お話好きなメリーさん
携帯ゲームに夢中になっていたところに、突然の着信で驚かされた。
咄嗟にうっかり通話ボタンを押してしまった。
相手は非通知だ。
こんな深夜にかけてくる非常識な知り合いはいない。いたずら電話か何かだろう。通話料を払うのは、くだらない迷惑電話をかけてきたあちら側だ。イラついたので黙ったままで切らずにおく。どうせすぐに無言で切れるだろうけど。
時計を見ると、ちょうど2時22分だった。
ゾロ目を見てしまうと、ちょっとぞっとする。
明日も学校だから、そろそろ寝ないといけない。携帯に耳を当てたまま立ち上がった。切れるのを待っていたが、ささやき声が聞こえる。寝る前にトイレに行こうと部屋から出るつもりだったが、立ち止まって耳をすませた。
※※※……※※
雑音。の向こうに途切れ途切れに話す声が聞こえる。
※※※…たし……※※……の
ノイズ交じりに聞こえてくる声は不気味だ。女の声だ、と思う。
この部屋は時々電波が悪くなる。窓際に移動すると聞こえやすくなる。つい習慣でそちらに移動する。考えるまでもなく、いたずら電話相手にそこまでする義理はなかったのに。むしょうに途切れ途切れの会話が気になった。
カーテンを開け、窓に手をかけると、突然、音声がクリアになった。
「わたしメリーさん。あなたのうしろにいるの」
え?
メリーさん? 怪談の?
それって、確か少しずつ近づいて来るやつじゃなかった?
ノイズで聞こえなかったが、最初の方でぶつぶつ呟いてたから、そこ聞き逃した?
いきなり後ろって、酷いわぁ。無理ゲーだわ。と内心でつっこむ。せっかくのドキドキのくだりを聞き逃したのも少し残念だし、時間があったら、壁を背中にくっつけて待つという攻略法を試したかったのに。
びっくりしたけど、怖いとは思わなかった。
所詮はいたずら電話だし。声は女の子のもので、しかも甲高く可愛い感じで、手の込んだいたずらに付き合うのもやぶさかではない……
そんなことを考えていたけど、目の前に見えるものに固まる。
窓ガラスに映る、自分の背後に何かいる。
びっくりしたし、半端なく怖い。
何かはわからない。黒くのっそりとした影がはっきりと映っている。人型だと思う。
メリーさん……確か正当な攻略法ないんだよね……頭からばりばり食べられ……?
「わたしメリーさん。わたしのはなしを聞いてくれる?」




