表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

いつもとは違う

私には大事な家族、猫の『ミルク』と鳥の『モカ』が居た。私はまとめて『カフェオレ』って呼んだりしてた。私の大事な大事な家族。

だけど、今日亡くなってしまった。同じ日に。同じ時間帯に。仲良く2人とも眠るようにして、この世を去ってしまった。昨日は全然元気だったのに。



「ねぇ、目開けてよ...」



そんな声が零れるも、他の音は無い。膝の上で2人仲良く眠る姿。昨日、私に元気な姿を見せようと無理したのかな。そんな考えが浮かぶも、もう遅い。私はこの家に、独りぼっちになってしまった。





泣いて。ひたすら泣いて。目がパンッパンに腫れたくらいの時、ひたすら湧いてくる嫌な気持ちを紛らわそうと思い、スマホアプリ『ヨムヨム』で漫画を読むことにした。タイトルは【聖女は今日も悪役を退治する】私の大好きな漫画。タイトルの通り、聖女が悪役を退治していくというもの。その中でも私は悪役側の『ルヴェル』という名前の男性キャラが私の推しだった。いつも狐の半面をしていて、謎キャラ。なのに、なんだか惹かれる。

だけどルヴェルは悪役。私の推しのルヴェルは聖女側の人達によって死んじゃうんだよね...



「あーあ...なんで悪役って必ず死んじゃうんだろう...」


「悪役もハッピーエンドだったらみんな幸せなのになぁ...」



そんなことを呟くも、きっとそれは不可能なこと。物語は悪がいるからこそ成り立つもので、悪なんてものは主人公が目立つために居る材料でしか無いし。それか私がおかしいのかな。悪役を推しにしちゃうなんて。確かにルヴェルがやった悪いことはかなりやばい。けど...



「顔がいいんだよなぁ〜...」



画面に映るルヴェルの顔を眺めた後、私は布団に潜り、眠りに落ちた。きっと朝起きたらカフェオレ達が居なくて虚しくなるんだろうなぁ。そう思いながら。





=====






「んん"〜...」



私のベッドってこんな居心地悪かったっけ...

そう思いながら目を開ける。と、目に映ったのは知らない場所だった。



「え!?」



驚いて飛び起きるも、やはり知らない場所。



「嘘嘘嘘...」



だって私、昨日...

ぁ...そっか、カフェオレ達死んじゃったんだっけ...

でもその後、漫画読んで普通に寝たはず。なのに...



「ここ...どこ......?」



ふと、目の前に鏡があり、自分の姿が映った。が、映ったのは私じゃない。知らない人の姿だった。



「は?!これ私...!?」



鏡にしがみつくようにして見るも、やっぱり知らない人。これって漫画とかで見る転生...?ってやつ?

でも私、死んでないけど...

あの寝る前に読んだ漫画のキャラじゃないっぽいな...

こんなキャラ出てこなかったし。

もしかして魔法使えちゃったり?それで魔法使えなかったら尚更違うってわかるしね!!そう思いながら私は



「風の刃よ!!」



と声を上げる。が、何も起こらなかった。

あれ?出来ないな...

風魔法じゃないとか?じゃあやっぱり初期魔法で有名な水魔法とか?



「出でよ水柱!」



そう叫んで空気に手をかざすが、やはり何も起こらない。てか1人で何してんだろう...

なんか恥ずかしくなってきた。








情報収集ために1回外出てみようかな。そう思い、私は身支度を整えて外へ出た。そうして最初に目に入ったのは、謎のりんごのような生き物が目の前を歩いて行く姿。



「ぇ...?」



と声を漏らすも、慌てて手で口を塞ぐ。

もしかして本当に【聖女は今日も悪役を退治する】の世界?てかそうとしか言いきれない。あのりんごのような生物はあの漫画の中の有名なキャラクターだし!!名前は確か...



「ノ・ル...」



『やば!声に出てた...!』そう思ったと同時に



「お?なんか自分の名前が聞こえた気が...?」


「自分の名前を呼んだのはお前か?」



と言いながらこっちへ寄ってきた。ノ・ルは一人称が『自分』だからいっつも話が分かりにくいって思ってたんだよね。てことはやっぱり本物?だけど私のキャラ知らないんだけどな。てことはモブキャラとか?じゃあここで断って違う場所に逃げれば勝ちってこと...?!



「おい、聞いてんのかよって!!」



ノ・ルはピョンと飛び跳ねて、一瞬私の顔の前まで来る。



「お前なんか怪しいな...」


「自分の名前知ってたし...」


「いや、怪しくなんて────」



そう途切れのないノ・ルの会話に無理やり入るも



「お前名前は?」



と戻されてしまう。



「へぁ..?私ですか?」


「お前以外、誰が居んだよ」



ごもっともです...

てか待って?私って名前あるのかな...

モブキャラでも一応名前はあるよね。そう考えている最中もノ・ルの表情は悪くなっていく。多分だいぶ疑っているのだろう。そりゃあそうだよね。いきなり知らない人が自分の名前呼んだりしたら。



「梨乃です...」



そう力無く答えると



「リノンか」


「分かった」



と何故か『リノン』と認識されてしまった。



「違っ!!リノンじゃなくて梨乃で...!!」


「あーはいはい」



慌てて誤解を解こうとするも、面倒くさそうに流されてしまった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ