鬼母
俺の母親は、ぶっちゃけて言えば、鬼だと思う。
そう、恐ろしい鬼だ。
だが、鬼と聞いて、よろしくないことばかり浮かぶわけではない。
鬼は恐ろしいばかりではなく、その裏面には、優しさも含まれていると、俺は思っている。
とは言うものの、やはり親、母親は恐ろしい存在である。
やれ勉強しろ、やれ家事をしろ、やれあれをしろ、やれこれをしろ。
そう言って、俺をとかく責め立てる。
何か俺がしでかしたわけではないが、それがもとで、俺はさまざまな方向へ手を伸ばすことになった。
裁縫はうまくなったし、料理だってできる。
走るのは苦手だが、70mぐらいまでならだれにも負けない。
怖い鬼の言葉でも、俺は感謝している。
そう、鬼母に。