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WHITE WITCH(ホワイト ウィッチ)  作者: 木村仁一
第13章「黒歴史仲間」
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2話 マシン・レイドマスター

「これでアイツらも追いかけられないだろう」


 組員の1人が確信したように言った。

 通路を二重に塞いだ理由はブラックウィザードのデロリアンを妨害するためだ。

 確認できただけで、デロリアンに搭載されているロケット弾は1発、一列目が破壊されたとしても、もう一列目の車のバリケードがそれを塞ぐ。

 マシンガンが残るだろうが、それでも道を開けることはできないだろう。

 そんなことを考えていると、遠くから車のエンジン音が聞こえてきた。


「来た……なっ⁉」


 組員の目に飛び込んできたのは、ブラックウィザードが乗るデロリアン――ではなく、1台のSUV車。フロントには頑丈そうなガードバンパーが取り付けられた大型のタイプだ。


「何だ、あれは⁉」


 作戦で予想していた車と大分違う車があらわれたことで、他の組員たちも少々焦っていた。

 SUV車はバリケードにしていた車に向けて猛スピードで迫る。

 さすがに突っ込んでくると察した組員たちはバリケードにしていた車から離れて行った。

 そしてSUV車は、バリケードにしていた車に衝突。その光景はまるで、策を突き破る猛獣のようだ。


 これこそ完成されたレイドマスターだ。


 レイドマスターはブラックウィザードたちが居る倉庫の前でターンして方向転換し止まった。

 それでも、まだブラックウィザードたちが抑えられなくなった訳ではない。

 何故なら、バリケードが無くなっただけで、まだ組員たちは動ける。出てきたところで狙い撃ちされるのがオチだ。

 組員たちは、逃がすまい、と拳銃を構えながら目を光らせている。

 しかし、レイドマスターから現れたある物を見た瞬間、一気に表情が凍り付くことになる。

 レイドマスターの右後部寄りの屋根の一部が上昇し、その下から出てきたのは、六角形を描くように6つの銃口が並ぶ多銃身の大きな銃。

 銃身の長さが20センチくらいで、通常より短めだが、アクション映画などでお馴染みのその銃の正体は――


「――ミニガンだぁぁぁー‼」

 

 組員の1人が叫び、それを聞いて他の組員も一目散に逃げ出した。

 そして、レイドマスターのミニガンの銃身が回転を始めた瞬間、銃口が火を噴いた。

 事実、銃弾を放つミニガンの銃口は、本当に火を噴いているようにマズルフラッシュが絶えず、飛んで行く銃弾も、まるでレーザーのように一直線に繋がっているようにも見える。

 それを受けた車は、あっという間に穴だらけ、ハチの巣という言葉では生温い、むしろ()()と表現した方がしっくり来るだろう。

 中には燃料に引火したのか、発火する車も現れた。


                 〇

 

 (タケル)が持つ小型タブレットの画面には、ミニガンのカメラからの映像が映し出されていた。

 当然ミニガンをコントロールしていたのは武だが、実際に使ってみると、爽快感もあるが、同時に想像以上の連射速度に、むしろ死人が出ていないかとても心配になった。

 映画のサイボーグのように、スキャンした後に「死傷者0」の表示が欲しいところだ。


「〈野々原(ののはら)さん、本当にあれで連射速度下げたんですか⁉〉」

『はい。毎分3000発位に』


(それ、1秒に50発撃ってる計算ですよ‼)


 何だか恐ろしさを感じた武。

 すると、そんな武の心境を全く知ることの無いレイが、冷静に物事を進めようと武に声を掛けた。


「行きましょう」


 その一言でハッと我に戻った武は、レイと一緒にグラッピングフックガンを使って地面に着地し、レイドマスターに乗り込んだ。

 運転席に乗り込んだ武は、シフトレバーを「(ドライブ)」に入れ発進。

 助手席に座るレイが、グローブボックスを開け、取り付けられた小さなボタンを押した。

すると、ダッシュボードからタブレットが伸び、立ち上がる。

レイはタブレットを操作してマップを表示させると、マップを移動する赤い丸が現れた。


「〈野々原さん、状況は?〉」

『まだ追跡できていますが、ちょっと周りの()()がうるさいですね』

「〈すぐに向かいます――ところでレイ、レッドスピーダーが追ってる車で間違いないのか?〉」


 武がレイに尋ねる。

 本当にレッドスピーダーが追いかけているワンボックスカーに金があるのか、まだ確証がないからだ。

 だが、レイに抜かりはない。何故なら――


「実を言うと、あのお金の1枚に細工したの」

「〈細工?〉」

「取引の情報を聞いたから、荒松組のシノギで使っている飲食店の1つに行って、ジイ特性の()()()ペイントを塗った一万円札を潜り込ませたの」

「〈もしかして、今マップに表示されているのがそう?〉」

「そういうこと」

「〈ところで、その()()()()()()()だけど〉」

「大丈夫、3日で効果は消えるから」

「〈効き目じゃなくて、放射性物質の人体の影響のこと?〉」

「……。ジイの話だと人体には無害らしいわよ」

「〈本当に信用していいの⁉〉」


 何故か武から視線を逸らして自信なさそうに話すレイを見た武は、内心本当に人体に影響はないのか不安になった。


「とにかくアイツらを早く追うっ!」


(なんか誤魔化された気がする……)

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