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135 刃こぼれした短剣

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 第3競技、『投石合戦』はやりなおしを経て、以下の順位で決着する。



 1位 アンノウン

 2位 雷猿

 3位 盗賊ギルド

 4位 エクスプローラーズ



 やっぱりもう一度とか、やっぱりルール違反があった、なんて物言いもつかなかった。

 でも厳密に言うと、この順位は間違ってるんだ。


 ボクは、街全体を使った最初の投石合戦も、やりなおしの接近戦での投石合戦も、雷猿を真っ先にやっつけるようにした。


 なぜならば、この投石合戦は長く生き残ったほうが順位が上になるからだ。

 だから、ほんのわずかな差ではあるんだけど……本来ならば真っ先にやられた雷猿は4位じゃなくちゃいけないんだ。


 でも、それを審判に訴えても相手にされないだろうと思い、順位決定を受け入れることにした。

 ボクのチームが1位であるということが変わらなければ、あとは些細な問題なんだから。


 相手チーム全員の頭に石をぶつけて気絶させたのが、やっぱり効いたみたい。

 観客たちも、白目を剥いたままタンカで運ばれる雷猿を見て、今回ばかりは完全なる敗北を悟ったようだ。



「ら、雷猿が……俺たちの雷猿が……」



「い、石をぶつけられて、失神しちまうだなんて……」



「ノビてる……完全にノビてやがる……」



「あんなガキにやられて、あんな情けねぇ姿になっちまうだなんて……」



「う、ウソだろ……しかもあのガキ、全滅させちまったぞ……」



「や、やっぱり……あのガキ、只者じゃねぇのか……?」



 客席はお通夜みたいなムードだ。


 でも、ボクの仲間たちは違った。

 マニーはボクの頭をポンポン叩いて「よくやった、アンノウン! 胸がスッとしたぞ!」とほめてくれた。

 サルも目を剥いて「どうやったらあんな超人技ができるんッスか!?」と大興奮。


 ボクらは久しぶりに、凱旋のような気分で控室へと戻った。



 ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 総合順位の確認と、次の競技に向けての『女神の選択』のため、ボクらはステージにあがっていた。

 そういえば、実況のお姉さんって強制退場させられてたけど……どうなったのかな、と思っていたら、別の実況お姉さんに変わっていた。


 しっとりしたカンジの、クールなお姉さんに。



『……現在までの総合順位は、このようになっております。皆様、オッズボードをご覧ください』



 それほど張っている様子はないのに、よく通る声。

 しかもなんだか、鼓膜をやさしくくすぐられているような……心地のよい声だった。


 ボクはお姉さんに促されるまま振り返って、背後にあるボードを見上げる。



 1位 100ポイント 雷猿

 2位 60ポイント アンノウン

 3位 40ポイント エクスプローラーズ

 4位 40ポイント 盗賊ギルド



『前の競技で1位となったアンノウンチームが、30ポイントを獲得して2位に浮上。雷猿チームを40ポイント差で追いかけています。しかし競技はまだまだ続きますので、どうなるかはわかりません。それでは運命を左右する、「女神の選択」へとまいりましょう』



 例の女神様がステージ上にしゃなり出る。

 ボクはなんとなく、新実況お姉さんのほうが女神様っぽいな……なんて思ってしまった。


 全チームが一斉に掲げる、ニセ女神様からの手紙……それにはこう書かれていた。



 塔賊ギルド:『普通の短剣 + 女神の長剣』


 エクスプローラーズ:『普通の短剣 + 女神の長剣』


 雷猿:『普通の短剣 + 女神の長剣 + 女神の長槍』



 ……『普通の短剣』ってのはだいたい想像つくけど……『女神の長剣』ってなんだろう? どちらも全チームに書いてある。

 雷猿はそれに加えて、『女神の長槍』まである。


 そして、ボクのチームはというと……。



 『孤独 + 刃こぼれした短剣』



 『孤独』……前回も引いた、次の競技をリーダーのみで参加というペナルティだ。

 それに、『刃こぼれした短剣』って……こっちもどう見たってペナルティじゃないか……。



『他の3チームは女神様に気に入られたようですが、アンノウンチームは相変わらず嫌われているようです。次の競技「白兵合戦」……盗賊の資質である接近戦の強さを競い合うものです。使える武器は本来、短剣のみなのですが、女神に気に入られると長剣や槍が使えるようになります』



 風鈴のように涼やかな声で解説されて、ボクは理解する。


 ……なるほど。

 気に入られなかったら、『刃こぼれした短剣』になったってワケか……。


 でも、接近戦の強さを競い合う競技ってことは、ボクの得意分野だ。

 前の競技みたいに、一瞬で終わらせることもできるかもしれない。


 ふと、他チームのメンバー全員がボクに向かって不敵な笑みを浮かべているのに気づいた。

 きっと前の競技でやられた恨みを、次の競技で晴らしてやろうと思っているんだろう。


 ボクは、揃いも揃って頭に包帯を巻いている大人たちに向かって笑い返した。



「またケガさせちゃったらごめんね」



 すると、余裕たっぷりだった彼らの表情は一変。

 歯ぎしりをしながら、親の仇のような目で睨み返してきたんだ。



 ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 次にすることがなんとなくわかったので、ボクは競技が始まるまでのわずかな合間に控室に戻り、必要そうなスキルを強化することにした。


 敵としていちばん手強いのは、『女神の長槍』を持つ雷猿なのは間違いないだろう。

 そしてこっちの武器は短剣だ。すさまじくリーチの差がある。


 ……ムサシの言葉に『剣道三倍段』という言葉がある。


 素手で、剣を持っている相手と互角に戦うためには、相手の3倍の能力が必要。

 また剣で、長槍を持っている相手と互角に戦うためには、相手の3倍の能力が必要……という考え方だ。


 短剣は素手みたいなもんだから、長槍の相手に勝つには6倍以上の能力が必要だということか……。


 あ、よく考えたら雷猿は3人組だから、さらに掛ける3で、18倍……?


 いやいや、盗賊ギルドもエクスプローラーズもボクを狙ってくるだろうから、それどころじゃすまないか……!


 なんにしても、いちどに相手にするのは3人くらいまでにとどめておかないと、大変なことになりそうだ……!


 となると、強化するべきスキルは……。


 ボクは少し考えて、


 『遁走術』のレベル1スキル、『音無し』にプラス1ポイント。

 『遁走術』のレベル3スキル、『隔世走り』にプラス1ポイント。

 『打撃必殺技』の『xカウンター』にプラス2ポイント……合計4ポイントを割り振った。


 ……これでよし……!

 これならどんなルールになっても対応できるはず……!


 ちょうどいいタイミングでスタッフが呼びに来たので、ボクは揚々とした気分で控室を出て、競技場へと向かった。



 ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 『白兵合戦』のルールはこうだ。


 刃のところに植物の汁が塗ってある武器で斬りあいをして、相手の身体に塗料をつけたほうが勝ちというもの。


 たとえ急所でなくとも、塗料を付けられてしまったら斬り殺されたとみなされ、競技から退場。

 最後の1チームになるまで戦い、より長く残っていたチームが上位となる。


 武器以外のもの、たとえば拳や蹴り、頭突きなどで攻撃してもいいけど、それでいくらダメージを与えても斬り殺したことにはならない。

 勝敗はあくまで『塗料を付けたか』が判定基準となる。


 ちなみに、殴って動けなくしてから斬るのはアリなんだそうだ。

 また今回は、屋根に登るのもアリなんだって。


 ルール説明後、参加選手全員に武器が配られた。


 この競技で使う、『普通の短剣』は木製で刃渡りが20センチほど。

 前競技で使った石と同じく、紫色の汁がまとわせてある。


 ニセ女神様より与えられる特別な武器、『女神の長剣』は120センチほどの長さの木刀。

 『女神の長槍』は、その倍の240センチもあった。


  肝心のボクの『刃こぼれした短剣』はナイフのようなグリップに、3センチくらいの刀身……。


 マニーが「刃こぼれっていうか、完全に折れた短剣だな」と呆れるほどのシロモノだった。

□■□■スキルツリー■□■□


今回は『音無し』と『隔世走り』に1ポイントずつ、『xカウンター』に2ポイントを割り振りました。

未使用ポイントはありません。


括弧内の数値は、すでに割り振っているポイントです。


●忍術

 遁走術

  (2) LV1  … 音無し

  (1) LV2  … 地降り傘

  (1) LV3  … 隔世走り

 暗器術

  (5) LV1  … 操具

  (1) LV2  … 埋伏

  (1) LV3  … 誂達

 房中術

  (0) LV1  … 口印

  (0) LV2  … 綺弄

  (0) LV3  … 淫紋


●潜在能力

 必殺技

  (1) LV1  … 波動弾

  (1) LV2  … 烈蹴斬

  (1) LV3  … 龍昇撃

 打撃必殺技

  (3) LV1  … xカウンター

  (1) LV2  … 爆裂拳

  (1) LV3  … 点穴

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