1 セクハラ。ダメ。ゼッタイ。
また書き始めたヤンデレ。
なんかもう何がしたいかわからない。
『~ヤンデレと恋するゲーム~ヤン恋。』
なんていうクソふざけた名前のゲーム。
何を隠そう恋愛ゲームなのだ。
攻略対象は全員ヤンデレらしい。
ヒロインとサブヒロインなるものが居て両方を操作できる。
選択肢を間違えるとヒロインかサブヒロインが殺されるか消される、そして残った方が攻略対象とキャッキャできるというもの。
なんだこのクソゲーは。
そう思いながらプレイしていた前世の私を殴りたい。目を覚ませ私。
そしてこのゲームの世界に転生したこの私、
坂本凜音。
サブヒロインである。…詰んだ。はぁ。
今現在3歳。
お母さんに「何歳ですか?」と聞かれると「さんしゃい!」にこっ。みたいな年齢。
そして今私の隣に居座って私の冷や汗だらけの横顔をじっと見つめるヤンデレ予備軍。
瞬きしたらバッサバサしそうなまつ毛を動かさず私の横顔だけを見る。
ちなみに初対面。会ったのは3分16秒前。
「ねぇ、りんねちゃん」
わぁおなんと話しかけてきました!!
お父さん(タヌキ)の会社の同僚の従兄弟の姉のお母さんの妹の娘の…と果てしなく私とは関わりがなさそうな右側の美少年が距離を詰めてくる。
右肩にヤンデレ予備軍の右手と左手が置かれて思わずビクッとなる可愛い3歳の女の子。(ちなみにヤンデレ予備軍も3歳)
「…ななな、な、っなぁにっ!?」
「なんでそんなにびくびくしてるの?」
「えっいやっそんなことはっないっよっっ!?」
思いっきり嘘。嘘しかない。とても怖い。離れてくれ。やめろ。なぜ右手を左側の腰に置くんだ。
私は今3歳であるが精神年齢を入れると17歳。
多感なお年頃である近寄らないで欲しい。
彼氏いない歴17年である近寄らないで欲しい。要するに近寄らないで欲しい。
「…ボクのこと、きらい?」
涙目うるうるでこっちを見ないでいただきたい。肩をプルプルさせないで欲しい。おい口元がニヤケてるのが見えてるぞ。
仲良くしてやってくれ、みたいな目で見ないでください美少年のお父さんである達央さん。
「き、きらいじゃな「そっか!よかった!!それじゃあよろしくね!!」
やっと友達ができて良かったなっておいタヌキ私怒るぞ。いなかったんじゃない作らなかったんだ!!そして美少年!!遮ってはいけないよ…。
右側に居た美少年は正面に立ち右手を差し出してきた。ので右手を出してスイングしてみた。
そうしたらスイングした右手を差し出してきた右手でガシッと捕まれ両手でホールドされて上下にブンブンされた。腕が痛い。死ぬ。
「もーてれないでよー」
にぱっと眩しい笑顔で言うヤンデレ予備軍。
あぁ、眩しい。お姉さんは将来君が変人変態になると思うと胸が痛いよ。心臓と肩も痛いけど。
「えーっとねー、たしかじこしゅーかい?…あれ?じこしょーかい??してなかったとおもうの!!ボクのなまえは、やまだはるき!!さんさいなの!!」
山田春樹…ハッ!確かセクハラと下ネタを繰り返すク〇野郎!!
そして執着したら二度と離れないとかいうク〇野郎!!(2回目)
最後についたさんさいなの!!にちょっとだけキュンとしましたが騙されてはいけない。
今はまだ純粋で可愛いいい子である。
だがあと4年経つとまぁなんということでしょう…自分の顔の良さを理解し利用してヒロインorサブヒロインにセクハラをするク〇野郎なのです…(3回目)
それから1ヶ月後。
「りっちゃーん!!あそびにきたよおおお!」
「オォオオッヴッ!」
優雅に(ストローで)リンゴジュースを飲んでいた私に後ろからぎゅううっと抱きしめた後に前の椅子に座るびしょう…春樹くん。
スキンシップが増えました。
まるで気の知れた幼馴染かのように気軽に遊びに来る仲に。とても嫌。
だが少々スキンシップが増えただけなので特に気にすることはないと思う。
「ねーりっちゃん!」
ちなみにりっちゃんとは私のこと。
「きょーはあついしさっ!!いっしょにおふろはいろー!!」
「ブグウフッッ!!」
飲んでいたリンゴジュースを吹き出してしまった。正面にいた春樹くんにかかってしまったが春樹くんは気にするそぶりを見せず、むしろ『このふくはあらわないほうがいいよね…』とかなんとか気持ち悪いことを言っていますが私には聞こえない。聞こえたくない。今すぐ耳よ寝ろ。
「ボクとじゃイヤ?」
ああああまた涙目うるうるしてる!!この顔に私が弱いと分かってやっているのだこのク【ピィィィィィィーーー】。(お見せできない発言により規制をかけさせていただきます。)
だがしかし!!おふろはむりだ!!その顔をされてもお風呂は無理だ!!
「りっちゃんのすきなプリンもあるよ!!」
「よぉしはるきくんおふろはいろうか!!」
負けた。
あ、こいつ笑ってやがる。くそ。
「りっちゃん、おとなになったらボクと結婚してこどもたくさんつくろうね!」
と4分後に言われるのはまた別の話。
それと結婚だけ舌っ足らずではなかったことに恐怖を覚えたのもまた別の話。
こどもたくさんつくろうね!に失神したのもまたまた別の話。
春樹くんやべぇ