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僕は幼なじみと同居することになりました  作者: 雨宮 ユカ
4月~6月
3/4

手紙の人

 校長室であいさつを済ませて、僕らは2階の普通科の教室に向かっていた。

 校長室の椅子はふかふかだったな~

 そして、校長の説明曰く、学科理高校のメインは理数科とスポーツ科らしく、普通科のクラス、理数科のクラス、スポーツ科のクラスの比は1:2:2らしい。

 ちなみに、普通科のクラスは1クラスで、僕と柚木は同じクラスになるのは決定らしく、今はそのクラスの担任、五十嵐水樹がクラスまで案内をしている。

 まあ、第一印象で決めちゃダメだけど......うん、背は高いし、目はつり上がってるし、服も少し大人っぽいから怖いんだよな......

 そしてさっきから「ダリ~」とか言ってるから余計に怖さを引き立たせてる。

「ほれ、普通科はこのクラスだ。とりあえず中に入ったら自己紹介ぐらいはしてもらうぞ」

 振り向き、教室の前で立ち止まって僕らに声を掛ける。

 まあ、自己紹介はなんとなく用意してあるから大丈夫かな。

 柚木も人見知りって感じもないし、心配ないな。

「了解です」

「私も大丈夫です」

 僕と柚木がOKサインを出したところで不適な笑みをして教室の中へ入る。

 普通に笑えよ!怖いわ!

「緑、手紙の人って先輩だったよね?」

 先生が教室に入ったところに声が掛かる。

「えっと、多分そうだと思うよ。確か手紙に『優姉は心配だよ』的なのが書いてあったから」

「緑、よく覚えてるね......」

「記憶力には自信があるんだよ」

 少し引き気味の柚木に反論してから、ポケットに入っているリングを一度握りしめる。

 なんでリングを持ってるかって?

 そんなの記憶を失う前から『お守り』として持っていたらしいからだよ?

 柚木がずっと持っていたって言うから間違いない!

 ......さて、教室入るかな。


 教室の中に入って回りを見渡してみる。

 人数は40人ぐらいで、男女比も半々ぐらいか。

 うん、普通だね!

「おら~うっせぇぞ。転校生が来てるから注目しろ~」

 喋っている生徒に声を掛けて黙らせる。

 っていうか、一言で黙らせるって怖がられてんのか!?

「んじゃ、後は自分でやれ」

 自己紹介を僕らに完全に任せて、椅子に座る。

 まあ、普通でいいんだよな。

「んじゃ、私から」

 先越して、黒板に自分の名前をスラスラと書いていく。

 そして、書いたところで正面を向き、自己紹介を始める

「はい。如月柚木(きさらぎゆき)です!今日からよろしくお願いします!」

 簡単に自己紹介を終えて拍手が起こる。

『あの転校生可愛くないか?』『だな、背も高いし』『それに、スラッとしてるしな』

『でも貧乳じゃね?』

 評判も良かったらしく、男子の注目を集めている。

 最後のやつが聞かれてたらフルボッコにされてるな。良かったね、聞こえなくて!

 さてと――

 柚木と同じように黒板に自分の名前を書く。

 ところで、窓際の人の誰かが凄いガン見してるんだけど何故に?

 僕はとりあえず書き終えて正面を向く。

「えっと、葉山緑(はやまみどり)です。これから――」


「――みー君!?」


 ......みー君?俺の事だよな?

 声の方向を見ると、窓際の後ろから2番目の人だけ立ち上がって目を見開いている。

 髪は短めで軽いウェーブが掛かっていて、茶色っぽい髪色で大人しい印象を受ける。

 っていうか、みー君?

「ねえ、誰なの?」

 耳元で柚木は彼女の事を聞く。

 っていうか、記憶喪失の僕が知るわけないじゃん!

 いや、手紙の人か?

 いや待てよ。年上じゃなかったか?

 たしか、『優姉』って手紙に書いてあったはずだ。

 だとすれば、からかってるのか?

「ねえ、みーくんってば!」

「は、はい!?なんですか!?」

 考え事をしているところに、さっきの声が掛かる。

 っていうか、驚いて敬語になっちゃったぜ!

 ちなみに、何故かその彼女は席を立って両手を机に置き、頬をふくらませて怒っている。

 って言っても、僕には記憶がない訳だし、知っている人だったしても誰かわからないのだけど......

「自己紹介終わったな。んじゃ、葉山はあの立ってる奴、月岡優(つきおかゆう)の隣で、如月は優の後ろな」

「......先生、あの人って『優』って名前なんですか?」

「ああ?お前は知り合いだじゃねーのか?まあ、さっきも言ったが『月岡優(つきおかゆう)』だぞ」

 手紙の内容を思い出す。

 確かに名前は優だったはずだ。でも、あの人は先輩で学年も違うはずだよな?

 しかし逆に聞こう。あの態度はなんだ?完全に知ってる人だよな?

「みーくん!このリングだよ!」

 急に声を掛けられて、驚きながらも優の持っているリングを見る。

 まあ、良く見えないから、ついでに自分の席に座る事にするんだけどさ。

 そして、隣の席になった優からリングを借りる。

 黒がベースで、赤い竜が彫られたリング......っていうか、僕の持ってるのと同じだと!?

「緑、そのリングと同じのを贈った人は手紙の人だよ!」

 いつの間にか、優の後ろに座ってた柚木が驚いた声を上げる。

 っていうか、はい?マジですか?

「優姉?」

 確かめるように恐る恐る声を掛けてみる。

 ちなみに正解だったらしい。声を掛けた途端に優さんがめっちゃ笑顔で頷く。

 優姉って先輩じゃなかったのか......

「みーくん!心配したんだよ!?記憶喪失になったとか冗談言って手紙の返事はないし、もうバカー!」

 笑顔から一変、泣きながら大声を出すのと同時に、思い切り僕に抱きつく。

 っていうか、胸が顔に!ちょっと、死ぬ!

 本当に窒息死しそうになったので、ジタバタして離れてもらう。

 あ~、酸素が美味しいな~

 っていうか、クラスの男子からの視線がめちゃくちゃ痛いんですけど、どうするべきなんだろうね!

 ついでに柚木はもはやキレてるんですけど、こっちもどうするべきなんだろうね!

「お喋りの続きは後でしろよ。ここは学校だ」

 先生の声が掛かり、とりあえず前を向く。

 でも、頭の中では学校どころではないんだけど。

 優姉は記憶喪失の事を冗談だと思っている。だとしたら説明しないといけない。

 これから、僕は過去に親しかった人と話していかないとなんだ。

 そうなると、僕は確実に過去と向き合わないといけなくなるのだろう。

久々になってしまいましたがどうでしたか?

今回から登場のキャラは主要キャラになります!

次回もよろしくお願いします!

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