柴の水晶 第二章 血縁
第二章
血縁
「今を生き抜く正義ってのはこんなんなのか?」
2人は部屋のドアを開けて、住人を見てそう言った。
そこにいたのは顔以外、テーマパークなどで見るウサギの着ぐるみをきたイケメンの男だった。
「なんだお前?」
ウサギの着ぐるみの男は聞いてくる。
男は椅子に腰掛けながらタバコを吸っている。
「お前がヒーローと聞いてきたが、どっからどう見ても遊園地のバイトだから帰らしてもらうよ」
と銅川は言った。
そして、帰ろうとすると男は立ち上がり言った。
「俺は本当のヒーローだ。名はラビット」
柴は振り返ったが、銅川は振り返ろうとしなかった。
「馬鹿げたことを言うな、お前みたいなヒーローも有りな社会な訳がない」
「本当の話だ」
銅川は少し黙ってラビットの方を向き、言った。
「なら、もちろん戦ってくれるよな?」
「任せろ」
と言いこちらに向かってきた。
そして、柴と銅川と手を取り合った。
「出るなら少し待ってくれ」
と言い男はクローゼットを見に行った。
そして、少したちラビットは帰って来た。
「あったあった、これがなきゃ戦えない」
と言い手に持って帰って来たウサギの着ぐるみの頭をかぶった。
「お前、まじかよ…
3人は団地から車のあるところに戻った。
「チームを作るって言ってもなかなかうまくは見つからないな」
銅川は埒があかない様子だった。
「俺らは迅明教を倒そうと考えてるその為にチームを組んでる、俺は柴、そして銅川、よろしく」
柴はラビットに説明をした。
「あの迅明教かなかなかだからな困ったもんで、俺も一回はスパイしようかと思ったがやめておいたよ、なんと言っても迅明教には白夜の認めた6人の最強信者、六竜がいるらしいからな、六竜は迅明教の信仰もあつく、そして力や知識、頭の良さもトップの奴ららしいからな厄介だよ」
「その6竜を倒さないと進まないってことですか?」
「あぁだからチームを安易に組もうとしたらダメだ。しっかりした奴らで大人数でかからないとあいつらには勝てない」
「なら手分けするか?」
銅川が提案した。
「有りだな、というかお前らどうやって迅明教と戦う気だ?
白夜や六竜の奴らは滅多に顔を出さんらしいからな」
「大丈夫、仲間の1人がスパイをしてるんだ」
「なるほど、でっその手分けってのはどうする?」
ラビットは銅川に聞いた。
「いつ何が起きても大丈夫なように備えるため、3人で手分けして仲間を集めるという考えだ」
「まぁそれが一番手っ取り早いか」
「じゃあ車で向かうものは?」
みんなに銅川は聞いた。
「駅に連れて行ってくれ」
柴は応えた。
「俺はお前がどこに行くか知らんがお前について行くよ」
とラビットは銅川に言った。
「分かったとりあえず乗り込め」
と銅川はいい柴達は乗り込んだ。
乗り込んで少し経つとラビットは喋り始めた。
「銅川お前はなんで片腕がないんだ?」
「切られてな、切ってきた奴も滅多切りにしてやったよ」
と銅川は笑いながら応えた。
「柴って言ったよな?お前名前すら聞いたことないヒーローだな」
「俺は完全なヒーローじゃないから、なんかノリでなっちゃったみたいな正式になろうって思ってなってないんだよね」
「まぁでもこんな行動を起こせるのは十分ヒーローだけどな」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
「おい、柴駅着いたぞ」
と言われて柴は車を降りた。
「ありがとう」
と言い柴は車を降りた。
「で、お前はどこに向かう予定なんだ?」
二人になった時にラビットは聞いた。
「道頓堀かな」
「なら俺もその辺で探すとしよう」
そして車は道頓堀に向かった。
…島沢は…
白夜から死体を見せられたあと、またもといた場所に帰ってきていた。
「ずっと聞いたかったんだけど、お前なんて名前だ?」
白夜は薄暗い中で低い声を轟かせながら、こちらに顔を近づけて聞いてくる。
顔からして30代だろうか、肌は白く、変な着物のようなものを着ている。
「俺は松井と言います」
と応えた。
「ふぅん松井ね、じゃあ松井君のここにくる前の職業は?」
「少し弁護士を」
「へぇ凄いねぇ頭いいんだ」
白夜は言い肩に触ってきた。
「君六竜に入らないかい?」
「六竜?」
「あぁ六竜、迅明教の信者のトップクラスの6人の集まりだ、何かを起こす時に戦闘や計画を立てるのに最高なメンツを揃えてるんだよ、まぁ六竜にいれば長く食事の安定だしね」
と白夜は言う。
正直流石に六竜に入るのは大袈裟な気もした。
ここで引いては逆に怪しくなってしまう為島沢は入ることにした。
「お前なら入ってくれると思ったぞ、六竜の奴らは全員迅明教の真のやるべきことを知っている」
皆破壊願望がある奴らということか、狂っているがここをうまく使うと迅明教がそろそろするであろう近畿を襲うような
ことを阻止する事ができやすくるなる。
「では、案内してやる」
と言い白夜の後ろを島沢は着いて行った。
ふと、白夜は足を止めた。
「ここだ」
明らかに普通とは違い綺麗に整備された大きな赤塗りの扉がある。
白夜はその大きな扉を開けて、島沢を中に入れた。
中は円形状になっており、真ん中には大きな金のテーブルがあり、それを囲むようにソファー、そして、その周りにはさまざまな扉があったり武器が置いてあったりする。
「ほら、新規六人目だよ」
と白夜は叫んだ。
ソファーに腰掛けていたり、個人の部屋にいた者たちがこちらに目を向けた。
「ほう新しいのか、見る感じパワー系じゃないねぇ」
とソファーに座っていたスーツの髭を伸ばした男が言ってくる。
「俺は伊織よろしく」
と挨拶を続けてきた。
「よろしく」
島沢は返事をした
「で、どんな力を持ってるんだ?」
「彼は松井元々弁護士だったらしい」
説明しやずとも白夜が説明をしてくれた。
「なら俺には及ばないか」
と伊織は言ってきた。
伊織どこかで聞いた名前だ。
少しは浮かんでいるが本当にそんな奴がこんなところにいるのか…まぁあり得ないこともない
考えている内にモヤモヤは解けた。
「俺はsoldeというビジネスを作った男だ。
まぁ表向きには違う人の名前が出ていると思うが、実際は俺が展開さした。
だから今でも付き合いのある奴らをいざとなった時に呼べる力を持っている」
本当にいた。
こいつは癖者だ。伊織だけではない他にもまだ知らない四人がいる残りの奴らはどんな奴らなのか、
ふと、視線を少し前から感じていたので顔を上げると反対側の薄暗いところからフードを被った男がこちらを見ていた。
「お前もなんか言えよ〜」
伊織もその男に気付き声をかけた。
「新しい奴か、まぁせいぜい頑張れ」
と言い男は部屋に入って行き姿を消し
「あいつは須馬って言うんだけど、俺らもあんまり喋んないよ、どうやら過去のいじめられてきた屈辱を晴らすために全員を殺したいらしい」
伊織は言う。
「そもそも種となる物を無くすってことですね」
島沢は相槌を打つように言った。
「どうやら彼はめちゃくちゃ強いらしいけどね」
と伊織は続けて言ってくれた。
「じゃあ俺はこんぐらいで」
と言い白夜は部屋を出て行った。
「なら君の部屋へ案内したあげるよ」
と言い伊織から個人の部屋を教えてもらい、他の部屋の説明もしてもらうことになった
「ここお風呂…」
と言い扉を開くと白髪の大男が入っていた。
急いで扉を閉じて、
「見た通り中は綺麗でとても広いからみんなで一つなんだ。少し小さめの温泉みたいな」
と伊織は説明した。
するとお風呂の扉が開き大男が出てきた。
身長は190センチほどあり、筋肉のつき方も良い、白髪の男だ。
「なんだ、また新入りか?どいてくれ」
と言い島沢の後ろのカゴにあるタオルを取り、身体をある程度拭き、腰元にタオルを巻きつけソファーの方へ行った。
「なんて名前なんだ?」男はタバコを吸い出して聞いてきた。
「松井です」
「まぁ信用しねぇ訳じゃないが裏切る行為は許されからな」
と男は言った。
「俺の名は………
悪夢かと思った。
聞きたくない名前だ。
本当にそうならこれは変な夢であってほしいと思った。
…柴は…
朝から活動をしていたが、もう夜になり電車の本数も少なくなってきていた。
柴は銅川と別れたあとなんとかなりつなぎながら、ある工場が並ぶ港に来ていた。
昔はもっとこんな時間でも盛んだった、だがもう人も迅明教に取られてしまいまともな人ですら居なくなってしまった。
工場地帯を歩いていると何者かはいるのを感じる。
そう柴はその何者かに用事があるのだ。
「かかってこい」
柴が呟くと後ろから刃物を持った女が襲ってきた。
女はビリビリに破れた、セーラー服を着ている。
いい話とてつもない色気を感じさせる見た目だ。
柴はその鋭いナイフを片手で止めた。
「久しぶりだな雪乃」
「誰だよ?」
柴は一瞬でわかった。
雪乃の手には大量のリスカの跡がある。
「邪魔だ」
女はそう叫び刃物をもう一振りしようとしてきた。
「俺はあんたと同じ高校だった。柴 琉翔だ」
雪乃は同じ高校の後輩だった。
「そん奴がなんでここに?」
「鬼嶽のことは災難だったと思う」
と言うと急に柴は暴れるのをやめた。
「あれは本当に災難だったよ」
「あんたに何が分かる?」
雪乃は下を向きながら言ってくる。
鬼嶽とは柴と同学年の男であり、雪乃の彼氏だった。
だが、この二人のカップルは学校ではかなり恐れられていた。
雪乃がいじられていたことをいじめられていた鬼嶽が助けたことから、二人はこれまでやられていたことへの復讐をすることになるのだった。いわゆる二人とも狂った殺人鬼のような者に豹変したのだ。
だが、鬼嶽の思想は拡大して行き、理不尽な世の中に苛立ちを持ち、さまざまな事件を起こしていった。
その中で起きた事件
ビルなどが並ぶ街の建物を爆破するというもの、これは本当に行き過ぎた破壊願望が生んだものだろう。
そして、その事件はとてつもない被害を起こしてしまい数々の人の命を奪うこととなる。
どうにかヒーローが駆けつけて止めたものの、とどめを刺したのは彼女である雪乃だった。
背後からナイフで刺したのだ。
彼女の中にある狂いきった正義の中から生まれた何かなのだろう。
その後雪乃は素早くその場から姿を消して行った。
だが、雪乃はここらで生きているとのことを聞いた。
それはさまざまなイカした男達に体を売り、鬼嶽といた期間に癖となった性欲を発散しているのだという。
さらに、薬物をやっているとも言われており、鬼嶽の事を忘れるための行動なのだろう。
そのことから雪乃は毎日のように男をだき、薬物をヤりながら発散しているのだという。
「貴方のあ判断はは正しかった」
雪乃はこちらを睨み付けてくる。
とても鋭く綺麗な目だ。
柴は高校の時いっとき雪乃が騒がれており、気になっている時期があった。
彼女はその時はいじめられっ子というよりは人気者だった。
なんと言っても、女優として名がよく聞くようになっていたからである。
色々な映画やドラマなどに出演していた。
だが、有名になり過ぎた事が彼女の人生を狂わせた。
雪乃はスキャンダルなどに取られるのを防止してか、自分からある有名に俳優と付き合っていると発表した。
そのことでも、少し反感はあったが、まだファンや人気はあった。
そんなある日その付き合っていた俳優が三股事件を起こす。
うち1人の女の人を妊娠させたのだ。
ネットは騒然、もちろん学校でも大きく話題となった。
とてつもないニュースだった、そして、ネットではその俳優を多く叩く声が上がった。
その俳優は素直に認めなかった。
最後の悪あがきをした。
それは彼女であった雪乃のTwitterインスタを乗っ取り、自分の偽装住所、さらに自分に対する批判的な文を発信したのだ。
雪乃はすぐに自分がやったことではないと否定したが、ネット社会である以上そんなことは通じず、雪乃がその俳優の三股にキレ、最後に爆弾を投下したとしからみんな思わなかったのだ。
途端にニュースはそのことにスポットを当てニュースを発信し、雪乃を傷つけはじめた、そして限界がきた雪乃は女優を引退した。
だが、誰も学校にはもう味方はいなかった。
柴はその時ニュースを鵜呑みにしていたが、ずっと柴は雪乃のことが気になっていた。
一個歳下とは思えないほどのルックスをしており、学校でも1番の美女だった。
だが、一番に手を差し伸べたのはその時いじめられていた鬼嶽だった。
「それならいいんだけど、もう人を傷つけない、でも私をこんなにしたのは愚かな人なんだよ、世の中は理不尽だ」
雪乃は思いをぶつけた。
きっとこれまでの不満が溜まっているのだろう。
「俺は味方だ、話ぐらい聞けるよ」
と雪乃の背に手を差し伸べた。
そのあと少しの間雪乃は涙を流しながら、不満をぶちまけた。
雪乃もどんどん味方だとわかったのか、こちらに肩を寄せてきた。
柴は少し幸せだった。
「なんでここにきたの?」
ふと柴に聞いてきた。
「あぁ危険を伝えにきた」
雪乃は涙を拭き言った
「何?」
「迅明教って知ってる?」
「知ってる、大人も子供もみんな入ってる宗教でしょ」
「あぁそうだ、彼らの真の目的を知ってるか」
「知らない」
「教えるよ………………………
「それは気に食わないよ、みんなが死ねばいいって正義は間違っていた。私はそれを知ってる。止めないと」
…銅川,ラビットは…
車は道頓堀に到着して、2人は分かれて行動することになった。
時間はもう0時を回る頃だった。
銅川は少しメインの通りをずれたところにある地下の賭け格闘技をする店に向かった。
その店に入ると周りは騒がしかった。
それもそうだろう今日は地下の女王SENA試合があるからだ。
銅川はSENAのファンであり友人だった。
だが、銅川はその試合を見に来たのではない。
試合はSENAの勝利で終わった。
銅川は試合が終わった後、SENAに銅川は話に行った。
「ひさしぶりだな」
「あぁ銅川久しぶり」
昔銅川はこの店でよく、SENAと戦っていたのだ。
「あら、腕どうしたんだ?」
能東が東京に行っていた時以来ここにくるのは久々だ。
「あぁ少し戦闘で無くすことになった」
「銅川って感じだな」
彼女はとても逞しく、筋肉のつき方も良かった。
顔も男らしい感じの顔をしていた。
「少し協力してほしいことがある」
「いいけどなんだ?」
銅川はSENAのことが好きだった。
一度付き合ったが、うまくいかずに破局した。
今ではそんなことは引きずらず友達としての仲になっている。
「迅明教って知ってるか?」
「あぁ最近話題のやつか、知ってるぞ」
「あいつらの真の野望は?」
「それは噂で聞いたけど、あれ本当なのか?
人をいなくすればとかなんとか」
SENAは驚いた顔をした。
「本当だ。だから、止めるのに君の力が必要なんだ」
と言い銅川は手を掴んだ。
久しぶりの感覚だ。
相手はどう思っているかわからない。彼女ぐらいの美しさならもう彼氏もいるかもしれないん
でも、なぜか完全にあきらめるということができなかった。
「まぁいいやってやるか」
ラビットは知り合いの奴らがいるようなところをまわったが誰もいなかった。
そして、疲れて居酒屋に入った。
居酒屋は半年前と比べるととても静かになっていた。
でも、俺を変な目で見るのはみんな変わっていなかった。
そんなところに一人の男が喋りかけてきた。
「どうも、なんだその格好?」
見た目は40代ぐらいの少し汚らしいおっさんだった。
顔が赤くなっている、酔っているのだろう。
「すまないが趣味だ」
ラビットは応えて、自分の頼んだお酒を飲んだ。
「俺も昔は変な格好して戦ってたんだよ」
おっさんは話を続ける。
酔っているせいで、訳もわからないことを言っているのだろう。
無視するのもなんだから相手する事にした。
「何で戦ってたんだ?」
急におっさんの顔は自慢げな顔に変わった。
「戦隊モノのレッドをしていたんだ」
なるほどな、まだこんなに世間が荒れてないとき、今の20代が子供の頃テレビでやっていた特撮ヒーロー番組だ。
「おっさんがレッドなんかしてたのか、今は強いのか?」
その時少し見ていたが、かなりの身体能力だったことを覚えている、もしこのおっさんがまだ、その能力が残っているなら仲間に入れたも良いと考えた。
「今はジムに少し通ってるぐらいだね、まぁ最近じゃあジムなんてのもしまってることが多いけどな」
と笑いながら応えた。
おっさんはどうも中年の男性という体型ではないため、まだ強さはあると判断したラビットはおっさんに迅明教について教え始めた。
「ほう、なら俺もやってやるか」
おっさんはレッドとなり動きはじめた。
…島沢は…
「俺の名は能東 舟だ」
嘘だろ、能東の父親?
本物なのか、あの全ての黒幕だった能東組を作った。
「よろしくです」
島沢はビビりながら頭を下げておいた。
とてつもないことが起きている、なんなんだこの状況理解が追いつかない、なんでなんでこんなところに?
「一人は今ここにはいないが、もう一人は窓から出たところにいるぞ」
と能東は一番部屋の中で大きい窓を指差した。
「ありがとうございます」
島沢は言い窓に向かい外の屋根に誰かがいることを確信して自分も出る事にした。
「誰だお前?」
声だけが聞こえる。
どこかで聞いたような声だが、誰か外は暗いせいで、わからなかった。
もう少し近づいてみて、男の顔を見た時島沢は驚いた。
本当に無茶苦茶な奴らしかいない。
第三章をお待ちください。