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WHITE WITCH(ホワイト ウィッチ)  作者: 木村仁一
第12章「スナイパーポイント」
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8話 レイVSクリーナー

 海が一望できるバイパスを疾走する1台のセダン車とオフロードバイク。

 黒のヘルメットにライダースーツを身に纏うライダーの手には、サプレッサーを付けたサブマシンガン・MAC11をセダンに向けて撃っている。

 セダンの中に居る鬼柳きりゅうもバイクに向けて拳銃を撃ち返していた。

 何とか鬼柳とクリーナーのバイクに追いついたレッドスピーダー。


『〈レイ、今どこだ?〉』

「今、バイパスを南下中」

『〈了解〉』


 クリーナーもレッドスピーダーに気づき、レッドスピーダーに向けてサブマシンガンを発砲。

 雨のように弾が着弾するが、防弾のレッドスピーダーのボディーには、当然通じない。


『〈待たせたな〉』

「遅いわよ――って、ちょっと待って⁉」


 レイがルームミラーを覗くと、ダークスピーダーの姿が見えたが、よく見るとダークスピーダーの後ろを1台の大型バイクが見える。

 それに乗っているのはタケルだ。


「どこから持ってきたの、そのバイク⁉」

『〈鬼柳対策にちょっとね〉』

「えっ?」


 前に一度、鬼柳とのカーチェイスを経験している武。

 ダークスピーダーのマシンガンをかわし、ミラー越しでの射撃を得意とする鬼柳、このままでは、前回のように苦しい戦いになるのは間違いない。

 鬼柳の車は隙をついて、街の方へ曲がっていった。

 クリーナーのバイクはそれについて行けず、そのまま直進し、二手に分かれる形になった。


「クリーナーは私に任せて、武は鬼柳を」

『〈了解〉』


 レイはクリーナーを野々原が遠隔で操作するダークスピーダーと武は、鬼柳を追いかけて行った。


                 〇


 埠頭に差し掛かったクリーナーのバイクとレッドスピーダー。

 変わらずクリーナーは、サブマシンガンをレッドスピーダーに向けて発砲している。


鬱陶うっとうしいわね」


 レイはレッドスピーダーの「M‐GUN」のボタンを押し、マシンガンを出すと、クリーナーのバイクに向けて発砲、銃弾を受けたバイクは転倒した。

 レッドスピーダーを止めると、ドアを少しだけ開けてクリーナーの様子を窺った。

 クリーナーは横たわったまま動かない。

 レイは拳銃を抜いて慎重にクリーナーに近づいた。

 近くに落ちていたサブマシンガンを蹴って遠ざけた後、クリーナーのヘルメットを脱がした。

 ヘルメットの下から現れたのは、黒髪のアジア系の女性だった。

 もっといえば――


「日本人……?」


 レイが呟いた瞬間、クリーナーの女の目が、〝カッ!〟と開き、倒れた状態から体を捻り、その勢いてレイの足に蹴りを入れ、それを受けたレイは地面に倒れてしまった。


「ええ、そうよ!」


 女は日本語で返した後、腰のナイフケースからサバイバルナイフを取り出し、倒れるレイに素早く近づくと、レイの首を掴んだ。

 しかし、レイも負けてはいない。両手で左右同時に女のこめかみにチョップをお見舞い。痛みを受けた女は、自分のこめかみを抑えた隙に、レイは女の腹部に向けて蹴りを入れ、女を遠ざけた。

 そして立ち上がったレイは、左手のウィッチブレードを飛び出させると、構える体制を取った。


「なるほど、アンタが噂のホワイトウィッチね……」

「ええ。そう呼ばれているわ」

「いいわね。アンタを殺せば、黒富士組から小遣いが出るかも」


 そう言うと、女はナイフを逆さに持ち直し、構える体制を取った。


「やれるものなら、やってみなさい!」


 レイが駆け出すと、女も同じように駆け出し、すぐさま刃を交える。

 その後も、互いに攻防を繰り返していると、女がもう一本のナイフを取り出した。

 両手にナイフを握り構える女。

 その左手に握るナイフを見た瞬間、レイの目が鋭く変わった。

 女のナイフのグリップには、妙な出っ張りが見える。


(もしかして……)


 警戒しながら、レイはウィップダガーに手を伸ばした。


「さぁ、続きを始めましょうか……」


 女がそう言うと、ナイフを構え直す際に、左手のナイフの刃をレイに向けた。

 

 バシュッ!

 

 金属音と共に、女のナイフの刃が、レイに向かって飛んだ。

 女のナイフは、スペツナズナイフ。

 強力なバネの力で、刃の部分を飛ばす武器だ。

 それを予想していたレイは、咄嗟にナイフの刃を避けると、今度はレイがウィップダガーを抜き、ウィップダガーの刃を飛ばした。

 それがクリーナーの女の頬をかすった。


「くっ……私の顔に……傷を……。飛び道具なんか使って!」

「アンタがそれを言う⁉ ……でも、決着はついたから」

「何ですって? ……うっ!」


 突然、女が苦痛の表情を浮かべ、膝をついた。


「……き、貴様、何をした⁉」

「実は、ウィップダガーのこれに即効性の麻痺薬を塗っておいたの。本当は鬼柳用だったけど、役に立ったわね」

「……くっ、卑怯……な……」

「そっくり返すわよ」


 女は何とか必死に立ち上がろうとするが、それでも麻痺薬のせいで足は、ガタガタ、と生まれたての子羊のように震えており、とても戦える状況ではない。

 麻痺薬の効果も1時間は持つ。あとは警察に任せればいいだろう、と思った瞬間、クリーナーの女は、自分のネックレスを引っ張り出すと、息を切らしながらそれを口元に運ぶ。


「……地獄に道ずれよ」

「……⁉」


 危険を察知したレイは、その場から飛び、ダイブする形で地面に伏せると、女はネックレスを噛み、その瞬間に爆発した。

 レイが頭を上げると、女が居た場所には、白煙と血しぶきの跡が残っている。


「……いらないプロ意識持っちゃって……武、大丈夫かな……?」


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