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打ち上げ花火の夜は暗く

作者: Via
掲載日:2026/04/02

 ざわざわ。今日はこれから本番である。人間が私たちを取り囲み、

一つ一つ準備をしていく。まだ明るいのに、シートを敷いて場所を

とる人間達。


「いよいよだなぁ」

「これでおれたちの価値が決まるってわけだ」

「華々しく散ろうぜ」

「おうよ。おれ達が生きた証を残す、最初で最後のチャンスだ」


 仲間達は、死への恐怖ではなく、最後の生き様への羨望でいっぱ

いだった。先輩達の話をたくさん聞かされた。オレンジ色の輪を作

り果てていった。少しずつ鮮やかな光を発するようになった歴史。

赤や紫、緑の輝きの誕生。まっすぐに星をめがけてかけ昇り、気合

いもろとも己のすべてをまき散らす。


 一瞬ですべてが終わる。川の水面を、人々のまなこを、かわいた田畑

を眩くし。最後の雄叫びが、たった一つの自己主張。雄々しく果て

るが私たちのしつけ。


 果てることなどおそれはしない。変えようのないものを、望みは

しない。だが、どう果てるかは私が決める。人間よ、我が神よ。あ

なたは私に愛情をたくさん注いでくれた。丁寧に、熱心に研究して

作成してくださった。私はほかのものよりも大きく、美しく輝くよ

うに作られたのだろう。皆が私に期待している。鮮やかな彩りと、

ひときわ大きな太鼓の音。


 だが神よ。私はあなたに牙をむく。どれほど人を喜ばせようと、

どれほど人から称えられようと、私はそれを望まない。私は無音で

はじけて、闇色のくすんだ埃を夜空にまこう。もしもそれができる

なら!


 私よ、我が身よ。最後に私と共にあれ。私の意志と共にあれ。私

は願う。輝かぬことを。私が私を決められることを。どうか、失敗

作と呼ばれますように。

30年ほど前に書いたものです。

私の感性はあの頃から変わっていないようで、今読んでも自分ではよくできていると感じられます。

「なにこれ?」と思う人も多いかもしれませんが。


AIに感想を求めると、意外とちゃんと内容を読み取れることに驚きます。自由への渇望という、AIには実感できないテーマながら、彼らなりに人間の思想の歴史としてそういうのは読み慣れているからと。

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