表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/152

14 新たなる仲間はお金持ち!?

 ボクの前に突如現れた、昆虫の死神みたいなヤツ。


 ソイツは密閉された部屋に、煙のように現れ……音もなくゴロツキを殺した。

 そして、ステータスウインドウを使って、ボクに語りかけてきたんだ。


 『お前がリバイバーか』、と……!


 コイツは、ボクの職業を知っている……!?


 いや、ボクの職業はステータスウインドウに書いてあるから、見ればわかる。

 でも、ボクのステータスは『シリンダー』で暗号化されているから、解読しなきゃならない。


 ということは……コイツは『シリンダー』が読めるということになる……!


 なぜだ……!?

 『シリンダー』はボクが妄想で考えだした、架空の言語のはずなのに……!


 ううっ……!

 コイツは格好といい、言動といい……わからないことだらけだ……!


 いや、むしろ……何ひとつわからないといっていい……!

 いったい……何者なんだ……!?


 ヤツの殺気と相まって、考えれば考えるほどボクの頭の中はぐちゃぐちゃになっていく。


 どうしていいかわらからず、ただただ混乱していると……ヤツのステータスウインドウは、灰色の壁に同化するように消えた。


 そして……まるで最初から存在しなかったかのように、ヤツの姿もなくなっていたんだ。


 あ……あれっ? どこへ消えた……!?


 ボクはあたりを見回す。


 そして、途中で気づいた。

 もしかしたらゴロツキにしたように、背後に回り込んだのかもしれない……!


 ハッとなって振り向いてみたけど、後ろにもいなかった。


 ヤツは、消えることができるのか……!?

 それならば、いきなり現れたことも納得できるけど……でも、どうやって……!?


 ヤツがいなくなっても、ボクは落ち着くどころかますます緊張した。

 だってヤツはいなくなったように見せかけて、実は今もすぐそばにいて……ボクの命を狙っているかもしれないんだ。


 ……ゴゴゴゴゴ……。



「うわあっ!?」



 いきなり音がしたので、ボクは心臓が口から飛び出すくらい驚いてしまう。

 見ると、閉じていた石扉が開いているところだった。


 あ……開いた……!? よしっ、逃げよう……!


 ボクは、何よりも真っ先にそう思う。

 何もかもほっぽり出して、この部屋から出たい気持ちでいっぱいだった。


 しかし駆け出そうとしたところで、はたと気づく。


 あっ、そうだ、ウサギを助けなきゃ……!


 ボクは方向転換して、倒れているウサギの方に向かう。


 ヤツは消えたけど、首なし死体は残っていて……やっぱり夢じゃなかったんだと再認識する。



「うにゅぅ……ん……」



 死体の隣に倒れているウサギは、まだ気を失っているようだ。

 ボクは彼女のワキに頭を突っ込んで、肩を貸すようにして助け起こした。


 首なし死体はさすがにショックが大きいと思うので、気絶しているうちに外に連れ出そう。



「うぅ……」「うぅ~ん……」「う……ああ……」



 ゴロツキBCDもまだノビている。

 こっちも、もうしばらくは寝ててくれよ……と祈りながら、ボクはウサギとともに部屋をあとにした。


 部屋の外は、一本道の通路だった。

 ウサギを担いだまま、逃げるように進んでいくと……大きな部屋に出る


 どうやらこの部屋が、『楽な道』と『険しい道』の終点のようだ。

 すでに『楽な道』を抜けたクラスメイトたちは先に進んだようで、誰もいない。


 いや……よく見たらひとりだけ残っている。

 壁に寄りかかってキザなポーズを決めていたのは……マニーだった。

挿絵(By みてみん)

 マニー。貴族の息子で、クラスメイトの中ではいちばんの金持ち。


 流れるような金髪のロングヘアに、海のように大きく青い瞳、鼻筋の通った整った顔立ちをしている。

 身体つきはスマートで脚も長く、そのうえ成績優秀でスポーツ万能。


 天は何物与えるんだっていうくらいの恵まれたヤツ。

 短所らしいところはなにひとつなくて、強いていえば女の子みたいな顔つきで華奢という点があるんだけど……それがまたいいっていう女子も多く、人気が高いんだ。


 『金持ちグループ』のリーダーで、いつもお坊ちゃんお嬢ちゃん仲間を引き連れてるんだけど……今はひとりのようだ。


 でもまあボクには関係ないか、と思い、ウサギを床に寝かせる。

 まだ気絶しているウサギの頬を、ぺしぺし叩いていると、



「おいアンノウン、何をやっているんだ?」



 いつのまにか側にいたマニーに、声をかけられた。



「『険しい道』での戦いで、ウサギが気絶しちゃって……起こそうとしてるんだ」



「だからって、レディの頬を叩くことはないだろう。ちょっと代わるんだ」



 ボクを押しのけるようにしてしゃがみこんだマニーは、ウサギの肩を抱いて起こすと、



 ぷちゅ……。



 なんのためらいもなく、ウサギの頬に唇を寄せたんだ……!



「ええっ!?」



 いきなりのことに、ボクの全身にズキュゥンと衝撃が走る。

 ドッキリしすぎて、思わず腰を抜かしそうになってしまう。



「ふぁ……?」



 ウサギは夢うつつといった様子で、意識を取り戻した。



「気がついたようだね。お姫様を目覚めさせるには、やはりキスがいちばんのようだ」



 やさしく微笑みかけるマニー。

 男のボクでも倒錯してしまいそうなほどの、甘い甘いスマイルだった。


 普通の女の子だったらうっとりしてしまうようなシチュエーションだったけど、ウサギは普通ではなかったようで、ひっくり返った亀のようにじたばたともがいたかと思うと、



「ひぃやぁあぁあぁ~」




 悲鳴とともにボクの所に這い寄ってきた。



「ひっ……ひぃっ……はひぃ……」



 まるで雷を怖がって家の柱に隠れる子供みたいに、ボクの脚にひしっとしがみついて震えるウサギ。

 マニーはその様子を見て、ふっと笑いながら長い髪をかきあげた。



「どうやらレディはボクを見て、天国にいると思ったらしい。大丈夫、キミはまだ生きているよ」



  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 マニーは『楽な道』を抜けた後、クラスメイトたちから別れてボクらを待っていたらしい。


 「アンノウン、キミは俺を助けてくれたから、特別に俺の学友にしてあげるよ」なんて言ってたけど……ようは一緒に行きたいんだろうな、とボクは思った。


 もしかしたら、『険しい道』の途中でボクの身を案じるようなことを叫んだから……クラスメイトたちからハブられちゃったのかもしれない。


 なんにしてもボクはマニーという新たなる仲間を加え、先に進むことにしたんだけど……さっそく物言いを受ける。



「ちょっと待て、アンノウン。キミはレディに荷物を持たせているのか?」



 マニーは、ウサギの膨らんだリュックを一瞥したあと、ボクを叱りつけてきた。

 切れ長の目で睨まれると、なんだかヒヤッとする。



「あ……持たせてるっていうか、ボクはリュックを持ってないから……ウサギのリュックに入れてもらってるんだ」



「レディ自身の荷物だけならともかく、キミの荷物を入れてもらっているのであれば、荷物を持ってあげるのが礼儀というものだろう」



「ううっ……!」



 ボクは言い返せなかった。

 リュックの中にはこれまでのドロップアイテムの他に、ボクが錬金術で出した鉄の調理器具なども入っているんだ。


 荷物の量としては、ボクの物のほうが多いかもしれない……それに今のステータスだとボクのほうが力持ちだから、持ってあげるべきだったんだ……!


 ウサギは激しく遠慮していたけど、ボクは彼女の肩からリュックを外して背負った。

 ずっしり重い……ウサギはこんな重い物を、文句ひとつ言わず持っていてくれたのか……。


 ボクは反省すると同時に、ちょっと落ち込んでしまった。


 がっくりうなだれていたんだけど……ふとその拍子に、床にある切れ込みに気づく。



「あれ、なんだこれ……?」



 よく見ると、床には四角い形の切れ込みが入っていて、外せるようになっていた。


 しゃがみこんで床石を外してみようとしたんだけど、取っ手が見あたらない。

 隙間はほんの少ししかなくて、爪を引っ掛けることもできなかった。


 隣で見下ろしていたマニーは、あきらめたように肩をすくめる。



「これは……隠し扉かもしれん。だが、なにか差し込む道具がないと開けられそうもないな。あきらめて、先に進もう」



「いや、待って……! ボクなら開けられるから……!」



「ハァ、いったいどうやって? この扉を浮かせてみせるとでも……はうっ!?」



 『テレキネシス』で浮かせた床石を前に、溜息を飲み込むマニー。


 ボクが、かざしている手を横に動かすと……ふわふわ浮いていた床石が横にずれる。

 床石は薄かったので、1ポイントの『テレキネシス』でもなんとか動かすことができたんだ。



「なっ……なんだ……そのスキルは……!? あっ!? その構えは、1階のレバーを倒した時と、同じ……! アンノウン……まさかキミは、本当に手を使わずに物が動かせるのかっ……!?」



 ボクは頷きながら、床石どけた。


 四角く開いた床下を覗き込んでみると、そこには……赤い宝箱が置いてあったんだ……!

□■□■スキルツリー■□■□


今回は割り振ったポイントはありません。

未使用ポイントが2あります。


括弧内の数値は、すでに割り振っているポイントです。


●サイキック

 ニュートラル

  (1) LV1  … テレキネシス

  (1) LV2  … クロスレイ

  (1) LV3  … テレパシー

 選択:ライトサイド

  (0) LV1  … テレポート

  (0) LV2  … タイムストップ

  (0) LV3  … プリサイエンス

 選択:ダークサイド

  (0) LV1  … ダークチョーカー

  (0) LV2  … エナジードレイン

  (0) LV3  … マインドコントロール


●錬金術

 風錬

  (1) LV1  … 抽出

  (0) LV2  … 風薬

  (0) LV3  … 旋風

 火錬

  (1) LV1  … 変形

  (0) LV2  … 火薬

  (0) LV3  … 噴火

 地錬

  (1) LV1  … 隆起

  (0) LV2  … 地薬

  (0) LV3  … 地震

 水錬

  (1) LV1  … 陥没

  (0) LV2  … 水薬

  (0) LV3  … 奔流


●潜在能力

 必殺技

  (1) LV1  … 波動弾

  (1) LV2  … 烈蹴斬

  (1) LV3  … 龍昇撃

 選択:打撃必殺技

  (0) LV1  … xカウンター

  (0) LV2  … 爆裂拳

  (0) LV3  … 点穴

 選択:投げ必殺技

  (0) LV1  … 当て身投げ

  (0) LV2  … イズナ落とし

  (0) LV3  … 真空投げ


●料理

 見習い

  (1) LV1  … 下ごしらえ

  (1) LV2  … 焼く・炒める

  (1) LV3  … 茹でる・煮る

 コック

  (0) LV1  … 盛り付け

  (0) LV2  … 揚げる・漬ける

  (0) LV3  … 燻す・焙煎


●彩魔法

 灰

  (0) LV1  … フリントストーン

  (0) LV2  … プラシーボ

  (0) LV3  … ウイッシュ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★新作小説
『駄犬』と呼ばれパーティも職場も追放されたオッサン、『金狼』となって勇者一族に牙を剥く!!
追放されたオッサンが、冒険者として、商売人として、勇者一族を見返す話です!


★クリックして、この小説を応援していただけると助かります!
小説家になろう 勝手にランキング
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=369162275&s script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ