131 新たなる世界
関連小説の紹介 ※本作の最後に、小説へのリンクがあります。
★『…マジで消すよ? 俺の愧術がチートすぎて、クラスのヤツらを一方的に縛ったり消したりします!』
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女の子を緊縛して奴隷にする、嫌なヤツを消す、お金を出す…これ全て、異世界最強の、愧術…!
★『ゲーマーおっさん、ゴーレムに引きこもる…でもソレ、実はスーパーロボットですよ!?』
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引きこもれば引きこもるほど、チヤホヤされる…チートゴーレムのお話!
『打撃必殺技』のレベル3、『点穴』スキルにポイントを振った途端、新たなるツリーが現れた……!
●武侠
点穴術
(0) LV1 … 内功
(0) LV2 … 経脈劃断
(0) LV3 … 経脈潮流
その名も『武侠』……!
『第99世界』のスキルだ……!
第99世界は、己の信条を武器に込めて戦う者たちの世界。
百の言葉よりも一撃を重んじ、戦いの中で主張しあい、勝った者が正義となる世界なんだ。
主張する信条により使われる武器も変わるので、この世界では数多の武器が存在する。
もちろんそれだけスキルも存在するということだ。
まあ簡単にいうと、武器スキルがたくさんある世界ってこと。
たくさんあるなかで、基本中の基本となるのが『点穴』。
人間の身体には血液が流れているけど、それと同じように『内力』……目に見えない気の力のようなものも循環しているんだ。
その内力を制御しているのが、人間の全身に星のようにちりばめられた『経穴』。
そこを指で突いて、流れを変える技術が『点穴』なんだ。
蛇口を開け放つように『内力』をたくさん流したり、逆に流れないように締めたりすることもできる。
そうするとどうなるかというと……元気になったり、逆に落ち着いたりするんだ。
たとえばボクが腰を痛めたとして、それが軽いものだったら腰の経穴を突いて内力をたくさん流して治したり、逆に重傷の場合は内力を減らして痛みを和らげることができる。
そう……! ようは応急処置にはもってこいのワザなんだ……!
ひとさし指で経穴を突くだけでいいから、走っていても、戦っている最中でも簡単にできる……!
これがボクの見出した、次の競技への備えのひとつ……!
というわけで、さっそくポイントを振ってみることにした。
11ポイントもあるから、全部取っちゃおうと思い、レベル3の『経脈潮流』まで1ポイントずつ振る。
すると……さらなる嬉しい変化が起こったんだ……!
●武侠
点穴術
(1) LV1 … 内功
(1) LV2 … 経脈劃断
(1) LV3 … 経脈潮流
選択:柔鞭術
(0) LV1 … 天爾遠波
(0) LV2 … 百絡み
(0) LV3 … 蛇王鞭
選択:硬鞭術
(0) LV1 … 天爾遠波
(0) LV2 … 棘懸り
(0) LV3 … 打神鞭
で……出た……!
武器スキル、『柔鞭術』と『硬鞭術』……!
『柔鞭』ってのは革とかでできた柔らかいムチのことで、『硬鞭』というのは金属とかでできた硬いムチのこと。
もちろんどちらも、この世界には存在しない。
でもボクの想像が間違っていなければ、どっちもすごくいいスキルのはず……!
だから、どっちも欲しい……!
で、でも……! 選択式かぁ……!
「……おいっ! 聞いているのか!? アンノウンっ!!」
背後から急に肩を叩かれて、仰天したボクは足の裏にバネをつけられたみたいに飛び上がってしまった。
振り向くと、難しそうな顔をしているマニーとサルがいる。
「うわあっ!? ……ど、どうしたの、ふたりとも……?」
「どうしたの、ではないだろう! 次の競技が始まると言っているんだ! 次のアンノウンひとりでの参加なのだから、さっさと行くんだ!」
控室の入り口には、困った顔のスタッフがいた。どうやら呼びに来たらしい。
ボクはすっかり自分の世界に入っちゃってたから、ぜんぜん気づかなかった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
次の競技は『投石合戦』。
競技場内に作られた街中で、石を投げ合って倒しあい、最後まで残ったチームが1位になるというもの。
石には植物の汁が塗ってあって、身体に当たるとペンキのような跡が残る。
それで当たったかどうかを判定するというわけだ。
当てるのは身体のどこでもよく、一発でも当てれば相手を倒したことになる。
強さも自由で、とにかく石をぶつけさえすればいい。
ぶつけられた人は失格となり、その時点で競技から退場しなくてはならない。
ただし、石を掴んで投げる以上、手は汚れてしまう。
手だけは当てても審判が判定できないため、有効打とはならないそうだ。
だから飛んできた石を手のひらでキャッチしたり、手の甲で防いだりするのはアリなんだって。
といってもドッヂボールではないので、物陰を使って身を隠し、石に当たる面積をなるべく敵に晒さないようにするのが定石だと思う。
ちなみに今回は街中であれば、屋根の上にあがるのもOKなんだって。
ただ、街中に点在している物見櫓には、当たったかどうかを判定する審判役のスタッフがいるので、入っちゃダメなんだそうだ。
『さあっ! 第3種目、投石合戦! 盗賊の武器といえば投石とナイフ! この競技はまさしく、盗賊としてのもうひとつの真価……戦闘能力を問われる競技なのです! 遠距離戦最強の盗賊は、いったい誰になるのかっ!?』
大空からの煽りに、地上は沸きに沸く。
いままでのふたつの競技は素早さを競うものだったけど、今度は戦闘とあって、観客たちの血も騒いでいるようだ。
『今回、アンノウンチームは、女神の選択によるペナルティでリーダーひとりでの参加となりました! 情報によりますと、アンノウンチームのリーダーは、アンノウンくんという名前らしいです! アンノウンくん、たったひとりでどこまでがんばれるでしょうか!?』
お姉さんの実況は、まるで運動会で子供を囃し立てるかのようだった。
父兄席から、どわっと笑い声が起こる。
「なんだクソガキ! お前、アンノウンっていうのか!」
「自分の名前をチーム名にするなんざ、よっぽど自信があるんだろうなぁ!」
「それともよっぽどのバカだろうぜ! ぎゃっはっはっはっはっはっ!」
「せいぜいがんばれよーっ! アンノウンくーんっ!」
「お前、面白ぇから、1位予想してやったぞーっ!」
「なんだよ、お前!? あのクソガキが最後まで生き残ると思ってんのかよ!?」
「バカじゃねぇの!? この競技はアイツひとりで参加なんだぞ!? あっという間にやられちまうに決まってるじゃねぇか!?」
「まーまー、いーじゃねぇーか! 間違って当たれば200倍なんだし! それにあのガキなら、もしかしたらやってくれるんじゃねぇかと思ってな!」
「そんなわけねぇじゃねぇーか! 走るだけならともかく、次は戦闘競技だぞ!? あんなガキ、頭にたんこぶ作ってワンワン泣き出すに決まってるじゃねぇか!」
ヤジが飛び交うなか、ボクを含めた参加選手たちは試合前の準備として、石の詰まった袋を腰にぶらさげていた。
この石が最初の弾丸になるんだ。
いくらでも持っていっていいらしく、他の参加者たちは競馬のハンデキャップのように重しの袋をたくさんぶら下げていたけど、ボクはそんなにいらないと思い、ひと袋だけ持っていくことにした。
それがまた観客たちのシャクにさわったのか、さらなるブーイングがおこる。
「テメェ!? なに考えてんだっ!? たったひと袋で足りると思ってやがるのかよっ!?」
「くっそぉ、その世間をナメきってるような態度が腹立つぅ!」
「おーい雷猿っ! まっさきにそのガキ……アンノウンに石をぶつけてやってくれーっ!!」
「そうだそうだ! なにがアンノウンチームだ! 自分の名前をチーム名にするなんざ、十年早ぇんだよっ! 雷猿のマネかぁーっ!?」
「その出しゃばりでクソ生意気なガキが、石をくらって泣きべそをかく姿を、俺たちは見てぇんだよぉーっ!」
「いいや、泣かせるだけじゃ足りねぇ! このカジノに二度と近づく気も起こらねぇほどの、大ケガをさせてやれぇーっ!」
「正真正銘のホンモノ……正義の盗賊がどれくらいスゴいかってのを、しつけのなってないニセモノのガキに、たっぷりと思い知らせてやってくれーっ!」
競技が始まる前だというのに、雷猿への声援とボクへのブーイングが鳴り止まない。
でも、残念だけど……観客席にいる大人たちの、大半の願いは叶わないと思う。
だって……投石と聞いた時点で、ボクは勝利を確信してしまったんだ。
あるスキルを持っているボクには、誰も絶対に勝てないって……!
『装備を整えた各チーム、クジ引きで決まったスタート地点の門へと移動しています! 北門が雷猿、西門がエクスプローラーズ、東門が盗賊ギルド、そして南門が……アンノウンくんですっ! さぁ、たったひとりの参加となってしまった、ひとりぼっちのアンノウンくん……! 彼はどこまでやれるのでしょうか!? いよいよ第3競技、投石合戦……スタートですっ!!』
□■□■スキルツリー■□■□
今回は『内功』と『経脈劃断』と『経脈潮流』に1ポイントずつ割り振りました。
未使用ポイントが8あります。
括弧内の数値は、すでに割り振っているポイントです。
●武侠
点穴
(1) LV1 … 内功
(1) LV2 … 経脈劃断
(1) LV3 … 経脈潮流
選択:柔鞭術
(0) LV1 … 天爾遠波
(0) LV2 … 百絡み
(0) LV3 … 蛇王鞭
選択:硬鞭術
(0) LV1 … 天爾遠波
(0) LV2 … 棘懸り
(0) LV3 … 打神鞭