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12 一気に3レベルアップ!

 ボクは8匹ものグレムリンロワーと、ボスクラスであるレイジングブルを倒したことで3レベルもアップしていた。


 そして、一気に30ポイントものステータスポイントがもらえたんだ……!

 これはすごい……! 一気にパワーアップできるぞ……!


 何に振り分けようかと考えているうちに、はたと思い立つ。


 ボクは今まで、戦いのことばかり考えてステータスポイントを振っていたけど……よく考えたら一番必要なのは、『魅力』と『運』なんじゃないのかな……?


 ボクの『魅力』と『運』はどちらも1……低いってもんじゃない。


 『魅力』をあげれば、もしかしたらクラスメイトたちも少しはボクの話を信じてくれるようになるかもしれない。

 民衆を導くリーダーなんかは、誰もが高い『魅力』を持っていたらしいし。


 『運』が改善されれば、不運続きのボクの人生も、少しはマシになるかもしれない。


 よしっ、決めた……! 『魅力』と『運』に振ってみよう……!


 ボクは喜び勇んで『魅力』と『運』に15ポイントずつ振ってみようと思ったんだけど、なぜか振れなかった。


 おかしいな、『魅力』と『運』にポイントが振れないなんてことは、ないはずなのに……?


 不審に思ったボクは、ウサギに尋ねてみたんだけど『わかんない』と首をふるふる振られてしまった。

 彼女はレベルアップ時のポイントにはまだ手をつけていないらしく、何に振るかまだ悩んでいるらしい。


 ボクはゴハンでも好きなものは最初に食べるタイプなので、ポイントを残しておくなんてことはしない。

 ウサギはきっと、好きなものは最後に食べるタイプなんだろうな、とボクは思った。


 それからいくらやってみても『魅力』と『運』だけにはポイントが振れなかった。


 その時に気づいたんだけど、塔に入る前までは1だった『魅力』がいつの間にか3に増えていたんだ。


 これは……もしかしたら『鍛錬成長』したのかもしれない。

 でも……『魅力』があがるような鍛錬って、した覚えがないのになぁ……。


 そもそも『魅力』があがる鍛錬って、何なんだろう……。


 考えてもわからなかったので、ボクは結局『筋力』『強靭』『敏捷』『器用』『知力』『信心』にそれぞれ5ポイントずつ振ることにした。

挿絵(By みてみん)

 そして次はスキルポイントなんだけど、3レベルアップにより新たに6ポイント増えていたんだ。


 これだけあれば、いろいろスキルが取れるぞ……!


 ボクはまず、『錬金術』の『隆起』と『陥没』に1ポイントずつ振る。

 このふたつは文字通り、壁や床などの形を変えられる能力だ。


 『隆起』は盛り上がらせることができて、『陥没』はその逆で引っ込ませることができる。

 これからの塔探索に役立つと思ったんだよね。


 そしてさらに『サイキック』である『クロスレイ』と『テレパシー』に1ポイントずつ振ってみた。


 『クロスレイ』は透視能力。壁の向こうなんかを透視することができる。

 『テレパシー』は精神感応。言葉を使わずに相手に意思伝達ができるようになるんだ。


 一見するとどちらもすごい能力なんだけど、スキルポイントが低いうちはそんなにすごくない。

 『クロスレイ』は厚いものは透視できないし、『テレパシー』は自分の気持ちを対象に一方的に伝えるだけで、相手の心を読んだりはできないんだ。


 まぁその欠点も、スキルポイントを多く振れば解決するんだけどね。


 そして、『サイキック』をレベル3まで獲得したところで、新たなスキルが増えた。

 『選択:ライトサイド』と『選択:ダークサイド』。


 また、選択式のスキルだ……!


 ライトサイドのスキルツリーには『テレポート』『タイムストップ』『プリサイエンス』。

 ダークサイドのスキルツリーには『ダークチョーカー』『エナジードレイン』『マインドコントロール』。


 どっちもすっごく魅力的なスキルばかりだ……!

 これは、どっちを取るべきなんだろう……!?


 長考に入りかけたんだけど、静寂のなかでサラサラと囁くような音がしたので、ボクは我にかえった。


 見ると、ウサギがスケッチブックに鉛筆を走らせている。

 どうやらボクが待たせすぎたので、お絵かきを始めてしまったらしい。


 今までさんざん急かしてきたクラスメイトたちの声は、なぜか急に聞こえなくなった。

 それにウサギは黙ってついてくるタイプのようなので、急かすようなことはしてこない。


 ボクは知らず知らずのうちに、長居をしてしまったようだ。



「あ……ごめん、ウサギ。そろそろ先へ進もうか」



 するとウサギは「気にしないで」とばかりにおかっぱの髪を左右に揺らす。


 「なに書いてたの?」と尋ねると、彼女は少し恥ずかしそうにしながらも、スケッチブックで顔を覆い隠すようにして見せてくれた。


 そこには……ボクが拳を突き上げ、天高く舞い上がる姿が描かれていたんだ。



  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 次の部屋は、ふたつ前の部屋と同じように、格子のない部屋だった。

 どうやらこの『楽な道』『険しい道』は、格子のない部屋と、ある部屋が交互に続くようだ。


 そしていつもならモンスターが待ち構えているはずなのに、部屋には誰の姿もなかった。

 正面に閉じた石扉がある以外は、なんにもない。


 おかしいな、と思っていると、背後の扉がいきなりズドオンと落ち、閉まってしまった。

 びっくりする間もなく、ただの壁だった場所がゆっくりと動きだし……隠し通路のようなものが現れる。


 隠し通路の中からは、どやどやとオジサンたちがでてきた。

 あの人たち、どこかで見た覚えが……たしか、『楽な道』『険しい道』の入口にいた、同行者の商売をしていた人たちだ。


 鎧やローブに身を包んだ怖い顔の大人たちは、ボクらを見下ろしながら溜息をついた。



「坊や、弱そうだから最初のグレムリンロワーにやられるかと思ったんだけど……まさかレイジングブルまで倒しちまうなんてな」



「どうやって倒したのか知らねぇけど……困るんだよねぇ、同行者(オレら)を雇わずに『険しい道』を進まれちゃ」



「坊やたちだけで、『険しい道』が突破できたなんてウワサが立った日には……誰も同行者(オレら)を雇わなくなっちまうんだよねぇ」



「そうなっちゃうと、こっちの商売あがったりだから……悪いけどここで、病院送りになってもらうよ」



 彼らの言葉で、ボクはすべてを理解する。

 そしてすぐさま練気の構えをとった。


 【ゴロツキA】(戦闘力:190)

 【ゴロツキB】(戦闘力:200)

 【ゴロツキC】(戦闘力:180)

 【ゴロツキD】(戦闘力:180)


 ゴロツキ、ってのはボクが適当に付けた名前。

 ヤツらの名前なんて、いちいち確認してるヒマがなかったんだ。


 構えもとらず、余裕しゃくしゃくでこちらに向かってくるゴロツキたちめがけて、ボクはじゅぶんに溜めた気を、一気に放った。



「……波動弾っ!」



 ドシュゥゥゥゥンッ!!



 ゴロツキBの顔面に、バスケットボールのような光弾がめりこむ。

 ゴロツキBはデカブツで、かつてウサギが身につけていたような石の全身鎧をしていたんだ。


 なかでも兜がいちばん脆そうだったので、ボクは顔を狙い撃ちにした。


 ゴロツキBの石兜は、粉々に砕ける。

 それでも光弾の勢いは衰えず、頬にヘビー級のパンチをくらったように顔を歪ませていた。


 石片と、歯と鼻血を撒き散らしながらふっ飛んでいく、ゴロツキB。



 ズダアンッ!



 ノビているゴロツキBを、ゴロツキ仲間たちは何が起こったのかわからない様子で見下ろしている。



「な……なんだ……?」



「いま、ガキの手から、なんか出たぞ……?」



「光の玉みたいなのが……ぐわっ!」



 気を取られているスキに、ボクはゴロツキDに駆け寄って、飛び蹴りを食らわした。


 ゴロツキDは魔法使いなのか、黒いローブをまとっている。

 そんな布では、蹴りを防げるわけもない。


 ボクの足の裏が、ヤツ腹にめりこむと……クリーンヒットの証である、骨が砕けるような感触があった。



「ぐわああああああっ!?」



 絶叫とともに身体のくの字に曲げて吹っ飛び、壁に叩きつけられるゴロツキD。



「こっ……このガキィィィっ!」



 もはや呆気に取られている場合じゃないと気づいたのか、石オノ片手に飛びかかってくるゴロツキC。


 原始人のようなソイツを、ボクは待ってましたとばかりに迎え撃つ。



「龍っ!」



 振り下ろされた石オノと、突き上げたボクの拳がぶつかる。


 石と拳とのぶつかりあい。普通であれば、拳のほうが粉々に砕けてしまう。

 それをゴロツキCも確信したのか、「ざまあみろ」とばかりに嫌らしく顔を歪ませていた。


 だが、ボクの拳は止まらない……!

 龍昇撃のストッピングパワーは、石なんかでどうこうできる程度のものじゃないんだっ……!



「昇っ!」



 力を込めると、爆ぜるように斧頭が砕け散る。

 木柄だけになった石オノを握りしめているゴロツキCは、まるで死の手品を目の当たりにしたかのような、凍りついた表情に変わっていた。


 ボクはそのマヌケヅラに向かって、一気に拳を振り抜く。



「撃っ!」



 ズドォォォォンッ!



「ふぎゃあああああああああああーーーっ!?」



 ゴロツキCは身体を限界までのけぞらせ、風に煽られた木の葉のように舞い上がった。

 ズダアンと地面に叩きつけられると同時に、ボクも着地する。


 よし、残るはあとひとり……覚悟しろっ……!


 最後のゴロツキAのいるほうを睨みつけようとして、ボクはハッとなった。



「う……動くんじゃねぇっ! 動くとコイツがどうなっても知らねぇぞっ!」



 猫のように首根っこを掴まれているウサギ。

 その顔に、石のナイフがつきつけられていたんだ……!

□■□■スキルツリー■□■□


今回は『隆起』と『陥没』と『クロスレイ』と『テレパシー』に1ポイントずつ割り振りました。

未使用ポイントが2あります。


括弧内の数値は、すでに割り振っているポイントです。


●サイキック

 ニュートラル

  (1) LV1  … テレキネシス

  (1) LV2  … クロスレイ

  (1) LV3  … テレパシー

 選択:ライトサイド

  (0) LV1  … テレポート

  (0) LV2  … タイムストップ

  (0) LV3  … プリサイエンス

 選択:ダークサイド

  (0) LV1  … ダークチョーカー

  (0) LV2  … エナジードレイン

  (0) LV3  … マインドコントロール


●錬金術

 風錬

  (1) LV1  … 抽出

  (0) LV2  … 風薬

  (0) LV3  … 旋風

 火錬

  (1) LV1  … 変形

  (0) LV2  … 火薬

  (0) LV3  … 噴火

 地錬

  (1) LV1  … 隆起

  (0) LV2  … 地薬

  (0) LV3  … 地震

 水錬

  (1) LV1  … 陥没

  (0) LV2  … 水薬

  (0) LV3  … 奔流


●潜在能力

 必殺技

  (1) LV1  … 波動弾

  (1) LV2  … 烈蹴斬

  (1) LV3  … 龍昇撃

 選択:打撃必殺技

  (0) LV1  … xカウンター

  (0) LV2  … 爆裂拳

  (0) LV3  … 点穴

 選択:投げ必殺技

  (0) LV1  … 当て身投げ

  (0) LV2  … イズナ落とし

  (0) LV3  … 真空投げ


●料理

 見習い

  (1) LV1  … 下ごしらえ

  (1) LV2  … 焼く・炒める

  (1) LV3  … 茹でる・煮る

 コック

  (0) LV1  … 盛り付け

  (0) LV2  … 揚げる・漬ける

  (0) LV3  … 燻す・焙煎


●彩魔法

 灰

  (0) LV1  … フリントストーン

  (0) LV2  … プラシーボ

  (0) LV3  … ウイッシュ

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