表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/152

17 デザートで心、開きます!

 ウサギとマニーの元に戻ると、フライパンに入れていた食材はだいぶいいカンジに火が通っていた。


 よし……あと少しでできそうだ。


 ボクは調理を再開。ソースと飲み物作りをはじめる。


 まずレイジングチキンの卵をお椀に割り入れ、溶き卵を作った。


 それを二等分して、片方には油と酢と、地面から抽出した塩を加え、よくかき混ぜる。

 これで、ソース完成っ……!


 【マヨネーズ】


 もう片方には牛乳とハチミツを加え、これまたよくかき混ぜる。

 よしっ、飲み物も完成っ……!


 【ミルクセーキ】


 フライパンに入れていた牛肉とジャガイモも、ちょうどできあがった。


 【ハンバーグ】

 【フライドポテト】


 よぉーし、一気に仕上げだっ……!


 ボクは丸パンを真横に切って二等分して、それぞれにマヨネーズを塗った。

 そしてできたてのハンバーグを挟めば、メインディッシュができあがる。


 【ビーフ100%ハンバーガー】


 それにフライドポテトとミルクセーキを付ければ、セットメニューの完成っ……!



 【ビーフ100%ハンバーガーセット】

  ビーフ100%ハンバーガー、フライドポテト、ミルクセーキの3点セット。


  HP、疲労回復100%


  ★Buff(継続時間4時間)

    筋力、強靭+20

    戦闘スキル効果+20%



「よしっ……できたぁ!」



 ボクは木のトレイに乗せたハンバーガーセットを、ウサギ、マニー、そしてボクの前に置いた。


 見るからにボリューム満点、ビーフパティのハンバーガー。

 湯気をたてる、ほくほくのフライドポテト。

 冷たくておいしそうなミルクセーキ。



「さっそく食べよう! いただきまーすっ!」



 ボクがハンバーガーを手に取ると、おあずけを解かれた犬みたいにウサギも続く。

 ふたりしてあーんと大口をあけ、ハンバーガーにかぶりつくと、


 じゅわあぁ……!


 これでもかと肉汁があふれだし、溺れるほどに口の中を満たした。

 その旨味たっぷりのエキスがマヨネーズと混ざり合い、さらにパンにも染み込んでいく。



「おっ……おいひぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーっ!!」



 ボクは人目もはばからず絶叫した。


 ウサギに至っては、おいしさのあまりゴロゴロと地面を転がりだす始末。


 ボクはひと口食べては叫び、ウサギはひと口食べては転がる。

 ふたりして夢中になってハンバーガーを頬張っていると、ふと視線に気づいた。


 マニーがどん引きした様子で、ボクらを見ていたんだ。



「あれ? 食べないの? マニー」



 ボクが尋ねると、マニーはお化けを前にしているみたいに、かなりためらった様子で口を開く。



「いや……キミたちが昼に鶏肉を食べていたときも思ったんだが……よく毒抜きをしていない肉を平気で食べられるな……死ぬんだぞ?」



「もぅ、それは迷信だよ、死んだりしないって! ボクもウサギも鶏肉を食べたけど、今もピンピンしてるでしょ!?」



「まぁ、それは……そうなんだが……」



「じゃあ、ハンバーガーは無理に食べなくてもいいから、フライドポテトだけでも食べなよ。ねっ?」



「あ、ああ……そうだな……」



 フライドポテトは調理法が変わってるだけで、毒入りと言われている材料は一切使っていない。

 でも……マニーは坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、みたいな反応。


 毒入り食材に汚染されてるんじゃないかと、まるで汚いものでも扱うように指の先でフライドポテトをつまみあげる。


 ボクとウサギがじーっと見つめているのに気づき、



「ええいっ、ままよっ……!」



 ぱくり、と口の中に放りこんだ。

 そして、ごっくん……と喉を鳴らす。


 嚙まずに飲み込んだみたいで、それじゃ味がわからないんじゃ……とボクは思ったけど、



「おっ……おいしぃぃぃーーーっ!?」



 マニーは両手でほっぺたを押しつぶすようにして叫んだ。


 その声は、いつものキザなマニーのものではなく、完全に女の子の声。

 どうやらそれは出してはいけない声だったようで、マニーはハッ! と口を塞いだ。


 取り繕うようにコホン、と咳払いをひとつすると、



「……揚げたジャガイモというのは初めて食べたが、なかなかじゃないか。まぁ、俺がふだん食べている高級料理には、足元にも及ばないが……」



「おいしいでしょ? じゃあ、ハンバーガーも食べてみなよ、毒抜きしたクズ肉なんかより、ずっとずっとおいしいと思うよ」



「さすがにそれはないだろう。我が家お抱えの一流のシェフが作った、贅を尽くした肉料理と、キミが野外で作った粗野な料理とでは、比べるまでもない。でも、まぁ、せっかくだから……いぃんやぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーんっ!?!?」



 マニーはハンバーガーをひと口食べた瞬間、絶頂に達したように背筋をのけぞらせる。

 もう完全に女の子のソレとしか思えない、色っぽい悲鳴をあげた。


 それからボクたちは、脇目もふらずにハンバーガーセットを完食。

 食べ終わったころには口のまわりがマヨネーズでベタベタで、みんなで指をさして笑いあった。



  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



「……夕食も終わったというのに、今度は何を作ろうとしているんだ?」



 もうボクの料理にすっかり抵抗のなくなったマニーは、ウサギと同じでキラキラした瞳で尋ねてくる。

 ふたりしてウキウキしている姿は、本当に仲良し姉妹みたいだ。



「へへ……デザートだよ!」



「ほう……食後にデザートまであるとは……気がきいてるじゃないか……!」



 ウサギが示すスケッチブックには、『なにかな、なにかな!?』とこぞってボクの料理を待つ森の動物たちが描かれていた。


 ボクはふたりの女の子と、多くの森の動物たちに見守られながら、調理を開始する。


 まず、下ごしらえとしてお椀に牛乳を移した。


 そして錬金術の抽出陣を描く。

 陣がお椀に吸い込まれていくと、ぷかっ、と白いカタマリが浮かんできた。



「なんだ、それは?」『なんだか白くてフワフワしてる』



 揃って小首をかしげるマニーとウサギ。動きが完全にシンクロしている。



「牛乳から生クリームを抽出したんだ」



 他の異世界では生クリームを作るのに、遠心分離機とかを使ったりするんだけど……抽出陣があれば、こんなに簡単に取り出すことができるんだ。



「……なまくりーむ?」『なまくりーむ?』



「へへ……どんなものかは、食べてみてのおたのしみだよ」



 ボクはもったいつけながら、油をひいた鉄のフライパンを火にかけた。

 温まるまでのあいだ、小麦粉に牛乳と卵を加え、かきまぜて生地を作る。


 フライパンから煙があがったところで、生地を流し込む。

 じゅう……と音をたてる生地を、ヘラですばやく薄く伸ばす。


 紙のように薄くなったところで取り出し、生クリームとハチミツを乗せ、包みこむようにくるくると巻いた。



「よしっ……完成っ!」



 【生クリームとハチミツのクレープ】

  MP回復100%


  ★Buff(継続時間4時間)

    リラックス効果レベル5

    精神+20

    知力、信心+10

    補助スキル効果+20%



「うにゃぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁ~~~んっ!!」



 クレープをひと口食べた瞬間、サカリのついた猫みたいな声をあげるマニー。

 とうとうウサギといっしょになって、地面をゴロゴロと転がりだした。


 マニーはもう正体を隠すのも忘れているのか、女の子のようにキャーキャーと大騒ぎしている。

 しかし、ウサギがいつになく怯えているのに気づき、悪夢から覚めたように青ざめていた。



「……ううっ……! う……うむっ……こっ、このクレープとかいうものは、初めて口にしたが……庶民的な素朴さがあって、なかなかいいじゃないか」



「もう、いいんじゃない?」



 ボクは、マニーの言葉を途中で遮った。



「な……なんだ? なにがいいというのだ?」



「ボクは……そんな自分を偽ったマニーじゃなくて、本当の……ありのままのマニーのほうがいいと思うな」



 するとマニーは一瞬だけ心外そうな顔をしたが、すぐに大きな溜息をついて、観念したように肩をすくめた。



「……アンノウン……学校にいた時のキミは、虚言癖のある目立ちたがり屋にしか見えなかった。だが、『太陽の塔』に入ってからのキミは、別人のようになった。まるで今までの虚言が全部本当であるというのを、裏付けるかのように……。俺はキミに興味が沸いて、近づいてみたんだが……まさか見破られてしまうとはね」



 マニーの気持ちを反映するかのように、暗くなっていく『憩いの広場』。

 すでに広場内には人の姿はなく、ボクらだけになっていた。


 マニーはまわりに誰もいないことを、すでに知っていたのか……ついに打ち明けたんだ。



「お察しのとおり……そう、俺は自分を偽っている……! いまの俺は、貴族の息子なんかじゃない……! キミらと同じ、タダの庶民だ……!」



 ……ずしゃあっ!


 ボクは、盛大な音とともにずっこけてしまった。

■□■□パラメーター□■□■(現在の階数:3階)

挿絵(By みてみん)


□■□■スキルツリー■□■□


今回は割り振ったポイントはありません。

未使用ポイントが6あります。


括弧内の数値は、すでに割り振っているポイントです。


●料理

 見習い

  (1) LV1  … 下ごしらえ

  (1) LV2  … 焼く・炒める

  (1) LV3  … 茹でる・煮る

 コック

  (1) LV1  … 盛り付け

  (1) LV2  … 揚げる・漬ける

  (0) LV3  … 燻す・焙煎


●サイキック

 ニュートラル

  (1) LV1  … テレキネシス

  (1) LV2  … クロスレイ

  (1) LV3  … テレパシー

 選択:ライトサイド

  (0) LV1  … テレポート

  (0) LV2  … タイムストップ

  (0) LV3  … プリサイエンス

 選択:ダークサイド

  (0) LV1  … ダークチョーカー

  (0) LV2  … エナジードレイン

  (0) LV3  … マインドコントロール


●錬金術

 風錬

  (1) LV1  … 抽出

  (0) LV2  … 風薬

  (0) LV3  … 旋風

 火錬

  (1) LV1  … 変形

  (0) LV2  … 火薬

  (0) LV3  … 噴火

 地錬

  (1) LV1  … 隆起

  (0) LV2  … 地薬

  (0) LV3  … 地震

 水錬

  (1) LV1  … 陥没

  (0) LV2  … 水薬

  (0) LV3  … 奔流


●潜在能力

 必殺技

  (1) LV1  … 波動弾

  (1) LV2  … 烈蹴斬

  (1) LV3  … 龍昇撃

 選択:打撃必殺技

  (0) LV1  … xカウンター

  (0) LV2  … 爆裂拳

  (0) LV3  … 点穴

 選択:投げ必殺技

  (0) LV1  … 当て身投げ

  (0) LV2  … イズナ落とし

  (0) LV3  … 真空投げ


●彩魔法

 灰

  (0) LV1  … フリントストーン

  (0) LV2  … プラシーボ

  (0) LV3  … ウイッシュ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★新作小説
『駄犬』と呼ばれパーティも職場も追放されたオッサン、『金狼』となって勇者一族に牙を剥く!!
追放されたオッサンが、冒険者として、商売人として、勇者一族を見返す話です!


★クリックして、この小説を応援していただけると助かります!
小説家になろう 勝手にランキング
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=369162275&s script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ