった所にはスタートラインが引かれていた。

 校庭のグラウンドみたいにレーン分けされた線が続いているから、どうやら最初は走力を試されるみたいだ。


 その先には片側の壁がない部屋がいくつもあって、中が丸見えになっていた。

 おかげで、競技中の模様がよく見えるようになっている。


 それぞれの部屋にはスイッチ、黒板、モンスターのいる檻、宝箱がある。

 たぶん各部屋で、冒険者としての能力が試される試練があるんだろう。


 スタートラインに並ぶクラスメイトたちを、まわりの大人たちは品定めするようにジロジロ見ている。

挿絵(By みてみん)

「うん、他はたいしたことないが、あの金髪の坊やはいいステータスをしてるな」



「身体能力については、飛び抜けて高いものはないが、低いものもない。全パラメーターが高いレベルでまとまっているな」



「『魅力』が『22』だと……!? すごいな……!」



「ルックスがこれまた素晴らしい……! 我がギルドを女性にアピールするための、最高の広告塔になるぞ……!」



 マニーはこの『力だめしの間』のことを、冒険者ギルドの勧誘のためと言っていた。

 大人たちの話を聞くかぎり、どうやら本当みたいだ。


 司会進行である物見台のオジサンが、スパァーンとヒザを叩いて注目を集める。




「1組目の準備ができたようだなっ! 坊っちゃん、嬢ちゃん、まずは見ての通りのかけっこだが、その先のルールは立て看板を見てくんな! じゃあ、そろそろいくぞっ!」



 オジサンが「よぉーい、スタート!」と両膝を叩き、1組目が一斉に飛び出していく。


 抜け出したのは、やっぱりマニー。

 金髪をなびかせ、妖精の鱗粉みたいなキラキラした光を残しながら、トップを走るその姿は……まるで一枚の絵みたいに美しかった。



「キャーッ! マニー様ぁ!」



 観客の女の子たちの声援に、手を振り返すほどの余裕を見せるマニー。

 最初の部屋に飛び込むと、立て看板を一瞥、すぐに並んでいるレバースイッチに手をかけた。



「1番目の関門は、5つのレバーを順番に倒していくんだ! ぜんぶのレバーを倒した時点で次の部屋への扉が開かれる! 最初のレバーは軽いが、だんだん重くなっていくから、『筋力』や『強靭』さが試されるんだ!」



 オジサンの解説で、ボクはルールを理解する。


 マニーを含めた1組目のみんなは、最初のレバーと次のレバーくらいは軽く倒してたんだけど……3つめのレバーくらいからは重いみたいで、歯をくいしばりながらウンウンと押していた。



「かなり苦労してるな! ベテラン冒険者でも5つのレバーを倒すのは大変だから、3つ目で苦戦しているようじゃぁ全部倒すのは無理だろうなぁ! でも大丈夫、1分経過するたびにレバーは自動的に倒れる! その分タイムロスになっちまうが、待ってりゃ次の部屋に行けるってわけよ!」



 マニーは真っ赤な顔で3つ目のレバーを倒してたんだけど、4つ目はびくともさせられずにいた。


 他のクラスメイトも同じようで、ウーンウーンとうなされるような声でふんばっているんだけど……少しも動かせていない。


 やがて1分が経過すると、自動的に4つ目のレバーが倒れた。

 みんな、5つ目のレバーには一応挑戦していたけど、すぐにあきらめて自動的に倒れるのを待つ。


 ……ガチャンッ!


 5つ目のレバーが倒れた途端、次の部屋への扉が開かれた。

 それを合図とするかのように、選手たちは次の部屋へとなだれこんだ。



「2番目の関門は、計算問題! だんだん難しくなっていく5問の計算問題を順番に解いていき、全問正解で次の部屋への扉が開かれる!」



 オジサンの解説の間に、マニーはさっそく1問目を解き終えていた。

 正解か不正解かは部屋にいる冒険者ギルドの人が判定し、○か×の札をあげてくれる。


 『○』を受けたマニーは、すぐに2問目に取り掛かり、これまたすぐに正解。

 しかし次はだいぶ難しい問題のようで、3問目で長考に入ってしまった。


 それでもマニーはまだマシなほうで、他のクラスメイトたちは2問目で詰まったまま『×』を連発している。

 観客の女生徒から笑われ、まさしく赤っ恥をかきながら問題に取り組んでいた。


 ボクは途中で、女生徒たちの笑い声がさっきよりも大人しくなっていることに気づく。

 怪鳥みたいな甲高い笑い声をあげるギャルグループが、いつの間にかいなくなっていたんだ。


 そういえば……ウサギの姿もずっと見えないな……。


 観客の中を探してみても、それらしき姿はない。

 隣の部屋に行ったっきり、まだ戻ってきてないようだ。


 ボクはマニーの応援を中断し、ウサギを探してみることにする。

 ウサギが消えた隣の部屋まで近づいてみると、責めるような声が聞こえてきた。



「ねぇー、さっきから言ってんじゃん、この人形返してほしかったら、かわりにソイツをよこしなって」



「そのチャラチャラしたの、マジでウサギには似合ってねぇし」



「地味なアンタが着るより、派手なキャルルのほうがずっと似合うって。欲しがってんだからさ、キャルルにプレゼントしちゃいなよ」



 覗いてみると、ギャルグループに囲まれたウサギがいた。

 肩を乱暴に掴まれたり、突き飛ばされたりしている。


 どうやら、ボクの作ってあげたチェインメイルをよこせと脅されているようだ。


 戦闘妖精たちはギャルに握りしめられ、人質にされている。

 ギャルグループの肩くらいしか身長がないウサギは、高い位置にある妖精たちに向ってぴょんぴょんしているが、全然届いていない。



「あっ……ううっ……かえしぃ……あんんぅぅん……やぅぅ……」



 一応抗議はしているようだが、しどろもどろで全然言葉になっていない。



「ハァー? 何言ってんすかぁー? ぜんぜんわかんないんすけどぉー?」



 大げさに耳に手を当てて、からかうギャル。

 キャハハハハハハ! と笑われ、ウサギはとうとう泣き出してしまった。



「あう……あうぅぅぅっ……あぅぅぅぅぅぅぅん……うぃぃぃぃぃん……」



 唸るような嗚咽に、ギャルたちは「きんもぉー!」とさらに爆笑する。


 ふと、腹を抱えるギャルたちを押しのけ、ひときわ背の高い女の子が前に出てきた。



「ウサギ……アンタさぁ、アンノウンとつるむようになって、生意気になったよねぇー」



 あの子はたしか、キャルル……! ギャルグループのリーダーだ……!



「マジでありえないくらい、チョーシこいちゃってるよねぇ? ……ウチら敵にまわして、タダですむと思ってんのぉ?」



 震えているウサギの前髪を、ガッ! と掴むキャルル。



「ロクにしゃべれないせいで、ウチらのパシリにもなれなかったアンタが……ようやくウチらの役に立てるんだよ? その『チェインメイル』をくれたら、特別にウチらのグループに入れてあげるって言ってんのに……」



 ウサギは髪の毛を掴まれているのに、抵抗すらしない。

 かわりに震える手で鉛筆を持ち、スケッチブックに何か書きはじめた。



「キャルルが話してんのにシカトするなんて、コイツ、マジでムカつかねぇ!?」



 しかし取り巻きにスケッチブックを奪われて、放り捨てられてしまう。

 ボクの足元に滑ってくるスケッチブック。



『アンノウンくんが作ってくれたチェインメイル……わたしの宝物だから、あげられない……!』



 ボクは、スケッチブックを拾い上げると……ウサギの元へと向った。

■□■□パラメーター□■□■(現在の階数:3階)

挿絵(By みてみん)


□■□■スキルツリー■□■□


今回は割り振ったポイントはありません。

未使用ポイントが4あります。


括弧内の数値は、すでに割り振っているポイントです。


●降臨術

 妖精降臨

  (1) LV1  … 戦闘妖精

  (1) LV2  … 補助妖精

  (1) LV3  … 生産妖精

 英霊降臨

  (1) LV1  … 戦闘英霊

  (0) LV2  … 補助英霊

  (0) LV3  … 生産英霊


●リバイバー

 カオツルテクト

  (0) LV1  … 蝸

  (0) LV2  … 蛞

  (0) LV3  … 蛭


●料理

 見習い

  (1) LV1  … 下ごしらえ

  (1) LV2  … 焼く・炒める

  (1) LV3  … 茹でる・煮る

 コック

  (1) LV1  … 盛り付け

  (1) LV2  … 揚げる・漬ける

  (0) LV3  … 燻す・焙煎


●サイキック

 ニュートラル

  (1) LV1  … テレキネシス

  (1) LV2  … クロスレイ

  (1) LV3  … テレパシー

 選択:ライトサイド

  (0) LV1  … テレポート

  (0) LV2  … タイムストップ

  (0) LV3  … プリサイエンス

 選択:ダークサイド

  (0) LV1  … ダークチョーカー

  (0) LV2  … エナジードレイン

  (0) LV3  … マインドコントロール


●錬金術

 風錬

  (1) LV1  … 抽出

  (0) LV2  … 風薬

  (0) LV3  … 旋風

 火錬

  (1) LV1  … 変形

  (0) LV2  … 火薬

  (0) LV3  … 噴火

 地錬

  (1) LV1  … 隆起

  (0) LV2  … 地薬

  (0) LV3  … 地震

 水錬

  (1) LV1  … 陥没

  (0) LV2  … 水薬

  (0) LV3  … 奔流


●潜在能力

 必殺技

  (1) LV1  … 波動弾

  (1) LV2  … 烈蹴斬

  (1) LV3  … 龍昇撃

 選択:打撃必殺技

  (0) LV1  … xカウンター

  (0) LV2  … 爆裂拳

  (0) LV3  … 点穴

 選択:投げ必殺技

  (0) LV1  … 当て身投げ

  (0) LV2  … イズナ落とし

  (0) LV3  … 真空投げ


●彩魔法

 灰

  (0) LV1  … フリントストーン

  (0) LV2  … プラシーボ

  (0) LV3  … ウイッシュ

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