13 新たなる敵!?
「動くんじゃねぇ……! 動くんじゃねぇぞぉ……! 見たこともねぇようなスキルを使いやがって……! テメェ……何者だっ!? 少しでも妙な素振りをしやがったら、コイツをズタズタにするからなっ!」
最後に残ったゴロツキAは、ウサギを人質に取るという暴挙に出た。
ボクがBCDをあっという間にやっつけたので、まともに戦っても敵わないと思ったんだろう。
首筋に石のナイフを当てられているウサギは、糸の切れた操り人形みたいにぐったりしている。
どうやら……気を失っているようだ。
なんとかスキを見て、ゴロツキに反撃してほしかったんだけど……それは期待できそうもない。
なんとかして、ボクがウサギを助けなきゃ……!
ゴロツキは緊張で息を荒くしながら、瞬きもせずボクに凄味をきかせている。
ボクがこっちの世界にはないスキルを使ったから、かなり用心しているようだ。
まるで異星人を前にしているかのような、未知の困惑と恐怖が感じとれる。
少しでも怪しまれるようなことをしたら、本当にウサギを刺すかもしれない。
ボクは打開策を考えるため、観念したフリで時間を稼ぐことにした。
「……わかった、抵抗しない。だからウサギには手出ししないで」
すると、ゴロツキはフーッフーッと肩を上下させながら、ボクに命令してきた。
「よし……じゃあまずは、両手を高くあげろ。そのあとは、手につけているエモノを外すんだ。……ゆっくりとだぞ!」
ボクは頷くと、ゆっくりと手をバンザイさせる。
手を上にあげたまま……鉄のナックルを、これまたゆっくりと外した。
それはナメクジが這うような速度だったんだけど、ゆっくりと言った手前なのか、ゴロツキは急かすことはしなかった。
その間に、ボクは頭をフル回転させる。
いまボクにあるスキルは『料理』『必殺技』『錬金術』『超能力』。
まず、『料理』は論外だ。
おいしいゴハンを作ってあげて仲良くなる、ってのも考えたんだけど……作ったところでたぶん食べてくれないだろう。
『必殺技』は、『烈蹴斬』『龍昇撃』。このふたつは遠くて届かない。
『波動弾』は問題なく届くけど……練気の構えをしなくちゃならない。
すでに必殺技は見てるだろうから、構えをとった時点でバレてしまうだろう。
『錬金術』は……ダメだ。
どれも陣を描かなくちゃならない。怪しまれずに描くのは不可能だ。
『超能力』は……そうだ『テレキネシス』があれば、あのナイフをなんとかできるかもしれない。
でも……スキルポイント1しかないので、うまくいかないかもしれない。
あまり力をこめずにナイフを握っているのであれば、いけそうだけど……見るからに強く握りしめている。
『テレキネシス』で奪おうとしても、力負けするかもしれない。
なら、あまっているスキルポイントを2ポイントかけて、合計3ポイントにすれば、抵抗されても奪えるはずだ。
しかし……スキルポイントを振るには視線を動かさなくちゃいけない。
激しく視線を動かしたら、ステータスウインドウを開いているのがバレちゃうかもしれない。
考えているうちに、右手側のナックルが外れた。
もたもたしてると怪しまれそうなので、ナックルを離して床に落とす。
……ゴトンッ……!
そしてボクは、我が目を疑う。
まるで落ちたナックルの後を追うように、ゴロツキの首がぽろりと取れ落ちたからだ。
……ドサァッ……!
床に転がる生首。
その上にヒザを落とすように、ゴロツキは崩れ落ちる。
……ズダァン……!
衝突実験のダミー人形のように、何の抵抗もせず床に倒れ伏す。
まるでワインの瓶を床に倒したみたいに、首の断面から鮮血がぶちまけられた。
あまりのことにボクは息が詰まったようになり、声が出ない。
無理心中のように床に転がる、首なし死体とウサギ。
ウサギは無事かと駆け寄りたかったけど、身体が動かない。
かつてふたりが立っていた場所に、影が揺らいでいたからだ。
丸くてツルンとした、アブラムシの卵みたいな黒い兜。
そして甲虫の外皮のような、黒光りする鎧。
昆虫をそのまま大きくしたような、おぞましい装備……!
明らかにこっちの世界のモノではない、未知の装備を身にまとったヤツが、立っていたんだ……!
コイツは、何者……!?
この部屋の扉はすべて閉じているのに、いつの間に入ってきたんだ……!?
それにどうやって、ゴロツキの首を跳ね飛ばしたんだ……!?
昆虫の化身のようなヤツから、ボクは視線を外せずにいる。
正直、目をそらしたくてたまらなかった。でも、
『相手は、人を虫けらみたいに殺すヤツだ……! 瞬きひとつでもヤバいぞ……!』
震えるボクの全身が警報を発していて、できなかった。
ヤツは遠くにいるのに、首筋に冷たい刃を押し当ててくるような、凄まじい殺気を放っているんだ……!
少しでも気を抜いたら、殺られる……!
さっきまで生きていたゴロツキAは、未知のスキルを使うボクを前にして、こんな気持ちだったのかもしれない。
睨みあっているうちに、ヤツのステータスウインドウが開いた。
その瞬間、ボクの戦慄は決定的なものとなったんだ……!
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……!?!?
これは……『第38世界』の暗号言語、『シリンダー』……!?
なんでコイツは、ボクと同じステータスウインドウを持っているんだ……!?
理解が追いつかない。
一体、なにが起こってるっていうんだ……!?
不意に、■の文字が、岩にへばりついたフナムシのようにもぞもぞと蠢きだす。
そしてヤツのステータスウインドウの中で、何かの形を作りはじめたんだ……!
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『オ・マ・エ・ガ・リ・バ・イ・バ・ー・カ』
お前が……リバイバーか……!?
ボクの理解はついに、周回遅れ……いや、ついにリタイヤ……思考停止に陥ってしまったんだ……!!
■□■□パラメーター□■□■(現在の階数:2階)
□■□■スキルツリー■□■□
今回は割り振ったポイントはありません。
未使用ポイントが2あります。
括弧内の数値は、すでに割り振っているポイントです。
●サイキック
ニュートラル
(1) LV1 … テレキネシス
(1) LV2 … クロスレイ
(1) LV3 … テレパシー
選択:ライトサイド
(0) LV1 … テレポート
(0) LV2 … タイムストップ
(0) LV3 … プリサイエンス
選択:ダークサイド
(0) LV1 … ダークチョーカー
(0) LV2 … エナジードレイン
(0) LV3 … マインドコントロール
●錬金術
風錬
(1) LV1 … 抽出
(0) LV2 … 風薬
(0) LV3 … 旋風
火錬
(1) LV1 … 変形
(0) LV2 … 火薬
(0) LV3 … 噴火
地錬
(1) LV1 … 隆起
(0) LV2 … 地薬
(0) LV3 … 地震
水錬
(1) LV1 … 陥没
(0) LV2 … 水薬
(0) LV3 … 奔流
●潜在能力
必殺技
(1) LV1 … 波動弾
(1) LV2 … 烈蹴斬
(1) LV3 … 龍昇撃
選択:打撃必殺技
(0) LV1 … xカウンター
(0) LV2 … 爆裂拳
(0) LV3 … 点穴
選択:投げ必殺技
(0) LV1 … 当て身投げ
(0) LV2 … イズナ落とし
(0) LV3 … 真空投げ
●料理
見習い
(1) LV1 … 下ごしらえ
(1) LV2 … 焼く・炒める
(1) LV3 … 茹でる・煮る
コック
(0) LV1 … 盛り付け
(0) LV2 … 揚げる・漬ける
(0) LV3 … 燻す・焙煎
●彩魔法
灰
(0) LV1 … フリントストーン
(0) LV2 … プラシーボ
(0) LV3 … ウイッシュ