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20 謎のスキル、出現

 お風呂から出ると、ウサギはベットの上で座ったままうなだれていた。

 ボクらが出るまで待ってくれていたようだけど、力尽きて眠ってしまったようだ。


 ボクはウサギをお姫様抱っこする。

 軽い……こんな小さな身体で、彼女は今日一日がんばってたんだなぁ……。


 ベッドにちゃんと寝かせてあげたあと、我が子のようにひしっと抱きしめているスケッチブックを取る。


 見るつもりはなかったんだけど……ボクらしき男の子と、ウサギらしき女の子が、笑顔で動物たちに囲まれてる絵だった。


 ボクはスケッチブックを閉じ、ウサギの枕元に置く。

 風邪をひかないようにと、肩まで布団をかけてあげる。


 ウサギは途中で起きることもなく、すやすやと寝息をたてていた。

 今日は大変だったから、だいぶ疲れているんだろう。


 ボクも疲れた……今日は本当にいろいろあったから。

 まさか、ずっと想像していた異世界のスキルが現実に存在していて、ボクが使えるようになるだなんて……。


 ボクだけが使える理由は、いまだにわからない。

 それはまぁいいとして、『険しい道』に現れたアイツ……いったい何者なんだろう。


 あ……もしかしたらアイツなら、ボクがなぜ異世界のスキルを使えるようになったのか、知っているかもしれない。


 もし今度会うことがあったら、聞いてみたいけど……あんまり友好的じゃなさそうだったしなぁ……。


 異世界のスキルはどれも、こっちの世界のスキルとは比べものにならないくらい強力だ。

 『おまじない』なんかじゃない……ホンモノの技能(スキル)……!


 ボクはケンカなんてやったことがなかった。

 モンスターと戦うのも、もちろん初めてのこと。


 でも、スキルを得た途端……まるで戦いのエキスパートになったみたいに動きのキレが出てきた。

 『必殺技』では自分より戦闘能力の高い敵を圧倒し、プロの冒険者たちをも倒せたんだ。


 戦闘だけじゃない。料理なんてやったこともなかったのに、スキルを得たとたんプロの料理人みたいに作れるようになったんだ……!


 あ、そうだ。それで思い出した。

 晩ゴハンのときにミツバチを倒してレベルアップしてたんだ。


 ボクは空いているベッドに腰掛け、ステータスウインドウを開いてみる。


 やっぱり、ステータスポイントが30もある……。

 晩ゴハンのときはチラッと見ただけだから、見間違いかなと思ってたんだけど……。


 普通はレベルアップしても、1レベルにつき1ポイントしか増えないはずなのに……。

 ボクの場合、いつもはレベル1につき10ポイント、レベル7なったときには30ポイントも増えているんだ……。


 本当に、わけがわからない。

 わからないことだらけなので、ポイントまで気にしてもしょうがないと思い、使うことする。


 『筋力』『強靭』『器用』『精神』『知力』『信心』にそれぞれ5ポイントずつ振り、30ポイントを一気に使い切った。


 今日一日で、ボクはかなり成長した気がする。

 ためしに今朝のボクと、較べてみることにした。


 左が今朝のボクで、右が今のボクだ。

挿絵(By みてみん)

 うーん……すさまじい成長っぷり。

 ステータスウインドウを眺めていたボクは、我ながら背筋が寒くなる思いがした。


 いまは食事のBuff(バフ)効果が付いているものの、HPは150越え、戦闘能力に至っては240越えしてる……!


 たしか市場で会ったときの、ゴンの戦闘能力が80くらいだったから……今のボクはゴンの3倍強いということになる……!


 ケンカでは大人にも負けないゴンよりも強いだなんて……にわかには信じられないなぁ……。


 まぁ、それはいいとして……次はスキルのほうだ。

 スキルポイントは6ポイント増えている。


 こんなにあるなら、スキルでもパワーアップさせてみようかなぁ……と思い、スキルツリーのほうも見てみる。


 すると、新しいスキルが増えていた。


 『降臨術』……!

 『第30世界』のスキルだ……!


 『第30世界』では召喚するための術が発達していて、妖精を召喚していろいろ手伝ってもらうのが一般的なんだ。

 『降臨術』のエキスパートともなると、過去の偉人まで降臨させられるらしい。


 妖精には三種類あって、『戦闘妖精』『補助妖精』『生産妖精』がある。

 それぞれ得意なことが違うんだ。


 ひとまずボクは、それぞれに1ポイントずつ振ってみた。


 すると……さらなる上位スキルが現れる。


 『英霊降臨』……! これこそ、過去の偉人を降臨させられるスキル……!

 ボクは興奮して、一気にスキルを振っちゃいそうになったんだけど、寸前で思いとどまる。


 ひとまず『戦闘英霊』にだけ、1ポイントを振るにとどめておいた。

 残りの2ポイントも使っちゃおうかと誘惑にかられたけど、他にもいいスキルがあるかもしれないのでガマンする。


 他にもなにかないかなぁ……と思いつつ、スキルツリーを眺めていると、ふと見慣れぬ項目が現れた。


 スキル名は、『リバイバー』……。

 ツリー名は、『カオツルテクト』……。


 『カオツルテクト』のツリーには、『蝸』『蛞』『蛭』という三つのスキルがある。


 なんだろう……コレ……?


 いままでのスキルはどれも、ボクの妄想の産物だったけど……これは知らない……!

 見たことも聞いたことも、想像したことすらない、初めてのスキルだ……!


 それに『リバイバー』って、ボクの職業じゃないか……!



 ……ドバアンッ!



 いきなり浴室の扉が勢いよく開いて、ボクは飛び上がりそうになった。


 間髪入れずにガウンに身を包んだマニーが飛び出してきて、そのまま空いているベッドにぼふっ、と飛び込んだ。

 何事かと思う間もなく、布団をすっぽりと被って寝てしまった。


 び、びっくりしたぁ……いったい、どうしちゃったんだろう?


 緊張が高まっているところを脅かされて、ボクはなんだか気が抜けてくる。

 ホッとしてしまったせいか、急激な眠気が襲ってきた。



「ふわ~ぁあ……こっちの世界は、本当にわからないことだらけ……考えるのは、明日にしよっと」



 独り言とともに大きく伸びをしたあと、ベッドに横になる。


 いちど気を抜くと、そこからはすぐだった。

 ボクは落とし穴に落ちるように、ストンと眠ってしまった。



  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



「きゃあああああああああああああーーーーーーーーーっ!!!」



 絹を裂くような悲鳴に、ボクは飛び起きる。


 部屋は窓から差し込む朝日に満たされていて、もう朝だというのに気づいた。


 悲鳴の主はウサギかなと思ったんだけど、ウサギはこんなハッキリとした声じゃない。

 現に隣のベッドにいるウサギは、ボクと同じように叩き起こされたようで……ボンヤリとしている。


 部屋を見回すと、すみっこのほうでマニーが縮こまっていた。



「ど……どうしたの、マニー?」



「まっ……窓の……! 窓の外に……! 人影が……!」



 雷を怖がる子供のように震えながら、窓を指さすマニー。



「窓の外に? ここは四階だよ?」



 窓の方に視線を移すと、起き出したウサギが窓際で外の様子を伺っていた。



「ウサギ……なにかいる?」



 頷きながら振り向くウサギ。

 その胸には、猫のイラストが描かれたスケッチブックがある。



「猫だって、マニー」



 すると、マニーはピクンと肩を震わせたあと、髪をかきあげながら立ち上がった。



「……そうか、猫ならいいんだ。やれやれ、カリスマがあり過ぎるのも考えものだな」



 さっきまでの怖がりようが、ウソのようなキザっぷりだ。



「そんなにビックリするなんて……マニーって案外怖がりなんだね」



「びっ、ビックリなどしていないだろう。それに怖がってなどいない。ちょっと身の安全を確保していただけだ」



「身の安全を確保だなんて……窓になにが来たと思ってたの?」



『もしかして』



 そう書かれたウサギのスケッチブックの下には、オバケの絵が描かれていた。


 ウサギにしては珍しい、わりとリアルなタッチのオバケだなぁ……なんて呑気に思っていると、



「いぃやぁぁぁぁぁぁんっ!」



 マニーは情けない悲鳴とともに、もんどりうって倒れてしまった。

 まるでホンモノのオバケを見てしまったかのように、床で丸まっている。


 ……マニーって、オバケが苦手だったんだ……。

 ただの絵で、こんなに怖がるなんて……。


 それに……もはや全然、女の子であることを隠しきれてないよ……。


 今日という一日は始まったばかりだというのに、ボクはもう先が思いやられるような気がしていた。

■□■□パラメーター□■□■(現在の階数:3階)

挿絵(By みてみん)


□■□■スキルツリー■□■□


今回は『戦闘妖精』と『補助妖精』と『生産妖精』と『戦闘英霊』に1ポイントずつ割り振りました。

未使用ポイントが2あります。


括弧内の数値は、すでに割り振っているポイントです。


●降臨術

 妖精降臨

  (1) LV1  … 戦闘妖精

  (1) LV2  … 補助妖精

  (1) LV3  … 生産妖精

 英霊降臨

  (1) LV1  … 戦闘英霊

  (0) LV2  … 補助英霊

  (0) LV3  … 生産英霊


●リバイバー

 カオツルテクト

  (0) LV1  … 蝸

  (0) LV2  … 蛞

  (0) LV3  … 蛭


●料理

 見習い

  (1) LV1  … 下ごしらえ

  (1) LV2  … 焼く・炒める

  (1) LV3  … 茹でる・煮る

 コック

  (1) LV1  … 盛り付け

  (1) LV2  … 揚げる・漬ける

  (0) LV3  … 燻す・焙煎


●サイキック

 ニュートラル

  (1) LV1  … テレキネシス

  (1) LV2  … クロスレイ

  (1) LV3  … テレパシー

 選択:ライトサイド

  (0) LV1  … テレポート

  (0) LV2  … タイムストップ

  (0) LV3  … プリサイエンス

 選択:ダークサイド

  (0) LV1  … ダークチョーカー

  (0) LV2  … エナジードレイン

  (0) LV3  … マインドコントロール


●錬金術

 風錬

  (1) LV1  … 抽出

  (0) LV2  … 風薬

  (0) LV3  … 旋風

 火錬

  (1) LV1  … 変形

  (0) LV2  … 火薬

  (0) LV3  … 噴火

 地錬

  (1) LV1  … 隆起

  (0) LV2  … 地薬

  (0) LV3  … 地震

 水錬

  (1) LV1  … 陥没

  (0) LV2  … 水薬

  (0) LV3  … 奔流


●潜在能力

 必殺技

  (1) LV1  … 波動弾

  (1) LV2  … 烈蹴斬

  (1) LV3  … 龍昇撃

 選択:打撃必殺技

  (0) LV1  … xカウンター

  (0) LV2  … 爆裂拳

  (0) LV3  … 点穴

 選択:投げ必殺技

  (0) LV1  … 当て身投げ

  (0) LV2  … イズナ落とし

  (0) LV3  … 真空投げ


●彩魔法

 灰

  (0) LV1  … フリントストーン

  (0) LV2  … プラシーボ

  (0) LV3  … ウイッシュ

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